障害者手帳のデメリットはあるの?取得前に知っておきたい注意点も紹介
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「障害者手帳を取るべきか迷っている」「将来への影響があると聞いて不安…」そんなお気持ちを抱えている保護者の方やご本人は少なくありません。
障害者手帳は、医療費や福祉サービスの助成など多くのメリットがある一方で、就職や社会的な偏見があるのではないかと、気になる点があるかもしれません。
本記事では、障害者手帳を取得する前に知っておきたいデメリットや注意点を中心に、メリットと申請方法まで幅広く解説します。
目次
- 障害者手帳のデメリット
- 障害者手帳のメリット
- 障害者手帳を取得するには?申請前の基本情報
- まとめ
-
障害者手帳のデメリット
「手帳を持っていることで不利益を受けるのでは?」「履歴や保険に影響があるって本当?」といった疑問や不安をお持ちかもしれません。
障害者手帳の取得には多くのメリットがありますが、取得にあたって、心配や不安があるかと思います。
ここでは、障害者手帳のデメリットや懸念事項を挙げながら、実際はどうなのかについて解説していきます。制度の利点だけではなく、慎重に判断するための情報としてご覧ください。
就職や転職で不利になる可能性があるの?
障害者手帳を取得すると、障害者雇用枠での就職活動が可能になりますが、これにはいくつかの制限があります。
たとえば、障害者雇用枠では事務職や軽作業などの職種が多く、希望する職種に就けない場合があります。また、企業によっては障害者雇用枠での採用を契約社員から始めることがあり、待遇面での差が生じることもあります。障害者雇用枠を利用して就職を探す場合、企業によっては障害者雇用を実施していないこともあるため、応募先が限られる可能性があります。※
※しかし、障害者手帳を取得したからといって「必ず会社に申請をしなければいけない」「必ず障害者雇用枠を利用しなければいけない」というわけではないため、一般の就職活動で就職をしている人も多くいます。障害者雇用枠での就職がニーズに合う場合、利用するとよいでしょう。
偏見的な目で見られる場合があるの?
障害者手帳を持っていることで、周囲から偏見や差別的な目で見られることを懸念する方もいらっしゃいますが、障害者差別解消法により、障害を理由とした差別や不当な扱いは禁止されています。
手帳の所持は個人の自由であり、提示や所持の義務はありません。サービスを受ける時など、必要な場面でのみ提示することで、プライバシーを守ることができるでしょう。
取得すると一生残る?履歴に残る?
障害者手帳を取得しても、その情報が戸籍や公的な履歴に永久に残ることはありません。
また、就職や転職の際に障害者手帳の有無を申告する義務もありません。ただし、障害者控除を受ける場合は、年末調整や確定申告の手続きで、会社に知られる可能性はあります。手帳の取得や使用については、個々の状況や希望に応じて判断するとよいでしょう。
保険、ローン、資格などへの影響はあるの?
障害者手帳の有無自体ではなく、障害者手帳を持つに至った疾患名や診断名により、生命保険や住宅ローンの審査に影響が出る場合はあります。
住宅ローンの審査に影響がある「団体信用生命保険」や、生命保険などの保険加入時には健康状態の告知義務があり、服薬の有無や通院歴などを正確に申告する必要があります。これらは手帳の有無に関わらず、虚偽の申告をすると保険金が支払われないなどのリスクが生じるため、注意が必要です。また、資格については、運転免許の取得にてんかん発作の状態が関係するように、疾患や健康状態により制限があるものなど、取得が難しくなるものがあります。
参考元:厚生労働省「障害者手帳について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html障害者手帳のメリット
手帳を取得することに迷いがあるときは、「実際にどんな支援が受けられるのか」を知ることも大切です。
障害者手帳を持つことで、医療費の助成や福祉サービス、就労支援など、生活を支える多くの制度が利用できるようになります。
ここでは、障害者手帳を取得することで受けられる主なメリットについて、わかりやすく整理してご紹介します。生活や将来の選択肢を広げる手助けとなる情報をまとめています。
医療費や福祉サービスの助成
障害者手帳を取得することで、医療費や福祉サービスの助成を受けることができます。
たとえば、通院や入院時の医療費が軽減される制度や、補装具の給付、訪問介護サービスの利用など、生活の質を向上させる支援が提供されます。これらの助成は、自治体や手帳の等級によって内容が異なるため、詳細はお住まいの市区町村の窓口での確認が必要です。
就労支援や障害者雇用枠での働き方
障害者手帳を持つことで、就労支援や障害者雇用枠での働き方が可能になります。
ハローワークや就労移行支援事業所などで、職業訓練や就職活動のサポートを受けることができます。また、障害者雇用枠での就職は、配慮のある職場環境や勤務形態が期待でき、障害を持っていても安心できる就労につなげられます。
税制や公共料金においての優遇
障害者手帳を所持することで、所得税や住民税の控除、公共料金の割引など、経済的な優遇措置を受けることができます。
たとえば、NHK受信料の免除や、水道料金の減免などが挙げられます。これらの優遇措置は、手帳の等級や自治体によって異なるため、詳細は各窓口で確認することが重要です。
支援につながりやすくなる
障害者手帳を持つことで、福祉サービスや支援制度につながりやすくなります。
たとえば、相談支援事業所や地域生活支援センターなどで、生活に関する相談や支援計画の作成を受けることができます。また、手帳を提示することで、各種サービスの利用がスムーズになる場合もあります。
障害者手帳を取得するには?申請前の基本情報
「障害者手帳を取るにはどこに行けばいいの?」「何が必要なのか分からない」このような不安を感じている方も多いでしょう。
手帳の申請は少し複雑に感じられますが、事前に流れや必要なものを知っておくことで、落ち着いて対応することができるはずです。
ここでは、手帳の種類・申請に必要な書類や手続き・取得の義務などについて解説していきます。「そもそも手帳を取るべきか迷っている」という方の役立つ情報になれば幸いです。
どんな手帳の種類があるの?
障害者手帳には、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があり、それぞれに応じた等級(重症度の目安)があります。
身体障害者手帳
1級(最重度)〜6級(軽度)までの区分があります。
☑︎身体に障害がある方が対象で、障害の程度に応じて1級から6級までの等級があります。精神障害者保健福祉手帳
1級〜3級に分かれており、1級が最も重い障害です。
☑︎精神障害のある方が対象で、自治体によって名称や等級区分が異なる場合があります。療育手帳
自治体によって区分が異なりますが、多くは「A(重度)」「B(中軽度)」などに分類されます。
☑︎知的障害のある方が対象で、障害の程度に応じて1級から3級までの等級があります。等級は、受けられるサービスの内容や税制優遇の範囲に影響するため、重要なポイントです。診断書や専門医の意見書をもとに、自治体が総合的に判断して決定します。気になる方は、まずは相談窓口や医療機関で具体的な説明を受けることを推奨します。
申請の流れと必要な書類
障害者手帳の申請は、お住まいの市区町村の福祉担当窓口で行います。
申請の一般的な流れ
1.医師の診断書や意見書を取得します。
2.必要書類を準備します。
3.市区町村の窓口で申請手続きを行います。
4.審査を経て、手帳が交付されます。必要な書類
●医師の診断書や意見書
●申請書
●写真(規定サイズ)
●本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
●印鑑(必要な場合)申請から交付までの期間は、自治体や手帳の種類によって異なりますが、数週間から数ヶ月かかることがあります。
取得は義務ではなく選択肢のひとつ
障害者手帳の取得は、法律で義務付けられているものではありません。取得するかどうかは、本人や保護者の判断に委ねられています。
取得のメリット
●医療費の助成や福祉サービスの利用が可能になる
●就労支援や障害者雇用枠での働き方が選択できる
●税制や公共料金の優遇措置が受けられる取得に伴い、サービスを受ける場合のデメリット
●障害者雇用枠を利用する場合は、就職・転職活動に制限が出ることがある
●障害者控除を受ける場合は、年末調整などの手続きで会社に知られることがある
●障害の原因となっている疾患や健康状態により、一部の保険加入・ローン審査・資格取得に制限が出る場合がある障害者手帳は、必要な支援やサービスを受けるために有効な手段ですが、手帳を取得することやサービスを利用することに抵抗感がある方もおられることと思います。迷われる場合は、福祉の専門機関や相談窓口でのご相談をおすすめします。
まとめ
障害者手帳は、医療費や福祉サービスの助成、就労支援、税制優遇など、日常生活や将来設計を支える多くのメリットがあります。
一方で、「障害者雇用枠を利用する場合の就職・転職活動に制限」「障害者控除を受ける場合は年末調整などの手続きで会社に知られることがある」「障害の原因となっている疾患や健康状態により、一部の保険加入・ローン審査・資格取得に制限が出る場合がある」など、取得に伴い、サービスを受ける場合にはデメリットや不安材料もあります。
また、手帳には身体・精神・知的の3種類があり、それぞれ等級が異なり支援内容に影響します。取得は義務ではなく本人の選択であり、申請には医師の診断書や必要書類が求められます。将来を見据えて制度の利点と注意点を理解し、ご自身やご家族の状況に合った判断をすることが大切です。
不安や迷いがある場合は、医療機関や自治体の相談窓口など専門機関へ相談することをおすすめします。
参考元
厚生労働省
各 支援機関 等