メルヘンハウス。1973年、日本で初めての「子どもの本専門店」として名古屋にオープンした老舗書店。その2代目の三輪丈太郎さんにステラ幼児教室・御器所校に来て頂き、講演をしていただきました。三輪さんとの打ち合わせを幾度と重ね、お互いの想いを共有し、この日を迎えました。
テーマは、「子どもと絵本と大人」。三輪さんの絵本のお話しは、美術館の話から始まりました。美術館では、年に数回、絵本の原画展が開催されています。原画展に行けば、印刷の本にはない豊かな色彩を持った絵に出会えるとのこと。そして、三輪さんは、絵本の絵そのものに触れ、そして、作者の背景に触れ、絵本に込められた想いに触れていきました。
絵本は、子どもと大人をつなぐことに優れています。「この役割を果たすためなら、別に絵本は何でもいい。でも、どうせなら、ステキな絵本の方が良い」。こう言って、たくさんのステキな絵本を紹介してくれました。
「かぁかぁ もうもう」。カラスと牛が大きな鳴き声を出すのに競い合う、そんな絵本。親子で、字の大きさに合わせて鳴き真似をすれば、その時間は楽しい親子の時間に変わります。その体験を会場全体で楽しみました。また、とある保育士さんのエピソード。その保育士さんは、この絵本を読むときに、クラスを2つに分けました。かあかあチームともうもうチーム。2チームは、鳴き真似を競い合いました。どちらのチームが大きく元気よく鳴き声を出せるか。このように絵本を扱えば、競い合うことが遊びになっていく。工夫次第で、絵本を通した体験は子どもに取って心に残る、大変楽しい思い出になります。
三輪さんも関わっていたBookstartプロジェクト。BookStartでは、”Share books with your baby!”を合い言葉に使っています。”Read Books”ではなく、”Share Books”。本は読まなければならないと思いがちだけど、絵本は大人と子どもで共有するものだし、絵本は感じるもの。だから、無理して読まなくてもいい。小さな時に絵本を通して感じたことは、心の奥深くに沈んでいって、記憶の奥底に仕舞い込まれることもある。けど、それでいい。もしかしたら、人生のある場面で、その思い出がふと顔を出すことがあるかも知れない。そんな役割でいい。
NPOブックスタートのHPより(https://www.bookstart.or.jp)
何でも便利に効率化することが良いとされがちな現代。別に、絵本を通して、文字を覚えなくてもいいし、知らない外国の国旗を覚えなくてもいい。ただただ、絵本を媒介にした大人と子どもの関わり、絵本と一緒に過ごした楽しい時間を共有する。そんな時間が愛おしい。こんな時間を子どもと一緒に積み重ねていくことで、親も子どもも育っていく。一見遠回りのように見えるけど、この方がきっと子どもも親も成長する。このようなことを改めて感じた講演会でした。