チックの原因とは?種類や見分け方、家庭でできる対応を解説
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子どもがまばたきを繰り返したり、首をかしげたりする様子が気になっている人はいませんか?
癖のように感じるこれらの行動は、「チック」と呼ばれる症状の可能性があります。
この記事では、チックが起こる原因や見極めのサインについて解説します。
チックとは?
チックとは、本人の意思とは関係なく動きや音声が繰り返し出現することです。
まばたきや顔をしかめる、鼻を鳴らす、喉を鳴らすなどを短時間に何度も同じ動作が続けます。
癖との違いは、癖は意識していることが多く、意思で抑えることが可能です。
一方チックは、無意識で出てしまうので、癖に比べると意思で止めることが難しいといわれています。
チックは、男児に多くみられ、大部分は大人になるまでには現れなくなりますが、稀に大人になってもチックが残ることがあります。
大部分のチックは軽度で、1年以内に症状が現れなくなることが多いです。
1年以上症状が現れる慢性チックの大部分も、年齢があがるにしたがい症状が現れにくくなってきます。
チックの種類
チックにはいくつかのタイプがあり、その現れ方によって分類されます。
チックの種類と特徴を知っておくと、安心して子どもを見守りやすくなります。
運動チック
運動チックは、体の一部が動いてしまうタイプです。
単純性運動チックは、最もよく現れるチックで、まばたきや肩すくめ、首振りなど比較的単純な動作が現れます。
肩から上に現れるチックが多いです。
複雑性運動チックは、手足や全身に現れるチックで、顔をしかめる、体をひねる、飛び跳ねるなど複雑で大きな動きが現れます。
音声チック
音声チックは、声や音が無意識に出てしまうタイプです。
単純性音声チックは、鼻をすする、咳払い、喉鳴らしなどが含まれます。
複雑性音声チックは、汚い言葉を言う、他の人が言った言葉を繰り返す、自分の話した言葉を繰り返すなど意味のある言葉を突然話してしまうなどが現れます。
トゥレット症候群
運動チックと音声チックの両方が1年以上現れ続けることをトゥレット症候群といいます。
症状の現れ方が多様なため、生活に影響が出るケースも少なくありません。
状況に応じて、医師や支援機関と連携を取りながらサポートしていくことが大切です。
子どもにみられるチックの主な原因
チックの原因は明らかになっていませんが、さまざまな要因が関係し合って発症すると考えられています。
●ドーパミン受容体の過敏反応
脳の大脳基底核という部分のドーパミン受容体の過敏反応が、チック症状を引き起こしているという指摘があります。
特に慢性チックやトゥレット症候群に関係していると考えられています。
●ストレスや緊張
環境の変化や人間関係などで心理的なストレスを受けることが、チックの発症と関係しているといわれています。
新しい環境に慣れてストレスを感じなくなると、症状が和らぐこともあるそうです。
●遺伝
家族の中に同じような症状が現れた人がいた場合、似た症状が現れることがあるそうです。
そのためチックの発症には、遺伝的な要因が関係していると指摘する人もいます。
チックを見過ごされやすいサインとは?
声を出したり、目立つ動きをしたりした場合は、チックの可能性を考えるかもしれません。
しかし、チックは目立たない形で現れることもあり、その場合、癖と見過ごされることも少なくありません。
見過ごされる程度の症状なら、経過観察で済むことが多いですが、いつから症状が始まったのかを把握しておくことは、チックが長引いたり悪化したりした場合に必要な情報です。
特に理由がない状態で、まばたきが多い、せき払いや鼻をすする、首をすくめるなど特定の動作を繰り返す場合は、チックの可能性が考えられます。
また、多くの人は症状が出る前に「ムズムズする」「圧迫感が高まる」などの違和感があるといわれています。
この感覚は周囲の人には感じられないため、本人の言葉を注意深く聞くことも大切です。
チックと上手く付き合うためにできること
大部分のチックは時間とともに落ち着いてくるため、チックに気づいても医学的な対応をしなければならないケースは限られています。
そのため、1年以上続くケースや日常生活に支障が出るようなケースを除き、経過を見守るのが一般的です。ここではチックと上手に付き合うための見守り方を紹介します。
●無理にやめさせようとしない
チックに気づいたらやめさせようとしたくなる人もいると思いますが、チックは自分の意志でコントロールしにくいものです。
注意されたり叱られたりすることで、ストレスを感じ症状が悪化してしまうこともあります。
無理にやめさせようとせずに、優しく見守ることを心掛けましょう。
●周囲の理解と穏やかな対応
チックに気づいたら、家庭内だけでなく保育園や学校の先生に状況を伝えておくことが大切です。
周りの大人に状況を伝えておくことで、周囲から「集中していない」「ふざけている」などの誤解を防げます。
周囲の大人が気を配るとともに、子どもが安心して過ごせる環境を整えることが、チックの改善に結びつくことがあります。
●規則正しい生活を送る
生活リズムの乱れがチックの頻度に影響を与えることがあります。
そのため、睡眠を十分にとり、リラックスできる時間をとるなどして過ごすことで、チックの改善につながる可能性が高くなります。
まとめ
チックの原因や種類、見守り方などを解説しました。
チックは、子どもにみられる一時的な症状で、大部分のケースは自然に軽くなっていきます。
一方、症状が1年以上長期間現れるケースや生活に支障が出るようなケースでは、医師や支援機関との連携が必要になることもあります。
チックに気づいても、子どもを優しく見守り安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
気になる症状が現れた場合は、ひとりで考え込まず、早めに専門機関に相談しましょう。