子どもの学習や友達関係の悩み、メタ認知能力が鍵かもしれません

何度言っても同じ間違いを繰り返してしまう、勉強で行き詰まっていてもどこが分からないのか本人も言えない、お友達とトラブルになりやすくすぐにカッとなってしまう。
子どもの学習面や対人関係について、このような悩みを抱えていませんか。
実はこれらの悩みの根っこには、メタ認知能力が深く関係している可能性があります。
メタ認知能力とは、ひと言で言えば自分自身を客観的に認識する力のことです。もうひとりの自分が、頭の中から自分自身を見ているような状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。
例えば、勉強中に「あ、今、集中できていないな」と気づいたり、会話中に「今の言い方はキツかったかも」と振り返ったりできるのは、メタ認知能力が働いているからです。この力が育つと、子どもは自分で間違いに気づいて修正したり、相手の気持ちを想像したりできるようになります。
この記事では、メタ認知能力とは何か、そしてその力を家庭でどのように伸ばしていけば良いのかを具体的なトレーニング方法も交えて分かりやすく解説します。
なぜ今メタ認知能力が重要なのか?

なぜ今、メタ認知能力が注目されているのでしょうか。
それは、AIの台頭や社会の急速な変化により、これからの子どもたちに「自ら学び、考え、問題を解決していく力」が不可欠になっているからです。
これまでは知識を正確に覚えることが重視されましたが、単純な知識量ではAIにかないません。本当に必要なのは、学び方を学ぶ力です。
メタ認知能力は、まさにその土台となります。
・自分に今、何が足りないのか(現状の認識)
・目標のために何をすべきか(計画)
・このやり方で合っているか(観察)
・うまくいかなかった原因は何か(振り返りと修正)
このように自分をコントロールする力は、勉強だけでなく、将来社会に出て仕事をするうえでも、良好な人間関係を築くうえでも不可欠です。メタ認知能力は、子どもが変化の多い社会を自立して生き抜くための一生モノのスキルなのです。
メタ認知能力が高い人と低い人の具体的な特徴

メタ認知能力が高い人、低い人には、どのような違いがあるのでしょうか。学習面、対人関係面での具体的な特徴を解説します。
高いメタ認知能力を持つ子の特徴
メタ認知能力が高い子どもは、自分を客観的に見る「もうひとりの自分」がうまく働いています。
【学習面】
・計画を立てて勉強できる
テストまであと1週間だから今日はここまでやろう、とゴールから逆算して計画を立てようとします。
・間違いから学べる
なぜ間違えたのかを自分で分析し、次に活かそうとします。
・分からないことを質問できる
自分が何を分かっていないのかを把握できるため、具体的に質問できます。
【対人関係面】
・相手の気持ちを想像できる
「今これを言ったら、相手はどう思うかな?」と、自分の言動が与える影響を考えます。
・感情のコントロールが比較的上手にできる
怒ったときも、「あ、今、自分は怒っているな」と自分の感情に気づき、一呼吸置こうと努めます。
低いメタ認知能力を持つ子の特徴
メタ認知能力が低い、あるいはまだ育っていない子どもは、自分を客観視することが苦手で、目の前のことに夢中になりがちです。
【学習面】
・行き当たりばったりで勉強する
計画を立てるのが苦手で、好きな科目から手をつけてしまいがちです。
・同じミスを繰り返す
間違えた理由を振り返らないため、再び同じ問題でつまずきます。
・分からないことを放置する
「何が分からないのか」すら分からず、質問できずに勉強が止まってしまいます。
【対人関係面】
・思ったことをすぐ口にする
相手がどう思うかを考える前に口にしてしまい、友達を傷つけてしまうことがあります。
・カッとなりやすい
自分の感情を客観視できず、怒りや不満をそのまま爆発させてしまいがちです。
・他責にする
問題が発生した際に他者や環境のせいにしてしまいがちです。
このような子どもの学習や行動面でのお悩みは、ステラ個別支援塾にご相談ください。
一人ひとりに合わせた個別授業で、子どもの成長をサポートします。
メタ認知が強すぎることのデメリットとは?
メタ認知能力は重要ですが、バランスも大切です。この力が強すぎることによるデメリットも存在します。これは、自分を客観視する力が過剰に働いてしまっている状態です。
例えば、以下のような傾向が見られることがあります。
・人の目を気にしすぎる
「周りは私のことをどう思っているだろう」と常に他者の視線を意識しすぎて、不安が強くなります。
・失敗を恐れて行動できない(完璧主義)
「もし失敗したらどうしよう」と考えすぎてしまい、最初の一歩が踏み出せなくなります。
・自己批判が強くなりすぎる
自分の言動を客観視できる反面、あのときの対応は最悪だったなど、過去の失敗を何度も振り返って自分を責め続けてしまいます。
もし子どもにこのような傾向が見られたら、完璧じゃなくても大丈夫、やろうとしたことが素晴らしいなど、結果ではなく過程を認め、安心感を与えてあげることが大切です。
家庭でできるメタ認知を伸ばす簡単トレーニング

メタ認知能力は、生まれつきの才能ではありません。家庭での日々の関わり方やトレーニングによって、誰もが後天的に伸ばしていくことができる力です。
魔法の質問で思考力を鍛える
最も簡単で効果的な方法は、親子の対話です。ポイントは、保護者の方が答えを教えるのではなく、子どもに考えさせる質問を投げかけることです。
・「どうしてそう思ったの?」
・(失敗したときに)「どうしてうまくいかなかったんだと思う?」
・(うまくいったときに)「何がよかったから、うまくいったんだと思う?」
これらの質問は、子どもが自分の思考のプロセスに意識を向けるきっかけになります。子どもがうまく答えられなくても責めず、そっか、そういうふうに考えたんだねと、考えようとしたこと自体を認めてあげてください。
計画、実行、振り返りのサイクルを遊びに取り入れる
メタ認知能力は、「計画→実行→振り返り→改善」というサイクルを回すことで鍛えられます。
・おもちゃの片付け
「どの順番で片付けたら、一番早く終わるかな?」
・休日の過ごし方
「明日は何をしたい? 公園に行くなら、何時に家を出ようか?」
このように、まずは簡単なことから始めてみましょう。そして、実行した後には「計画通りにできたかな?」と、親子で楽しみながら振り返る習慣をつけることが効果的です。
親子で気持ちを言葉にする練習
自分の感情に気づき、コントロールすることもメタ認知の重要な役割です。
まずは、絵本やアニメの登場人物の気持ちを想像することから始めてみましょう。
「このとき、主人公はどんな気持ちだったと思う?」などのことを子どもと話してみましょう。
また、日常生活の中で、保護者の方や子ども自身の気持ちを言葉にして代弁してあげることも有効です。「〇〇君は、ブロックが崩れて悔しかったんだね」などの声掛けです。
自分の気持ちや相手の気持ちを言葉にすることで、子どもは感情という目に見えないものを客観的に捉える練習ができます。
親子で学べるメタ認知を育てるおすすめの本

メタ認知について、もっと詳しく知りたい、あるいは子どもと楽しく学びたいという保護者の方のために、おすすめの本をいくつか紹介します。
保護者向けの本
『すごいメタ思考』(かんき出版/齋藤孝)
教育学者の齋藤孝先生の本です。本書は、メタ認知を行動面に落とし込んで導いてくれるのが良い部分で、身近な例も多く小学生でも読みやすいです。
子ども向けの本(絵本・児童書)
絵本の読み聞かせでメタ認知能力を鍛えることができます。絵本の中の様々なキャラクターの感情や心情を考えること、理解すること、共感することでメタ認知能力が向上する可能性があります。様々な絵本や児童書を子どもに読んであげて、一緒に考えたり話し合うことは、メタ認知能力を鍛えるとても良い方法です。
子どもの状態を客観視するセルフ診断チェックリスト
家庭でできるトレーニングを始める前に、まずは子どもの現状を客観的に把握してみましょう。
これは医療的な診断ではなく、あくまで子どもの得意・不得意を知り、今後の関わり方のヒントにするための簡易的なチェックリストです。子どもの日頃の様子を思い浮かべながらチェックしてみてください。
□物事の見通しを立てて、計画的に行動しようとする
□自分の得意なことや苦手なことを言葉にできる
□自分が今、集中しているか・していないかに気づける
□勉強などで間違えたとき、なぜ間違えたのかを考えようとする
□分からないことがあるとき、どこが分からないかを説明しようとする
□相手がどう思うかを考えてから、発言しようとすることがある
□自分が怒ったり、悲しんだりしている感情に気づくことができる
□失敗したとき、人のせいにせず、自分の行動を振り返ることがある
□忘れ物をしないように、自分で持ち物を確認することがある
□一度決めたやり方でうまくいかないとき、別の方法を試そうとする
チェックが少ないからといってダメという訳ではありません。まずは現状を把握し、本人が伸ばせそうな部分から取り組んでみると良いでしょう。
家庭でのトレーニングが難しい場合は専門機関に相談を

家庭でのトレーニングが難しいと感じる方も多いと思います。そういったときはひとりで悩まずに専門機関に相談するという方法もあります。
うまくいかないのは誰のせいでもありません
ここまで紹介したトレーニング法を試してみても、子どもが嫌がる、逆に親子関係がギクシャクしてしまったと悩んでしまう保護者の方もいるかもしれません。
まず知っておいてほしいのは、そのうまくいかない原因は、決して保護者の方の関わり方や愛情不足、ましてや、子どもの努力不足のせいではないということです。
背景には、子ども自身が生まれ持った認知の特性、つまり物事の見え方・捉え方・学び方の個性が関係している可能性があります。
なぜ専門機関のサポートが大切なのか
発達障害やグレーゾーンなど、発達に特性のある子どもの場合、みんなと同じ方法では、メタ認知能力を伸ばすのが難しいケースがたくさんあります。無理に一般的な方法を当てはめようとすると、かえって子どもの混乱を招き、「自分は何をやってもダメなんだ」と自己肯定感を下げてしまうことにもなりかねません。
このようなとき、専門機関の助けを借りると良いかもしれません。
・客観的な視点でのアセスメント(現状把握)
専門家が、子どもがどこでつまずいているのか、どんな支援が必要なのかを客観的に見立ててくれます。
・特性に合わせたオーダーメイドの指導法
その子の分かりやすい方法でアプローチするため、無理なく能力を伸ばし、できた!という成功体験を積み重ねることができます。
・保護者のための伴走者
保護者の方にとって、家庭での関わり方のアドバイスをもらえたり、日々の悩みを相談できたりする場も必要です。
こうした専門的なサポートを提供する場所として、ステラ個別支援塾があります。
ステラ個別支援塾は、発達障害や発達に遅れがある子ども専門の個別指導塾です。一人ひとりの特性に合った方法で、子どもの力を伸ばしていきます。
もし、子どもへの関わり方で悩んでいるときは、ぜひ一度、ステラ個別支援塾にご相談ください。ご家庭だけで頑張らなくてはと抱え込まず、お気軽にご相談ください。
メタ認知能力についてのまとめ
この記事では、子どもの学習や対人関係の土台となるメタ認知能力について、その重要性から家庭でできる簡単なトレーニング方法まで詳しく解説しました。
メタ認知能力は自分を客観視する力であり、変化の時代を生き抜くために不可欠なスキルです。
この力が高いと、計画的に行動したり、相手の気持ちを想像したりできますが、低い場合は行き当たりばったりになりがちです。メタ認知能力は、家庭での問いかけ、計画・振り返りの習慣化によって後天的に伸ばすことができます。
もし家庭でのトレーニングがうまくいかない場合は、子どもの特性に合った専門的な支援を頼ることも大切です。困った際はステラ個別支援塾にご相談ください。
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