構音訓練とは?発音が気になる子どもへの優しいサポート
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子どもの話す言葉が少し聞き取りにくいと感じたことはないでしょうか?
発音がはっきりしてくる時期には個人差があり、自然と改善することもありますが、状況によって専門家の手助けが必要になることもあります。
このコラムでは、正しい発音を身につけるサポートをする構音訓練について詳しく解説します。
子どもの発音が気になる保護者の方は、今後の参考にしてみてください。
目次
構音訓練とは? 正しい発音を身につけるための訓練
構音訓練は、発音が不明瞭な人や正しい音を出すのが難しい人に対して行われるの訓練のことです。
話す言葉が聞き取りにくかったり、正確に発音できなかったりする場合に、改善を目指して取り組みます。
構音訓練は、言語聴覚士(ST)と呼ばれる専門家によって進められ、舌や口の動きを確認しながら、正しい音を出すための練習が行われます。
正確な発音ができないのはなぜ?
発音は、舌や唇の動きや形、息の吐き方などさまざまな器官が連携して行われています。
舌や唇、口周りの筋肉、声帯などの構造に問題があったり上手に動かなかったりすると、正しく発音するのが難しくなります。
また、聴力に問題があり間違った発音を覚えてしまうケースもあります。
同年代の子どもに比べて正しい発音ができないからといって、必ずしも病気や障害があるというわけではありません。
小学校入学頃になっても、発音に誤りが多いと感じる場合は、早めに専門機関に相談すると安心につながります。
ただし、言語の理解や発達との関係、自然と正しい発音を身につける可能性から、すぐに訓練を行わずしばらく様子をみることもあります。
早く訓練を受けるのが必ずしもよいというわけではなく、子どもに合った時期に適切な方法で訓練を受けることが大切です。
構音訓練の具体的内容とは?
構音訓練は、原因に合った方法を用いますが、基本的には以下のような流れで進められます。
1. 舌や口の準備運動
2. 音の聞き分け練習
3. 単音の発音練習
4. 単語の発音練習
5. 短文の発音練習
6. 会話の発音練習
それぞれの練習について詳しく解説します。
ステップ1:舌や口の準備運動
舌や口の準備運動は、正しい発音をするための基礎づくりとなります。以下に舌や口の準備運動の一例を紹介します。
●口を大きく開けたり閉じたりを繰り返す
●舌を突き出し前後、上下、左右に動かす
●唇を突き出したり横に引いたり、破裂させたりする
●口を閉じて頬を膨らませたり凹ませたりする
口や舌がきちんと動いているか確認するために、鏡を用意して自分で口元を見ながら練習すると効果的です。
ステップ2:音の聞き分け練習
正しい音と間違った音の違いに気づかないと、正しい発音ができるようになるのが難しいため、音を聞き分ける練習をします。
「さ」や「しゃ」といった似ている音の違いを聞き取る練習や、自分の発音と正しい発音の違いに気づけるかを確認したりします。
聴力に問題があるケースでは、音の違いを聞き分けやすくするために、補聴器や人工内耳などを使用することもあります。
ステップ3:単音の発音練習
どの音に発音の誤りがあるのかを確認したうえで、上手く発音できない音を重点的に練習していきます。
例えば「さ」の音がうまく出せない場合には、鏡を使って舌や唇の動きをチェックしながら、指導者と一緒に「さ」の発音を10回ほど繰り返します。
子どもの場合、正しく発音できたときにスタンプやシールを集めるなど、達成感やモチベーションを上げる工夫をするとよいでしょう。
ステップ4:単語の発音練習
正しく出せるようになった単音を組み合わせて、単語の発音練習をします。
特に苦手な音を含む単語を集中的に練習するのが一般的です。
最初は、単語を一語一語に区切って、正しく発音することを心掛け、徐々に音をつなげて単語として発音できるようにします。
例えば「つくえ」なら最初は、「つ」「く」「え」と、一語ずつ練習し、それぞれの単音が正しく発音できるようになったら「つくえ」と発音練習します。
ステップ5:短文の発音練習
正しい発音ができない子どもにとって、短文といえども一度に全文を正しく発音することは難しいです。
そのため、最初は文節ごとに区切ってゆっくりと発音します。
例えば「さかながすきです」を「さかなが」「すきです」と文節ごとに口や舌の動きを確認しながら発音し、各分節が正しく発音できたら全体を発音し、自然な話し方に近づけます。
文節ごとに区切って練習することで、舌や唇の動きの確認や正しいイントネーションやリズムが身に付きやすいといったメリットがあります。
ステップ6:会話の発音練習
単語や短文が正しく発音できるようになっても、会話のテンポになると正しい発音ができなくなってしまう子どもが多いです。
そのため、会話中での正しい発音ができるように練習をします。
最初は、「好きな食べ物は?」と聞き「アイス」と単語で答えられるような短いやりとりから始めます。
慣れてきたら長いやりとりを練習していくようにします。
構音訓練は、子ども一人ひとりの状態に応じて、柔軟にステップを組み立て、効率良く発音の改善を目指します。
正しく発音できず修正が必要な音の改善に集中的に取り組むことが効果的です。
専門機関で受けられるサポートとは?
構音訓練を受ける場合、言語聴覚士のいる医療機関やリハビリ施設、発達支援センターなどの専門機関を利用します。
最初に問診や検査を受け、正しい発音ができない原因を把握し、原因に合った構音訓練計画が立てられます。
構音訓練は、週に1~2回の頻度から始めることが多く、数ヶ月~1年程、家庭や学校と連携しながら進めるのが一般的です。
子どもの成長を優しく見守ってあげましょう
構音訓練の目的や具体的内容などについて解説しました。
子どもの発音が気になる場合は、専門機関に相談し、必要なサポートや子どもに合った時期に訓練を受けるとよいでしょう。
家庭でも構音訓練は行えますが、正しい発音ができるまで、言い直させたりすると子どもがストレスを感じ、話すことに消極的になってしまうリスクがあります。
子どもが正しい発音で話せていなくても無理に言い直させたりせず、さりげなく伝えましょう。
子どもの成長を優しく見守る姿勢が大切です。