コラム コラム

触覚過敏のセルフチェックとは?発達障害との関係や対策を解説

2026.02.11
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • 発達障害

服や感触を嫌がる子どもが抱えるしんどさの正体

「特定の服を嫌がって着替えに何十分もかかる」「手が汚れただけでパニックになる」

こうした子どもの様子に戸惑い、疲れ果てている保護者は少なくありません。「わがままで言っているのではないか」「育て方が甘いのだろうか」と自分を責める必要はありません。特定の刺激を極端に嫌がる背景には、本人の努力不足ではなく、脳の情報処理の特性である触覚過敏が隠れていることがあります。

この記事では、触覚過敏のメカニズムやセルフチェック、発達障害との関係、家庭でできる具体的な対策や治し方について詳しく解説します。子どものしんどさの正体を知ることで、今日からの関わり方が少しずつ変わっていくはずです。

触覚過敏とは刺激を強く受け取りすぎる状態

触覚過敏とは、皮膚に触れる刺激を、他の人よりも何倍も強く、あるいは不快なものとして受け取ってしまう状態です。

日常の何気ない感触が苦痛に感じる理由

私たちが普段、当たり前のように感じている服が肌に触れる、服が当たるといった刺激。これらが触覚過敏を持つ子どもにとっては、まるで針で刺されたような痛みや、得体の知れない恐怖として感じられることがあります。

決して大げさに騒いでいるわけではなく、脳が刺激を危険なものと誤認し、心身が防衛本能(闘争・逃走反応)を起こしている状態です。嫌なものから逃げようとして泣いたり暴れたりするのは、脳が非常事態に陥っているためです。子どもは不快感を言語化する力が未発達なため、その言葉の裏側に大人には想像もつかないほどの混乱が隠れていることを理解する必要があります。

感覚統合の視点から見る脳の仕組み

こうした感覚の偏りを理解するうえで大切なのが感覚統合という考え方です。私たちの脳は、五感や身体の動きを感じる感覚(固有受容覚や前庭覚)など、入ってくる膨大な情報を整理してひとつのまとまりとして処理しています。

触覚には、もともと「識別能力(形や素材を判別する)」と「防衛反応(危険を察知する)」の2つの役割があります。触覚過敏の場合、この防衛反応が過剰に働いてしまっています。本来なら無視できる微細な刺激に対しても脳がアラートを鳴らし続けるため、常に神経が張り詰めた状態になりやすいのです。

また、触覚過敏には感覚の波があることも理解しておかなければなりません。昨日は着られた服が今日は絶対に無理、という現象が起きるのは、体調や気圧、心の疲れ具合によって脳の処理能力が変動するためです。昨日はできたから今日もできるはずと無理強いせず、そのときどきの感覚に合わせて対応することが大切です。

日常生活の気になるサインから子どもの特性を知るセルフチェック

子どもが何に対して、どの程度の生きづらさを感じているのか、日常の様子を次のセルフチェック項目からチェックしてみましょう。

特定の服や素材を痛いと極端に嫌がる

・服の裏側のタグが当たると痛いと嫌がる。

・靴下の縫い目が気になって、何度も履き直したり脱ぎ捨てたりする。

・セーターのチクチクや、ピタッとしたタイツなどを一切受け付けない。

・新品を嫌がり、着慣れた特定の服(クタクタになったものなど)ばかりを着たがる。

・帽子のゴムや、ズボンのウエストの締め付けを異常に気にする。

本人にとっては、服を着る行為自体が、皮膚を常に攻撃され続けるような感覚である場合があります。

泥遊びや手洗いなど手が汚れるのを激しく拒む

・砂遊びや泥遊びを極端に嫌がり、指先が汚れるとパニックになる。

・糊や粘土のベタベタした感触を気持ち悪いと嫌う。

・食事中、口の周りや手が少し汚れただけで、すぐに拭くように訴える。

・手洗いの際、水が跳ねたり石鹸の泡がついたりするのを怖がる。

大人には些細な汚れも、子どもにとっては皮膚を侵食されるような耐えがたい異物感である場合があります。

散髪や人との接触など体に触れられる場面を怖がる

・不意に後ろから触られると、飛び上がるほど驚いたり怒ったりする。

・集団の中で、他の子と肩が触れ合うのを避けようとする。

・散髪や爪切り、耳掃除を激しく拒絶する。

・歯磨きを極端に嫌がり、口の中にブラシが入ることを恐怖に感じる

自分のパーソナルスペースに予期せぬ刺激が入ることに、強い不安を感じています。

自閉スペクトラム症など発達障害との深い関係

触覚過敏は単独の症状として現れることもありますが、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの発達障害に伴う感覚の偏りの一症状として現れることが非常に多いのが特徴です。統計的には、ASDのある方の実に7割から9割近くが、何らかの感覚の過敏さ、あるいは鈍麻を抱えていると言われています。

単に神経質であるという言葉では片付けられない、発達障害の特性と感覚のしんどさの密接な関わりについて詳しく解説します。

感覚の偏りは生まれつきの脳の特性

近年の研究では、ASDのある方の多くが、何らかの感覚過敏感覚鈍麻を抱えていることが分かっています。これは、本人の性格や保護者の方の育て方が原因ではなく、生まれつきの脳の機能や神経系の配線の違いによるものです。

通常、私たちの脳には、入ってくる膨大な刺激の中から必要なものだけを選び出し、不要な情報をカットするフィルターのような機能が備わっています。しかし、発達障害の特性を持つ脳では、このフィルターがうまく機能しないことがあります。

例えば、隣の人の服が擦れる小さな音や、シャツのタグが肌に触れる微細な感触が、脳内で生命を脅かす緊急事態と同等の大きなアラートとして処理されてしまうのです。逆に、特定の感覚に対しては非常に反応が鈍い場合もあり、この過敏と鈍麻が混在していることも、本人にとっての世界を予測不能で不安定なものにしています。

周囲がこれくらい大丈夫と感じる刺激でも、本人にとっては脳の神経系が過負荷を起こしている状態であることを理解する必要があります。

こだわりやパニックの背景に隠れた感覚のしんどさ

特定の道順にこだわる、偏食が激しいといった行動も、実は触覚過敏が関係している場合があります。「いつもの道」にこだわるのは、新しい道では誰かとすれ違って肩が触れるかもしれない、生い茂った葉が肌をかすめるかもしれないといった、予期せぬ不快な接触を避けるための切実な防衛策であることも多いのです。

また、偏食においても、味覚そのものより口の中の感触が原因であるケースが多々あります。特定の食材が口の中でジャリジャリする、ベタベタするといった感触が、触覚過敏によって耐えがたい苦痛や恐怖として感じられている場合、それは好き嫌いの枠を超えた拒絶反応となります。

言葉で自分の状態を説明することが難しい子どもの場合、蓄積された感覚的な不快感が限界を超えたとき、突然のパニックや激しい癇癪として爆発することがあります。周囲からは突然怒り出した、わがままで暴れているように見えても、本人の内側では「ずっと痛みに耐えていたのが、最後の一押しで耐えきれなくなった」という状態かもしれません。

パニックを単なる問題行動として叱るのではなく、その背景にある感覚のしんどさに目を向け、不快感を取り除くための具体的な助けが必要な状態として捉え直すことが、本人を追い詰めないための第一歩となります。

大人の触覚過敏が抱える社会生活の困りごと

触覚過敏は成長とともに緩和されることもありますが、大人になっても特性を持ち続け、社会生活で苦労されている方もいます。

職場の身だしなみや満員電車でのストレス

・スーツや制服
ネクタイや襟の締め付けが気になり、仕事に集中できない。

・満員電車
見知らぬ人と肌が触れ合うことが、耐えがたいストレスになる。

・美容院や歯科
タオルを巻かれたり顔を触られたりすることに強い緊張を感じる。

大人の場合、我慢すべきだというプレッシャーから感覚を押し殺し、結果として過度な疲労や二次障害(うつや適応障害など)を招くケースが目立ちます。

自分自身の特性に気づくことの大切さ

大人になって自分は触覚過敏だったんだと気づくことで、これまでの生きづらさの理由が分かり、心が軽くなる方もいます。自分を責めるのではなく、耳栓や素材選びなどの回避策を堂々と取ることが重要です。

家庭でスモールステップでできる触覚過敏の治し方

無理に刺激に慣れさせようとする特訓は逆効果です。本人の安心感を土台に、少しずつ感覚の整理を助けてあげましょう。

無理に慣れさせず安心できる環境を整える

嫌がる刺激を無理に押し付けると、脳はますますその刺激を攻撃と捉え、過敏さが強まります。まずは不快な刺激を徹底的に排除し、脳をリラックスさせてあげましょう。

家の中に、刺激の少ないカームダウンスペースを作るのも有効です。段ボールハウスやテントのように、少し暗くて狭い空間は、感覚過敏の子どもにとって非常に落ち着く場所になります。安心できる場所があることで、子どもの神経系は初めて休息モードに入ることができます。

服のタグを切るなど素材選びの工夫

・タグを切る
あるいはタグのないプリントタイプを選ぶ。

・シームレスや裏返し
下着を裏返しに着せることで、縫い目が直接肌に当たらないようにします。

・天然素材
綿100%など本人が「大丈夫」と思えるものを選ぶ。

・洗剤の見直し
柔軟剤の強い香りが刺激になったり、タオルの吸水性が変わることで感触を嫌がったりする場合もあります。

・本人が選ぶ
自分で触って納得して選ぶ経験が、自己コントロール感を育みます。

遊びの中で感覚を育む感覚統合療法のアプローチ

・圧迫刺激
布団でくるむ遊びや、クッションに挟まれる遊び。強い圧がかかると脳はリラックスし、過敏さが和らぐ傾向があります。

・感触遊び
スライム、粘土、お米のプールなど、本人が興味を持てる範囲で。直接触るのが難しいときは、ビニール袋越しに触る、スプーンなどの道具を使うところから始めます。

・自分から触る
人から触られるのは嫌でも、自分から触る刺激は受け入れやすいものです。自分から触る経験を積むことで、脳が刺激をコントロールしやすくなります。

原始反射を統合して過敏さを根本から和らげる

赤ちゃんのときに身を守るための自動的な反応である原始反射が残存していると、身体が常に過緊張になり、触覚過敏が強く出ることがあります。

例えば、背中への刺激で身体が動いてしまう反射が残っていると、服が擦れるだけで落ち着きがなくなります。ハイハイ遊びや回転遊びなどの運動プログラムを通してこれらの反射を統合していくことで、身体の土台が安定し、感覚の過敏さが根本から軽減される場合があります。

専門機関のサポートで触覚過敏による生きづらさを解消する

家庭での工夫に限界を感じる場合は、専門家の力を借りることが大切です。

作業療法士など専門家による客観的なアセスメント

療育施設などに在籍する作業療法士(OT)は、感覚のプロフェッショナルです。その子が「なぜ嫌がるのか」を客観的に評価し、的確なサポート方法を提案してくれます。「実は触覚だけでなく、前庭覚(バランス)の不安が背景にあって、触られるとバランスを崩す恐怖から拒否している」など、深いレベルでの理解が得られることもあります。

ステラ幼児教室で進める自分らしい成長

ステラ幼児教室では、子ども一人ひとりの感覚特性に合わせた個別支援を行っています。無理に嫌なことをさせるのではなく、興味や関心のあるものや成功体験を通して「これなら大丈夫」「自分でできた」という自信を育んでいきます。

また、保護者の方の不安にも寄り添います。受給者証の申請方法から、家庭での環境調整の具体的なアドバイスまで、子どもに合わせてサポートをいたします。「今日は無理をしない」という選択も、子どもを守るうえで立派な支援のひとつです。

触覚過敏についてのまとめ

触覚過敏は目に見えにくいため、周囲からわがままやしつけの問題と誤解されやすい悩みです。しかし、その正体は脳が一生懸命に自分の身を守ろうとしている防衛反応の表れです。

脳の仕組みを理解し、適切な環境調整と感覚統合のアプローチを行うことで、しんどさは確実に和らげることができます。「痛いんだね」と、まずはその感覚を否定せずに受け止めること。その安心感こそが、子どもが外の世界と向き合うためのエネルギーになります。ひとりですべてを抱え込まず、専門機関と一緒に、子どもに合った心地よい世界を広げていきましょう。

子どもの発達特性や行動面でお悩みのときは、ステラ幼児教室にご相談ください。
一人ひとりに寄り添った支援と、オーダーメイドの個別授業で、子どもの成長をサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

ステラ幼児教室では随時見学受付中

名古屋市、大阪市に展開している児童発達支援事業所、ステラ幼児教室では随時見学を行っています。
子ども一人ひとりに合わせたオーダーメイドの授業で、子どもの発達と成長をサポートします。
お気軽にご相談ください。

幼児教室を詳しく見る

個別支援塾を詳しく見る

シェアする

フォローする

コラムトップへ
資料請求・見学 無料体験のお申し込み