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試し行動の背景にある子どもの気持ちとは?その対応と支援

2025.06.21
  • 発達障害
  • その他障害・疾患
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「わざと困らせるような行動をするのはなぜ?」「愛情を試されている気がする…」などと感じる場面が増え、戸惑いや不安を抱えている保護者の方も多いのではないでしょうか。

そのような子どもが見せる「試し行動」には、心の奥にある不安や「本当に愛されているのか知りたい」という深い気持ちが隠れていることがあります。叱るべきなのか…それとも受け止めるべきなのか…対応に悩むのも無理はありません。

そこで本記事では、試し行動がどのような意味を持つのか、どんな子どもに見られやすいのかなどの基本的な理解から、ご家庭でできる関わり方など解説していきます。

目次

  • 試し行動とは?子どもの心のサイン
  • 試し行動への適切な関わり方と支援方法
  • まとめ
  • 試し行動とは?子どもの心のサイン

    「これって反抗期?それとも何か別のサイン?」と思い悩む場面があるかもしれません。子どもがあえて困らせるような言動をとるとき、それは「試し行動」かもしれません。

    試し行動は、単なるわがままや反抗ではなく、「自分は大切にされているのか」「見捨てられないか」という不安から生まれる、子どもなりのSOSの場合もあります。この行動は、子どもが愛情の確認をしようとする心の働きとも言われています。

    ここでは、試し行動の基本的な行動とともに、どのような子どもに見られやすいのか、そしてその背景にある心のメッセージについてご紹介します。

    試し行動とはどういう行動のこと?

    試し行動とは、子どもが大人の反応を確かめるために、わざと困らせるような行動をとり、自分がどこまで許容されるのかを試すための行動を指します。

    たとえば、おもちゃを投げる、嘘をつく、指示に反する行動をとるなどが挙げられます。これらの行動は、子どもが「自分がどこまで受け入れられるのか」「愛されているのか」を確認しようとする気持ちから生まれるものです。 また、幼い子どもは、気持ちの表現方法が未熟なことも多く、怒られるような行動をすることで大人との関わりを求めていることもあります。 保護者の方は、これらの行動を単なるわがままと捉えず、子どもの心のサインとして受け止め、適切に対応することが大切です。

    どんな子どもに見られやすい?

    試し行動は、特定の子どもだけでなく、さまざまな背景を持つ子どもに見られることがあります。特に、以下のような状況にある子どもに多く見られる傾向があります。

    ●家庭環境が変わった子ども(引っ越しや家族構成の変化など)
    ●保護者の愛情を確認したいと感じている子ども
    ●新しい環境や人間関係に不安を感じている子ども

    これらの子どもたちは、不安や愛情の確認のために試し行動をとることがあります。保護者の方は、子どもの行動の背景にある気持ちを理解し、安心感を与える対応を心がけることが重要です。

    試し行動の背景にある子どもの心理

    試し行動の背景には、子どものさまざまな心理が関係しています。主なものとして、以下のような心理が挙げられます。

    ●愛情の確認(自分が愛されているかを確かめたいという気持ち)
    ●不安の表現(新しい環境や状況に対する不安を表現するための手段)
    ●自己主張(自分の存在や意思を認めてほしいという願い)

    これらの心理は、子どもが成長する過程で自然に生じるものであり、試し行動を通じて表現されることがあります。保護者の方は、子どもの行動の背後にある気持ちに寄り添い、共感的な対応をすることで、子どもの安心感を育むことができるはずです。

    発達障害や愛着障害との関係性

    試し行動は、発達障害や愛着障害を抱える子どもに見られることが多く、それぞれの特性や背景が関係しています。

    発達障害

    発達障害(たとえば自閉スペクトラム症・ADHDなど)の子どもは、相手の気持ちを読み取る力や感情のコントロールが難しいことがあります。そのため、いつもと違う状況で不安を感じたり、人との関わりに困難さを抱えて、結果として「試すような行動」につながることがあります。

    愛着障害

    一方、愛着障害の子どもは、幼少期に安定した養育環境や十分な愛情を受けられなかった経験が背景にあることが多く、「見捨てられるかもしれない」という人への不信感から、相手の反応を確かめるために試し行動をとることがあります。

    両者は異なる障害ですが、人との関係性に不安を感じやすいという共通点があり、行動として似た表れ方をすることもあるため、支援者や保護者の理解がとても重要です。

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    試し行動への適切な関わり方と支援方法

    試し行動が続くと、「どうしてこんなことをするの?」「叱るべきなのか迷う」と保護者も心が疲れてしまいますよね。しかし、試し行動に対する大人の関わり方は、子どもの安心感に大きく影響します。

    大切なのは、感情的に叱るのではなく、「あなたは大切な存在だよ」と伝え続けること。そして、一貫性のあるルールと愛情のバランスを保ちつつ、保護者自身の心のケアも忘れてはいけません。

    ここでは、ご家庭でできる具体的な関わり方やサポートと共に、必要に応じた支援機関との連携についても解説していきます。

    叱るよりも受け止めることが大切

    試し行動は、わざと怒らせるような行動をしたりして、大人を試していることがあります。こうした行動に対して感情的に叱ってしまうと、子どもは「やっぱり自分は愛されない」「自分はだめなんだ」と自己肯定感が低くなってしまうこともあります。

    まずは子どもの不安や寂しさに寄り添い、「どんなあなたでも大切だよ」という無条件の安心感や愛情を伝えることが、大人と安定した信頼関係を築く第一歩になります。受け止めるとは、甘やかすことではありません。行動に対して冷静に対応しつつも、子どもの気持ちに共感し、安心できる関係を築いていく姿勢が大切です。

    一貫したルールと愛情を両立する

    試し行動が見られる子どもには、ルールと愛情のバランスがとても重要です。愛情をかけることと子どもの行動を何でも許すことを一緒にしてしまうと、子どもが大人に注意された時に「自分が否定された」と思ってしまうことがあります。子どもへの愛情と子どもの行動を分けて伝える関わり方をするとよいでしょう。

    たとえば、「今、嫌な気持ちだったんだね」と感情に共感するとともに、「でも、叩いたらだめだよ」「○○と言おうね」などと伝えると効果的です。また、子どものコミュニケーションがまだ未熟で、怒られるような行動で関わりを求めているときは、過剰な反応をするとより行動がエスカレートすることがあります。その時は冷静に対応し、いい行いをした時に過剰なくらいに褒めるとよいでしょう。 

    大人が一貫した態度をとることで、子どもは「この人は私をちゃんと見てくれている」「安心して頼っても大丈夫」と感じるようになり、試し行動も徐々に落ち着いてくることも多いです。

    両親自身のストレスケアも大切に

    試し行動への対応は、保護者にとっても心身の負担が大きく、「もう疲れた…」「どうしてこんなことをするの?」と感じてしまう日もあるでしょう。そんなときに無理をし続けてしまうと、子どもとの関係にも影響が出てしまいます。

    まずは、保護者ご自身が「つらい」と思っていいということを認め、心と体の休息をとることが大切です。友人に話す、趣味の時間を持つ、少し家事の手を抜くなど。どれもストレス軽減の大切な手段です。子育てに正解はありません。周囲と比べたり自分を責めるたりすのではなく、「がんばっている自分」をねぎらう習慣を、ぜひ意識してみてください。

    必要に応じて支援機関とつながる

    試し行動が長期化したり、家庭内での対応が難しく感じられる場合は、迷わず専門機関の力を借りることが大切です。「うちの子どもだけがおかしいのかな」と悩む必要はありません。支援機関では、同じような悩みを抱える多くの家庭のサポートを行っており、安心して相談できる環境が整っています。

    たとえば、児童相談所、子育て支援センター、スクールカウンセラー、発達障害者支援センターなどが相談先として挙げられます。また、臨床心理士や公認心理師によるカウンセリングも有効です。一人で抱え込まず、外部のサポートにつなげることで、子どもも保護者も少しずつ落ち着いていくことができます。

    まとめ

    試し行動とは、子どもが「自分は愛されているのか」「見捨てられないか」など、子どもが大人の反応を確かめるために、わざと困らせるような行動をとり、自分がどこまで許容されるのかを試すための行動を指します。

    これは単なるわがままではなく、不安や愛情の確認という心のサインであり、特に環境の変化や家庭内の不安を経験している子どもに見られやすいとされています。発達障害や愛着障害のある子どもにも試し行動が見られることがあり、それぞれの特性や育ちの背景と関係しています。

    対応としては、感情的に叱るのではなく、子どもの気持ちを受け止め、愛情と一貫したルールをもって接することが大切です。また、保護者自身のストレスケアも忘れず、必要に応じて支援機関とつながることも、子どもと家庭を支えるうえで有効な手段です。親子にとって安心できる関係を築くために、周囲のサポートも上手に活用していきましょう。

    参考元
    各 支援機関 等

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