二語文とは何か、また二語文はいつから、何歳頃に話し始めるのか。お子さまの言葉の発達について調べる中で、このような疑問や不安を感じていらっしゃる保護者の方は多いのではないでしょうか。
言葉の発達には大きな個人差があり、二語文が現れる時期や使い方も、お子さま一人ひとり異なります。そのため、年齢だけを基準に判断するのではなく、これまでの発達の積み重ねや、現在の理解力や関わりの様子を総合的に見ることが大切です。
本記事では、発達支援を専門とする立場から、二語文の意味や定義、いつから一般的に話し始めるのか、年齢の目安について分かりやすく解説します。あわせて、二語文の具体例、言葉がなかなか出ない場合に考えられる背景、ご家庭でできる関わり方、専門機関へ相談する際の目安についてもご紹介します。
二語文とは?
まずは、二語文の基本的な意味や特徴を見ていきましょう。
二語文とは2つの単語をつなげた文のこと

「ママ、だっこ」「ブーブー、きた」など、子どもが二つの言葉を組み合わせて話すものを“二語文”と呼びます。
子どもの言葉の発達は、「まんま」「ワンワン」など、一語だけで気持ちを伝えようとする時期から始まります。 これは“一語文”と呼ばれる段階で、言葉の世界へのはじめの一歩。 そして、その次に出てくるのが二語文です。
二語文が話せるようになると、子どもは今まで以上に、気持ちや状況を具体的に伝えられるようになります。 「ママ、きた」と言えたときには、「お母さんが来たよ」と伝えているわけです。 短いながらも、言葉と言葉をつなげて、自分のまわりで起きたことを誰かに伝えようとする姿が見えてきます。
この時期の子どもは、自分の言葉がちゃんと伝わったとき、とても嬉しそうな表情を見せます。 その「伝わった」という経験が増えることで、「もっと話したい」という気持ちが自然と芽生えてきます。 まわりの大人とのやりとりも少しずつスムーズになり、そこからまた新しい学びや発見が生まれていきます。
子どもがよく使う二語文の例
子どもが話し始める二語文には、いくつかのタイプがあります。
たとえば、「ジュース、ちょうだい」「ママ、だっこ」など、欲しいものやしてほしいことを伝える二語文。名詞のあとに「ちょうだい」や「たべたい」といった言葉がつながり、自分の気持ちをまっすぐ表現しようとします。
「ワンワン、いた」「おはな、きれい」といった言い方は、見たものや感じたことを誰かに伝えたい気持ちの表れです。「こんなものがあったよ」と、大人と気持ちを共有する力が育ってきている証です。
また、「ブーブー、のる」「こうえん、いく」など、自分や誰かの動きを伝える二語文もよく聞かれます。子どもは少ない語彙の中で、一生懸命に“今”を伝えようとしています。
やがて、「これ、なに?」「あれ、だれ?」といった質問の形も増えていきます。「ものには名前がある」と気づき始め、言葉の世界が広がっていくタイミングです。
一語文から二語文へ変化の過程
子どもが一語文から二語文へと移行していく過程では、頭の中でたくさんのことを伝えようとしています。
たとえば、子どもが「ワンワン!」と一言発したとき、その言葉には「犬がいるよ」「犬を見て」「犬がかわいい」など、さまざまな意味が込められている可能性があります。
この時期の子どもは、保護者に伝えたいことがどんどん増え、一語文にさまざまなメッセージを込めるようになります。これが二語文の前段階です。
保護者が子どもの言葉に耳を傾け、「ワンワン、いたね」「ワンワン、かわいいね」などと言葉を補ってあげることで、子どもは言葉の使い方を学び、語彙を増やしていきます。
二語文はいつから?何歳で話す?
二語文を話し始める時期には個人差がありますが、一般的な目安を知っておくと安心です。
子どもにおける言葉の発達段階を知ろう

子どもの言葉は、いくつかの段階を経て発達していきます。
子どものことばは、いくつかの段階を経て少しずつ育っていきます。
生後2か月ごろには、「あー」「うー」といったクーイングが始まります。喉の奥から出る柔らかい声で、機嫌のいいときによく聞かれます。
6〜9か月になると、「ばばば」「まんまん」といった喃語が出てきます。意味はなくても、発音がどんどん豊かになっていく時期です。
9か月を過ぎるころからは、指さしが見られるようになります。興味のあるものを大人に伝えようとするこの行動は、ことばの前段階としてとても大切です。
10か月から1歳半ごろには、「まんま」「ブーブー」といった意味のある一語文が聞かれるようになります。
さらに1歳半を過ぎると、「ママ、きた」「ジュース、ちょうだい」などの二語文も少しずつ出てくるようになります。
二語文は2歳前後が目安
二語文が聞かれるようになるのは、だいたい2歳前後がひとつの目安になります。もちろん、子どもによってタイミングには違いがあるので、「まだ言わない」と心配しすぎる必要はありません。
そもそも、二語文を話すには、それなりに言葉の数が必要です。単語が50語、あるいは100語くらいになる頃には、名詞だけでなく、動詞や形容詞もぽつぽつと出てくるようになります。そして、そうした語彙が少しずつ増えてくることで、初めて「ことばをつなげて話す」ことができるようになっていきます。
たとえば「ママ、きた」や「おやつ、たべたい」といった二語文は、言葉の理解と使い方の両方が育ってきている証拠です。大人から見れば何気ない一言かもしれませんが、子どもにとっては、たくさんの学びと経験が詰まった表現なのです。
子どもの発達には個人差がある
ただし、言葉の発達には大きな個人差があることを覚えておきましょう。
早い子どもでは1歳半頃から二語文を話し始めることもありますが、2歳半や3歳を過ぎてから話し始める子どももいます。目安の時期に二語文が出ていなくても、すぐに「発達が遅れている」とは言い切れません。
子どもの性格や生活環境、兄弟姉妹の有無なども言葉の発達に影響します。周りの子どもと比較して焦るのではなく、その子なりのペースを見守ることが大切です。
2歳で二語文が出ない原因とは
いつからうちの子どもは二語文がでるのだろうと心配な保護者の方もいらっしゃるでしょう。
2歳を過ぎても二語文が出ない場合、いくつかの原因が考えられます。

語彙の種類が偏っている
単語はたくさん知っているのに二語文にならない場合、語彙の「種類」が偏っている可能性があります。
二語文は、名詞と動詞、名詞と形容詞など、異なる種類の言葉を組み合わせて作られます。例を挙げると、「りんご」「バナナ」「いちご」など名詞ばかりを知っていても、「たべる」「ちょうだい」などの動詞や要求語を知らなければ、二語文にはなりません。
子どもが普段から話している言葉に注目し、どんな種類の言葉が足りないかを確認してみましょう。
動詞や要求語を覚えていない
二語文が出てくるようになるには、「りんご」「くるま」などの名詞だけでなく、「たべる」「いく」「ちょうだい」などの動詞や要求語も必要です。
もし、こうした言葉がまだ出ていないようであれば、日常の中で少し意識して使ってみるのもいいかもしれません。たとえば食事のときに「たべようね」、お出かけ前に「いくよ」など、具体的な場面に合わせて繰り返すことで、少しずつ覚えていくことが多いです。
なかでも「ちょうだい」「やって」「とって」などの言葉は、自分の気持ちを相手に伝える場面でとてもよく使われます。使える言葉が増えると、子ども自身も伝えやすくなり、やりとりがスムーズになっていきます。
聞こえに問題がある場合も
言葉の発達が遅い子どもの中には、聞こえに問題がある場合もあります。
子どもは言葉を耳から聞いて覚えていくため、聴力に問題があると言葉の発達に影響が出ることがあります。新生児期に聴力検査(新生児聴覚スクリーニング検査)を受けている場合は、その結果を確認しましょう。
後ろから小さな声で話しかけたときの反応や、名前を呼んだときに振り向くかどうかなど、日常生活の中で聞こえの様子を観察することも大切です。気になる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
ステラ幼児教室では、個別療育で子どもの言葉の成長と発達をサポートしています。
言葉の遅れが気になるときは、お気軽にご相談ください。
子どもの二語文を促す練習方法

子どもの言葉は、日々の生活の中で育っていきます。焦らず、その子のペースに合わせながら、言葉を促す関わり方を心がけましょう。
子どもに積極的に話しかける
子どもは言葉を耳から聞いて学習していきます。周囲の大人が積極的に話しかけることで、言葉の発達が促されます。
身の回りにあるものや、子どもが興味を持ったものについて、わかりやすい言葉で説明してあげましょう。例としては、りんごを見た時に「りんごだね」「赤いね」「おいしそうだね」など、子どもと同じものを見ながら声をかけることがポイントです。
言い間違いはやさしく直す
言葉を覚え始めたばかりの子どもは、言い間違いをすることがあります。「スプーン」を「プスーン」と言ったり、「テレビ」を「テベリ」と言ったりすることも珍しくありません。
このようなとき、「違うよ」と厳しく指摘するのは避けましょう。子どもが話すことにストレスを感じ、話さなくなってしまう可能性があります。
「そうだね、スプーンだね」とさりげなく正しい言葉で言い直してあげると、子どもは自然と正しい言葉を覚えていきます。
先回りして話さない
子どもが何かを言いたそうにしているとき、大人がその言葉を先回りして言ってしまうのは避けましょう。
たとえば、子どもがお菓子の入った棚を指さしたとき、「お菓子が欲しいのね、はいどうぞ」とすぐに渡してしまうと、子どもは「言わなくてもわかってもらえる」と思ってしまいます。
「何が欲しいの?」「どうしたの?」と質問して、子どもが自分で言葉にする機会を作ってあげましょう。
子どもの言葉にひと言付け加えて返す
子どもが一語文を話したときは、ひと言付け加えて返事をしてあげましょう。
たとえば、子どもが「りんご」と言ったら、「りんご、たべる?」「りんご、おいしいね」と答えます。「ワンワン」と言ったら、「ワンワン、いたね」「ワンワン、かわいいね」と返します。
このように大人が言葉のお手本を示すことで、子どもは語彙を増やし、言葉の使い方を学んでいきます。
絵本の読み聞かせで二語文を促す
絵本は、さまざまな言葉に触れる良い機会になります。
普段から絵本に親しんでいる子どもは、より多くの言葉を覚える可能性があるといわれています。絵本の中には日常生活では出会わない言葉もあり、語彙を広げるのに役立ちます。
読み聞かせの際は、絵を指さしながら「ワンワン、はしってるね」「おはな、きれいだね」と二語文で話しかけると、子どもも自然と二語文を学んでいきます。
遊びを通して子どもの言葉を引き出す
遊びを通して言葉を引き出すことも効果的です。
かくれんぼや宝探しゲームなど、隠れたものを想像する遊びは、言葉の発達を促すのに役立ちます。「どこかな?」「あった!」「みつけた!」など、場面に合わせた言葉かけを楽しみましょう。
また、おままごとやごっこ遊びも、やり取りの言葉を増やすのに適しています。「いただきます」「おいしいね」「もっとちょうだい」など、遊びの中で自然と会話が生まれます。
ステラ幼児教室では、個別療育で子どもの言葉の成長と発達をサポートしています。
言葉の遅れが気になるときは、お気軽にご相談ください。
子どもの言葉や発達が気になるときの相談先
子どもの言葉の発達が気になる場合は、専門機関に相談することができます。
かかりつけの小児科
まずは、かかりつけの小児科に相談してみましょう。
言葉の発達が遅い場合、聴力の問題や、コミュニケーションに関する特性が隠れていることもあります。小児科医は子どもの発達全般について診てくれるため、必要に応じて専門機関を紹介してもらえます。
乳幼児健診の際に相談するのも良い方法です。
市町村保健センター
地域の保健センターでは、子どもの健康や発達についての相談を受け付けています。
保健師や心理士などの専門スタッフが、子どもの発達状況を確認し、必要なアドバイスや支援につなげてくれます。1歳6か月児健診や3歳児健診の際に相談することもできます。
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、発達が気になる子どもに対して、日常生活の基本的な動作や集団生活への適応などの支援を行う施設です。
言葉の発達に関する相談も受け付けており、言語聴覚士などの専門家からアドバイスをもらえることもあります。お住まいの自治体の福祉窓口に問い合わせると、最寄りの施設を教えてもらえます。
【まとめ】二語文とは子どもの成長における大切な一歩

二語文とは、2つの単語を組み合わせた発話のことで、子どもは一般的に2歳前後で話し始めます。「ママ、だっこ」「ワンワン、いた」などの二語文を話すようになると、コミュニケーションの幅が広がり、子どもにとって大きな成長の一歩となります。
ただし、言葉の発達には個人差があり、目安の時期に二語文が出なくても心配しすぎる必要はありません。日常生活の中で積極的に話しかけたり、絵本の読み聞かせをしたりしながら、その子のペースに合わせて見守っていきましょう。
ステラ幼児教室では、個別療育で子どもの言葉の成長と発達をサポートしています。
言葉の遅れが気になるときは、お気軽にご相談ください。
ステラ幼児教室では随時見学受付中
名古屋市、大阪市に展開している児童発達支援事業所、ステラ幼児教室では随時見学を行っています。
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参考
• 厚生労働省「児童発達支援ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000171670.pdf
• 厚生労働省 「子ども家庭総合評価票 記⼊のめやすと⼀覧表」
https://www.mhlw.go.jp/content/000348513.pdf












