コラム コラム

共感覚とは?文字や音が色に感じる例を心理学の見地から解説

2026.03.04
  • 発達障害
  • 支援方法・家庭での過ごし方

子どもが「この音は赤い色がする」「数字の5は黄色に見える」などと話していて、戸惑われたことはありませんか。突然そのような表現を聞くと、想像力が豊かなのだろうか、それとも何か心配な特性があるのだろうかと、不安になる方もいらっしゃると思います

これらは、共感覚と呼ばれる現象の可能性があります。決して珍しいことではなく、心理学や脳科学の分野でも研究が重ねられてきました。

この記事では、共感覚とはどのようなものかをわかりやすく例を挙げてご説明するとともに、心理学の視点から見た定義や種類、そして考えられている要因について丁寧に解説いたします。子どもが感じている世界を理解するための一助となれば幸いです。

共感覚とは?わかりやすく解説

共感覚とは、ひとつの感覚がきっかけとなって、本来は別に働くはずの感覚が同時に立ち上がる現象です。わかりやすく例を挙げると、音楽を聴くと色が見える、文字や数字にそれぞれ決まった色を感じるといった体験がよく知られています。

大切なのは、それが想像や比喩ではないという点です。本人にとってはごく自然な知覚であり、意識して作り出しているわけではありません。多くは幼少期から続いており、自分の感じ方が少数派だと後になって知ることもあります。

発達上の問題ではないかと心配されることもありますが、現在の心理学や脳科学では、共感覚は病気や障害ではなく、脳の情報処理の個人差のひとつと考えられています。珍しい特性ではありますが、過度に心配する必要はありません。

心理学における共感覚の定義

心理学では、共感覚は「ある感覚への刺激が、別の感覚における知覚体験を自動的に引き起こす現象」と定義されています。ここでいう感覚とは、視覚や聴覚、味覚、嗅覚、触覚といった基本的な感覚のことを指します。

研究の中で共通して確認されている特徴がいくつかあります。

第一に、本人の意思とは関係なく自動的に生じることです。考えようとして考えるのではなく、刺激があれば自然に起こります。

第二に、その内容に一貫性があることです。たとえばある音が赤く感じられる場合、日によって色が変わることはほとんどありません。

第三に、多くは幼少期から見られ、その後も比較的安定して続くことです。

このような特徴があるため、共感覚は空想や一時的な思い込みとは区別されています。あくまで、その人なりの知覚のあり方として理解されているのです。

共感覚を持つ人はどのくらいいるのか

共感覚を持つ人の割合については研究によって幅がありますが、近年はおよそ4パーセント前後と報告されることが多くなっています。おおよそ25人に1人という計算になりますので、決して極めてまれというわけではありません。

また、女性にやや多いという報告や、芸術や音楽など創造的な活動に携わる人に比較的多く見られるという指摘もあります。ただし、共感覚があるから必ず芸術的才能が高いというわけではありません。あくまで傾向のひとつとして理解することが大切です。

共感覚の種類と具体例を紹介

共感覚と一言でいっても、そのあらわれ方は実にさまざまです。どの感覚とどの感覚が結びつくかは一人ひとり異なり、同じ説明でくくることはできません。

ここでは代表的な例を取り上げながら、子どもの言葉や日常の場面を思い浮かべていただけるように整理していきます。気になる発言や行動の背景を考える手がかりとしてお読みください。

音に色を感じる共感覚

音に色を感じるタイプは広く知られており、色聴と呼ばれることもあります。音楽や話し声、学校のチャイムなどを聞いたとき、同時に特定の色が自然に浮かび上がるものです

たとえば、ピアノの高い音は白や淡い光のように、低い音は濃い青や紫のように感じられるという人がいます。ただし、音と色の対応は人それぞれです。同じ音でも、ある子には黄色に、別の子には透明感のある光として感じられることがあります。

教室で音楽を聴きながら「この曲は緑色だね」と子どもが言った場合、それは比喩とは限りません。その子にとっては実際にそう知覚されている可能性があります。大人が即座に否定するのではなく、いったん受け止める姿勢が、安心感につながるでしょう。

文字や数字に色が見える共感覚

文字や数字に色が見えるタイプを。書記素色覚と呼びます。ひらがなや漢字、アルファベット、数字などを見たとき、それぞれに固有の色が伴うタイプです。「あ」は赤、「い」は青というように、文字ごとに一貫した色が存在しています。

この感覚は学習面で強みになることもあります。文字や数字に色が重なることで記憶が安定し、暗記がしやすくなるのです。計算の途中で色の違和感に気づき、誤りを修正できる場合もあります。一方で、教材の色使いが感覚と合わず、混乱を招くことも少なくありません。

子どもが「この漢字は黄色だから覚えやすい」と話すとき、それは単なる気分ではなく、知覚の特徴を反映している可能性があります。

味や匂いに色を感じる共感覚

味や匂いに色を感じるタイプもあります。甘さに淡い桃色が重なり、酸味には鮮やかな黄色が伴うといった具合です。香りに対しても、特定の色や光の印象が生じることがあります。

食事の場面で「このスープは青い味がする」と言われると戸惑うかもしれません。しかし、本人にとっては誇張でも空想でもなく、感じたままの表現なのです。理解できないからといって打ち消してしまうと、自分の感覚を語ることに慎重になることがあります。まずは事実として受け止めることが大切です。

時間や曜日に色がつく共感覚

時間や曜日、月といった抽象的な概念に色が伴う場合もあります。月曜日は青、火曜日は赤というように、曜日ごとに明確な色が結びついているタイプです。月や一年の流れに、形や配置を感じる子どももいます。

このような感覚をもつ子どもは、カレンダーや時間割を色のまとまりとして記憶していることがあります。予定を思い出す際、言葉よりも先に色の印象が浮かぶこともあります。周囲には独特に見えても、本人にとっては世界を整理する自然な方法です。

共感覚は特別な才能というよりも、感じ方のひとつのバリエーションです。困りごとにつながる場面もあれば、学習や記憶の支えになることもあります。大切なのは、正誤で判断するのではなく、その子がどのように世界を経験しているのかを理解しようとする姿勢です。その積み重ねが、安心して学べる環境をつくります。

共感覚が起こる原因とは


共感覚がなぜ生じるのかについては、現時点でも完全には明らかになっていません。ただし、脳科学や心理学の研究が積み重ねられる中で、いくつかの有力な見方が示されています。

脳科学から見た共感覚のメカニズム

脳科学の分野では、共感覚は脳内の異なる領域どうしの結びつきが、一般よりも強いことによって起こると考えられています。たとえば、音を処理する聴覚の領域と、色を処理する視覚の領域が密接につながっている場合、音を聞いた瞬間に色の情報も同時に働くといった具合です。

このような結びつきがなぜ保たれるのかについてはまだわかっていませんが、幼少期の発達段階で本来整理されるはずの神経のつながりがそのまま残るという仮説があります。

遺伝的な要因が関係している可能性

共感覚には遺伝的な要因が関係している可能性も指摘されています。研究によると、共感覚を持つ人の約40パーセントには、同じく共感覚を持つ家族がいるとのことです。

ただし、親子で共感覚を持っていても、その種類は異なることが少なくありません。共感覚の傾向は受け継がれても、具体的な現れ方は人それぞれです。

共感覚の判定方法やテストについて

子どもに共感覚があるのかもしれない、と感じたとき、確かめる方法があるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、現時点で行われている確認の方法について整理します。

自分でできる共感覚のセルフチェック

ご家庭でできる簡単な確かめ方があります。たとえば「この音を聞くと、どんな色が思い浮かぶ」と落ち着いた場面で尋ねてみてください。共感覚がある場合、考え込むというより、自然に特定の色を答えることが少なくありません。

その場かぎりで判断せず、時間をあけて同じ質問をしてみることも大切です。数週間後に改めて尋ねても、ほぼ同じ色を答えるようであれば、共感覚の可能性は高まります。

専門機関で受けられる判定テスト

より客観的に確かめたい場合は、専門機関での評価という選択肢があります。代表的なのは一貫性を測るテストで、同じ刺激に対して感じる色や印象を複数回答えてもらい、その一致度を確認します。偶然や気分による回答との違いを見ていく方法です。

日本では専門的な判定を行う機関はまだ多くはありませんが、筑波大学で研究されている共感覚の判定テストがあります。

診断の有無にとらわれすぎず、子どもの感じ方を理解する手がかりとして活用することが大切です。

共感覚を持つ子どもに対する接し方の例

共感覚のある子どもと向き合うとき、特別な対応をしなければならないのではと構えてしまう方もいます。基本は、とてもシンプルです。子どもが感じている世界をそのまま尊重する姿勢が、出発点になります。

ここでは、ご家庭や学校で意識しておきたい点をお伝えします。

保護者が理解しておきたいポイント

何より大切なのは、体験を否定しないことです。「そんなはずはない」と言われると、子どもは自分の感覚そのものを疑うようになります。共感覚は作り話ではなく、その子にとっては現実の知覚なのです。

子どもが色や形の話をしてくれたときは、評価せずに耳を傾けてみてください。「どんな色なの」「いつも同じ色なの」と穏やかに尋ねるだけでも、自分の感覚を安心して語れるようになります。

共感覚は病気でも異常でもなく、その子の感じ方のひとつです。まずは個性として受け止める姿勢が土台になります。

学校生活で気をつけたいこと

子ども自身が、自分の感覚の特徴を少しずつ理解していくことも大切です。ほかの人とは感じ方が違う場合があること、それは間違いではないことを、落ち着いて伝えていきましょう。過度に特別視する必要はありませんが、自分を肯定的に捉えられる言葉が支えになります。

学校との連携もひとつの方法です。担任の先生にあらかじめ伝えておくことで、誤解や戸惑いを防げることがあります。ただし、どこまで共有するかは子どもの気持ちを最優先に考えて決めましょう。本人が安心して過ごせる環境を整えることが、何よりも重要です。

共感覚と発達障害には関係があるのか

共感覚と発達障害に関連があるのかどうかは、保護者の方にとって気になるテーマだと思います。ここでは、現在わかっている範囲の知見を整理しておきます。

発達障害の子どもに見られる共感覚の特徴

研究の中には、発達障害のある子どもに共感覚が見られる割合が一般より高いとする報告がありました。とくに自閉スペクトラム症のある人では、共感覚をもつ割合が数倍にのぼるという調査もあります。

ただし、ここで誤解してはいけないのは、発達障害があれば必ず共感覚があるというわけではないという点です。共感覚はあくまで感覚の特性のひとつであり、発達障害とは別の軸にあります。もし両方の特性が見られる場合には、それぞれの特徴を丁寧に理解し、生活や学習の場面でどう支えるかを考えていくことが大切です。

感覚過敏との違いを知っておこう

共感覚と混同されやすいものに、感覚過敏があります。感覚過敏は、音や光、においなどの刺激に対して強い不快感や苦痛を覚える状態です。

一方、共感覚は感覚どうしが結びついて現れる現象であり、基本的には刺激そのものが苦痛になるわけではありません。音に色が重なるからといって、それ自体がつらい体験とは限らないのです。

ただし、発達障害のある子どもの中には、共感覚と感覚過敏の両方が見られる場合も少なくありません。その際は、それぞれを切り分けて考え、場面に応じた配慮を重ねていく必要があります。

トレーニングで共感覚は身につくのか

共感覚は練習によって後から身につけられるものなのか、疑問に思う方も少なくありません。現在の研究では、生まれつきの脳の働き方や発達の過程に関わる特性と考えられており、意図的な訓練で本来の共感覚を獲得することは難しいとされています。

色と音を結びつけて覚える練習を重ねれば、似たような連想を作ることはできるかもしれません。しかし、それはあくまで学習による関連づけであり、自然に同時に立ち上がる知覚とは性質が異なります。共感覚を持たない人が無理に身につけようとする必要はありません。むしろ大切なのは、そうした感じ方が実在することを理解し、尊重する姿勢です。

共感覚を活かすためにできること

共感覚は珍しい現象として語られがちですが、それだけにとどまりません。子どもの学び方や表現の仕方に影響を与える可能性があります。

子どもの個性として前向きに捉える

共感覚は、記憶や創造的な活動に良い方向に働くことがあります。文字や数字に色が伴うことで記憶が整理されやすくなったり、音に色を感じることで音楽や美術の表現が豊かになったりする場合もあるのです。もちろん、すべての子どもに当てはまるわけではありませんが、可能性のひとつとして見守る価値はあります。

「どうしてそんな色が見えるの」と問いただすのではなく、「その色はどんな感じ」と関心を向けるだけで、子どもは自分の感覚を肯定的に受け止めやすくなります。共感覚は矯正すべきものではなく、その子の世界のとらえ方の一部です。丁寧に理解を重ねていくことが、結果としてその子の力を引き出すことにつながります。

【まとめ】共感覚とは何かを理解し特性を活かす関わり方を

本記事では、共感覚とはどのような現象なのか、その背景にある考え方、そして子どもとの関わり方について整理してきました。

共感覚は、音に色を感じる、文字や数字に固有の色が見えるといった、感覚どうしが自然に結びつく特性です。現在の研究では、病気や障害ではなく、脳の情報処理のあり方に見られる個人差のひとつと理解されています。

大切なのは、その体験を正誤で判断しないことです。否定せずに耳を傾け、特性を踏まえて学習や生活を整えていくことで、戸惑いは小さくなり、強みが生かされやすくなります。

共感覚は珍しい特性ではありますが、子どもの世界のとらえ方を豊かにしている側面もあります。その感覚世界を尊重する姿勢こそが、安心と成長を支える土台になります。

ステラ個別支援塾は、子どもの特性に合わせたオーダーメイドの授業で、子どもの学習をサポートしています。
子どもの発達や学習の遅れなど気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

ステラ個別支援塾では無料体験実施中

ステラ個別支援塾では、随時無料体験を実施しています。
子どもの学習やコミュニケーションなど気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

幼児教室を詳しく見る

個別支援塾を詳しく見る

シェアする

フォローする

コラムトップへ
資料請求・見学 無料体験のお申し込み