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子どもの熱せん妄はなぜ起こるのか?その理由と適切な対処法

2025.05.27
  • その他障害・疾患
  • 支援方法・家庭での過ごし方

子どもが高熱を出したとき、突然大声で泣き叫んだり、意味が通じないような話しをしたり、何かを怖がるような仕草をすることがあります。このような状態を「熱せん妄」と呼びます。突然のいつもと違う行動に驚き、どう対応すればよいのか戸惑う保護者の方も多いのではないでしょうか。

熱せん妄は、脳が高熱の影響を受けて一時的に混乱することで起こると考えられており、通常は短時間で治まることがほとんどです。しかし、重篤な病気との区別が難しい場合もあり、適切な対処を知っておくことが大切です。

そこで本記事では、熱せん妄が起こる理由や症状などをわかりやすく解説するとともに、症状が現れた際の適切な対処法についてもご紹介します。

目次

  • 熱せん妄について
  • 子どもの熱せん妄の対処法
  • まとめ
  • 熱せん妄について

    「熱せん妄」とは、高熱に伴って子どもが一時的に意識の混乱やいつもと違う行動を示す状態のことを指します。発熱中や熱が上がるタイミング、特に夜間に起こることが多く、突然泣き叫んだり、幻覚を見ているかのような言動をしたりすることがあります。

    この症状は、脳が高熱の影響を受けて一時的に混乱することで起こると考えられています。ほとんどの場合、時間が経つと自然に治まり、翌朝には子ども自身が覚えていないことが多いのも特徴です。

    では、なぜ熱せん妄が起こるのでしょうか?ここでは、その理由や具体的な症状について説明していきます。

    熱せん妄とは?

    熱せん妄(ねつせんもう)とは、高熱が出た際に一時的に意識の混乱やいつもと違う行動が見られる状態を指します。特に1歳から4歳頃の子どもに多く見られ、熱が出た夜間に突然起こることが特徴です。

    熱せん妄は、脳が高熱の影響を受けて一時的に混乱することが原因と考えられています。通常は短時間(数分〜30分程度)で落ち着き、翌朝には症状を覚えていないことがほとんどです。そのため、過度に心配する必要はありませんが、症状が長時間続く場合や意識が戻らない場合は、病院を受診することが推奨されます。

    熱せん妄を起こす理由

    熱せん妄の明確な原因は完全には解明されていませんが、高熱により脳内のホルモンバランスが崩れることが一因と考えられています。

    ​高熱時に大脳の温度が上がり、脳の細胞からノルアドレナリンやドーパミンなどの化学物質が過剰に放出されることで、神経の症状が引き起こされるとされています。 ​また、子どもは神経系が未熟であり、体温調節機能も大人ほど発達していないため、高熱による影響を受けやすいとされています。​

    参考元 グレイス病院
    https://www.mcs.or.jp/images/NewsPDF/NewsPDF_2zGzyv8YpMm3ummYXEh9gH5WavZj392d_1.pdf

    熱せん妄の主な症状

    熱せん妄の症状には以下のようなものがあります。​

    ●意味が通じないことを言う​
    ●幻覚や幻聴があり怖がったり笑い出したりする​
    ●食べ物ではないものを口に入れようとする​
    ●急に部屋の中を歩き回る​
    ●窓を開けて外に出ようとする​

    これらの症状は、脳症の初期症状とも似ているため、区別が難しいことがあります。​脳症の場合、いつもと違う行動が長時間続いたり、意識障害やけいれんを伴うことが多いとされています。 ​そのため、症状が長引く場合や重篤な場合は、医療機関への受診が必要です。

    起こりやすい子や年齢

    熱せん妄は、1歳から10歳頃までの子どもに見られることがあり、特に1歳から4歳の幼児期に起こりやすいとされています。 ​

    成長とともに神経系が発達し、高熱を出す機会も減少するため、中高生以上では発生頻度が低くなるでしょう。​また、体質的に熱を出しやすい子どもや、免疫反応が強い子どもは、熱せん妄を起こしやすい傾向があるとされています。 ​以前に熱せん妄を経験したことがある子どもは、再発する可能性もあります。​

    子どもの熱せん妄の対処法

    子どもが熱せん妄を起こすと、突然のいつもと違う行動に驚き、不安になる保護者の方も多いでしょう。しかし、適切な対処を知っていれば、落ち着いて対応することができます。

    熱せん妄は通常、一時的なもので時間が経つと自然に治まりますが、適切なケアを行うことで子どもが安心し、早く落ち着くことにつながります。また、症状が長引く場合や他の異常が見られる場合は、医療機関を受診する判断も重要です。

    本項では、熱せん妄が起こった際に家庭でできる具体的な対処法を、わかりやすく解説していきます。

    薄着にして体温を適度に冷やす

    高熱時には、体に熱がこもらないようにすることが大切です。​

    子どもを薄着にし、汗をかいている場合は速やかに着替えさせましょう。​また、首やわきの下、太ももの付け根などの太い血管が通る部位を氷枕や保冷剤で冷やすのも効果的です。​ただし、子どもが嫌がる場合は無理に冷やさず、快適さを優先してください。​

    こまめな水分補給で脱水を防ぐ

    発熱時には脱水症状を防ぐために、こまめな水分補給も必要です。

    ​経口補水液(OS-1など)が理想的ですが、子どもが嫌がる場合は無理せず、飲みやすい飲料を与えましょう。​また、味噌汁やスープなどで塩分を補給することも効果的です。​

    焦って子どもに刺激を与えない

    焦って、子どもへの声かけの際に強く揺さぶったり、大声で叱ったりしないようにしましょう。

    熱せん妄中の子どもは混乱しているため、無理に抱きしめたり、大声で呼びかけると逆効果になることがあります。優しく声をかける程度にし、触れられるのを嫌がる場合は少し距離を取るのも有効です。

    症状が落ち着くまで近くで見守る

    熱せん妄の症状が現れた際は、子どもの安全を確保しつつ、そばで静かに見守ることも大切です。​

    子どもが不安や恐怖を感じている場合、手を握ったり背中をさすったりして安心させてあげましょう。​ただし、子どもが触れられることを嫌がる場合は、無理に接触せず、優しく声をかけるなどして落ち着かせてください。​

    長引く場合は医療機関を受診する

    通常、熱せん妄の症状は数分から数時間以内に治まりますが、以下のような場合は速やかに医療機関を受診してください。​

    ●いつもと違う行動が1時間以上続く​
    ●呼びかけに全く反応しない
    ●視線が合わないなどの意識障害がある​
    ●けいれんを起こしている​
    ●症状改善後に再びいつもと違う行動を起こした​

    これらの症状は、脳症などの重篤な状態の可能性も考えられるため、早めの対応が必要です。以上の対処法を参考に、子どもの熱せん妄に適切に対応してください。​何よりも冷静に、子どもの安心と安全を第一に考えることが大切です。​

    まとめ

    熱せん妄とは、高熱時に子どもが一時的に意識の混乱やいつもと違う行動を示す状態を指します。特に1歳から4歳頃に多く見られ、突然泣き叫んだり、幻覚を見たりすることが特徴です。これは脳が高熱の影響を受け、ノルアドレナリンやドーパミンのバランスが崩れることで発生すると考えられています。通常は短時間で治まりますが、長引く場合やけいれんを伴う場合は、医療機関の受診が必要です。

    対処法としては、薄着にして体温を適度に冷やす、こまめな水分補給で脱水を防ぐ、症状が落ち着くまで近くで見守ることが大切です。子どもが不安を感じている場合は、優しく声をかけたり、手を握るなどして安心させましょう。一般的には一過性のものですが、いつもと違う行動が1時間以上続く、意識が戻らない、けいれんがある場合は速やかに医療機関を受診してください。

    熱せん妄は多くの子どもに起こり得る現象ですが、適切な知識や対応を知っておくことで冷静に対処できます。子どもの安心と安全を第一に考え、落ち着いて見守ることが重要です。

    参考元
    グレイス病院
    https://www.mcs.or.jp/images/NewsPDF/NewsPDF_2zGzyv8YpMm3ummYXEh9gH5WavZj392d_1.pdf
    J STAGE 論文「高熱に際しせん妄が出現した症例の鑑別診断」
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/35/4/35_4_310/_pdf

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