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特別支援学級ってどんなところ?どんな支援が受けられるの?

2021.12.18
  • 進学・受験

小中学校において特別な支援を必要とする子どもが教育的支援を受けながら学校生活をおくる「特別支援学級」について今回はお話をしたいと思います。

特別支援学級にはどんな種類があるの?

対象となる障害は

弱視、難聴、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、自閉症・情緒障害で、

これらの障害に対して特別支援学級が整えられます。しかし、学校によっては、すべての障害についての支援学級が整えられない場合もあります。また、障害の程度が軽度であっても、通常の小学校教育では十分な教育効果を上げるのが困難な子どもは就学が検討できます。

参考として、学校教育法施行例第1章22条では各障害の程度基準を以下のように定めています。

  • 弱視
    拡大鏡を使っても通常の文字や図形などの視覚認識が困難な程度。
  • 難聴
    補聴器を使っても通常の話し声を解することが困難な程度。
  • 知的障害
    知的発達の遅滞があり,他人との意思疎通がやや困難。日常生活を営むのに一部援助が必要な程度のもの。
  • 肢体不自由
    補装具を使っても歩行や筆記など日常生活における基本的な動作にやや困難がある程度。
  • 病弱・身体虚弱
    慢性の呼吸器疾患や、持続的や間欠的なその他の疾患の状態があり、生活の管理や医療が必要をする程度。また、身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度。

※以上、学校教育法施行例第22条より抜粋

しかしながら、特別支援学級に入る基準や判定方法は地域や状況によって異なります。相談等を行い、本人や保護者の意思を尊重しながら市区町村の就学支援委員会が総合的に判断をし、教育委員会が最終的に決定し通知を出します。

特別支援学級の各障害に応じた教育課程と教育的対応

指導の中心は健康な体づくりや基本的な生活習慣を身に付けること、社会生活に必要な言葉の理解や表現、数量の処理などが挙げられます。

教育課程は小学校の学習指導要領に沿うのが基本です。さらに、子どもの能力に応じて、特別支援学校の学習指導要領を参考として特別の教育課程も編成できるようになっています。各教科や道徳、特別活動、総合的な学習の時間の他、「自立活動」という特別の指導領域も設けられています。これは障害に基づく種々の困難を改善したり克服したりするための活動です。

また、障害の状態などに応じて弾力的な教育課程が編成できるようになっています。例えば、各教科や外国語活動の目標や内容に関する事項の一部を取り扱わないことが可能であったり、各教科の学年目標や内容を前学年のものに替えることなども認められます

子供の障害の状態等に応じて、特別の教育課程を編成して指導できるようにしています。各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れています。

また、子供の障害の状態等を考慮の上、各教科の目標や内容を下学年の教科の目標や内容に替えたり、各教科を前述した特別支援学校の各教科(それぞれの障害に合わせた)に替えたりするなどして、子供の実態に応じた教育課程を編成して指導しています。

知的障害への対応

  • 教育的対応
    知的障害特別支援学級は、日常生活において使用される言葉を活用しての会話や身近な日常生活動作にはほとんど支障がない子供が対象となりますが、学習によって得た知識や技能が断片的になりやすく、実際の生活の場面の中で生かすことが難しいという知的障害の特性は、知的障害特別支援学級に在籍する子供にもみられます。そのため、特別支援学校(知的障害)と同様に、実際の生活場面に即しながら、繰り返して学習することにより、必要な知識や技能等を身に付けられるようにする継続的、段階的な指導を行っています。
  • 教育課程
    各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、物事がうまくいかない際に気持ちを落ち着けて取り組むことができるようになることや言葉や支援機器を介した他者との円滑なコミュニケーションの方法等に関する指導を行っています。

自閉症・情緒障害への対応

  • 教育的対応
    特別支援学級では、一斉指示を理解することに困難があったり、周囲の環境に対してストレスを感じてしまったりすることから、情緒的に不安定になってしまった際に、具体的な方法を通して落ち着きを取り戻すことができるよう、子供一人一人の障害の状態等に応じた指導内容や指導方法の工夫を検討し、適切な指導を行っています。
  • 教育課程
    各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、苦手な聴覚刺激の調整を自ら行うことで心理的な安定を図ることや話し言葉以外のコミュニケーション手段を有効に活用して他者との意思疎通を図ること等に関する指導をしています。

言語障害への対応

  • 教育的対応
    各教科等の指導に当たっては、子供一人一人の障害の状態等を考慮し、教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて、通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い、教科学習を効果的に進めたり、社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
    多くの学級では、構音の改善に関する指導を行うために鏡を設置したり、コミュニケーションや言語活動を促進するために、様々な教育機器を設置したりするなどの設備の整備や工夫を行っています。
  • 教育課程
    各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、構音の改善に関する指導や、話し言葉の流暢性を改善する指導、言語機能の基礎的事項に関する指導などを行っています。また、話したり読んだりするなどの言語活動やコミュニケーションに対する自信や意欲を高める指導、カウンセリング等の指導も行っています。

視覚障害への対応

  • 教育的対応
    各教科等の指導に当たっては,子供一人一人の障害の状態等を考慮し,教材・教具の開発・工夫を行ったり,個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また,子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて,通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い,教科学習を効果的に進めたり,社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
    多くの学級では,子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう,例えば,眼疾患によってまぶしい場合があるため遮光カーテンや調光できる照明を設置したり,一人一人に拡大読書器を配置したりするなどの施設・設備の整備や工夫をしています。
  • 教育課程
    各教科等の他に,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ,例えば,視知覚や視機能の向上を図る学習や,地図やグラフ等の資料を効率的に読み取るための視覚補助具の活用方法を学習する等の障害の状態等で生活上又は学習上生じる困難さの改善・克服を図る自立活動の指導をしています。

聴覚障害への対応

  • 教育的対応
    各教科等の指導に当たっては、子供一人一人の障害の状態等を考慮し、教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて、通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い、教科学習を効果的に進めたり、社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
    多くの学級では、聴覚活用のために、オージオメータや補聴援助機器を設置したり、発音・発語指導のために鏡を設置したりするなどの設備の整備や工夫をしています。
  • 教育課程
    各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ、例えば、聴覚活用に関する指導や、音声(話し言葉)の受容(聞き取り及び読話)と表出(話すこと)に関する指導を行っています。さらに必要に応じて、学習や生活で用いる語句・文・文章の意味理解などの言語概念の形成や活用に関する指導や、コミュニケーションを通じた人間関係の形成に関する指導、障害の特性の理解やそれに応じた環境の調整などに関する指導を行っています。

肢体不自由への対応

  • 教育的対応
    各教科等の指導に当たっては,子供一人一人の障害の状態等を考慮し,教材・教具の開発・工夫を行ったり、個別指導やグループ指導といった授業形態を積極的に取り入れたりしています。また、子供一人一人の障害の状態や学習状況等に応じて,通常の学級の子供と交流及び共同学習を行い,教科学習を効果的に進めたり,社会性や集団への参加能力を高めたりするための指導をしています。
    多くの学級では,子供が可能な限り自らの力で学校生活が送れるよう,例えば,廊下やトイレに手すりを取り付けたり,トイレに近い教室にしたり,トイレのスペースを広くしたりするなどの施設・設備の整備や工夫をしています。
  • 教育課程
    各教科等の他に、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ,例えば、健康状態,姿勢や運動・動作,保有する感覚の活用,コミュニケーション等の改善・克服を図る指導をしています。

病弱・身体虚弱への対応

  • 教育的対応
    入院中の子供のために病院内に設置された学級や,小・中学校内に設置された学級があります。病院内の学級では,退院後に元の学校に戻ることが多いため,在籍していた学校と連携を図りながら各教科等の学習を進めています。入院や治療のために学習空白となっている場合には,必要に応じて指導内容を精選して指導したり,身体活動や体験的な活動を伴う学習では,工夫された教材・教具などを用いて指導したりしています。
  • 教育課程
    各教科等の他に,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な自立活動を取り入れ,例えば,健康状態の維持,回復・改善や体力の回復・向上を図るための指導をしています。

※参考:障害に配慮した教育(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00800.html

交流及び共同学習

通常の小学校では、通常級・特別支援学級どちらの学級に在籍する子どももお互いにコミュニケーションがとれる「交流学級」が活用されています。通常の学級に「交流学級」を設けて、「朝礼や給食、掃除などはそこで過ごす」などの活動が見られます。係を分担し、高学年になれば児童会やクラブ活動の所属先を決めるといった活動も行なわれます。

まとめ

特別支援学級は特別な支援が必要な子どもにはとても重要な選択肢であるといえます。
学年が上がる時に転籍(たとえば通常学級から支援学級またはその逆)することも可能ですが、子どもにとってよりよい方向へ進めるよう慎重に検討することが大切です。

小学校ではあった交流学級が中学校ではなかったり(学校によっては交流学級がある中学校もあるようです)、中学校で「自閉症・情緒障害」特別支援学級に在籍していた場合で知的障害のない生徒は、高校には「自閉症・情緒障害」特別支援学級はなく、また原則、知的障害特別支援学校に入学できないという問題もあります。

先の進路にも影響があるため、きちんと周りと相談し選ぶ必要があります。

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