こもり熱かもしれないと不安を感じている方へ

「さっきまで元気に遊んでいたのに、急に体が熱くなった」「熱を測ってみたら37度以上あるけれど、鼻水も咳も出ていない」
わが子のそんな姿を見て、どうしたのだろうと不安を感じてしまう方は少なくありません。風邪をひいたのかと心配して様子を見ていても、本人は意外とけろっとしていたり、水分をとって涼しい場所で休ませるとすぐに平熱に戻ったりすることがあります。
それは、風邪による発熱ではなくこもり熱かもしれません。
こもり熱は、病気による発熱とはメカニズムが異なります。しかし、適切な対処法や予防法を知らないと、何度も繰り返してしまったり、そこから体調を崩してしまったりすることもあります。
この記事では、こもり熱とはどのような状態を指すのか、風邪との見分け方や家庭でできる治し方について詳しく解説します。
子どもや大人の原因について

こもり熱という言葉は聞いたことがあっても、実際にどのようなメカニズムで起こるのかまではよく知らないという方も多いのではないでしょうか。まずは、その正体と原因について見ていきましょう。
こもり熱とは熱が逃げ場を失った状態のこと
こもり熱とは、文字通り体の中に熱がこもってしまう状態のことです。
通常、私たちの体は、暑いときには汗をかいたり、皮膚の血管を広げたりして、余分な熱を外に逃がそうとします。これにより、外の気温が変化しても体温を一定に保つことができるのです。
しかし、何らかの理由でこの熱を逃がす仕組みがうまく働かなくなると、体の中に熱が溜まってしまい、一時的に体温が上がってしまいます。これがこもり熱です。魔法瓶の中に温かい飲み物を入れたままにしておくと、いつまでも温度が下がらない状態をイメージすると分かりやすいかもしれません。
子どもがなりやすい原因は体温調節機能の未熟さ
特に子どもは、大人に比べてこもり熱になりやすいといわれています。それには、子ども特有の体の発達が関係しています。
ひとつは、体温調節機能が未熟であることです。赤ちゃんや小さな子どもは、汗をかく機能が十分に発達していません。そのため、外気の影響を強く受けやすく、一度体温が上がると自分自身の力で下げるのに時間がかかってしまいます。
また、子どもは大人に比べて新陳代謝が非常に活発で、もともと体温が高めです。狭い室内で元気に動き回るだけでも、体の中でたくさんの熱が作られます。そこに厚着をしていたり、室温が高すぎたりすると、逃げ場を失った熱が体にこもってしまうのです。
さらに、自閉スペクトラム症(ASD)などの特性を持つ子どもの場合、感覚鈍麻と呼ばれる感覚の偏りが見られることがあります。暑さを感じにくく、体温調節が苦手な特性があるため、周囲の大人が気づかないうちに熱がこもってしまうケースもあります。
大人も無関係ではない原因とリスク
こもり熱は子どもの問題と思われがちですが、実は大人も無関係ではありません。
大人の場合、原因のひとつとして考えられるのが「自律神経の乱れ」です。過度なストレスや睡眠不足、不規則な生活などが続くと、体温調節を司る自律神経がうまく働かなくなります。その結果、汗をかいて熱を逃がすという本来の機能が低下し、熱がこもりやすくなってしまうのです。
また、加齢による影響も無視できません。高齢になると、暑さを感じるセンサーが鈍くなったり、発汗量が減ったりするため、こもり熱から熱中症へと進行してしまうリスクが高まります。
こもり熱と風邪による発熱との違い

熱があるという点では同じですが、こもり熱と風邪による発熱は、その原因も対処法も全く異なります。
発熱との違いは環境によって体温が変わるかどうか
最も大きな違いは、体温が上がるきっかけです。
風邪などの感染症による発熱は、体の中に侵入したウイルスや細菌をやっつけるために、脳がわざと体温を上げようとして起こる反応です。そのため、部屋を涼しくしたり服を脱がせたりしても、熱はなかなか下がりません。
対して、こもり熱は外部環境や着衣などの影響で、物理的に熱がこもっているだけです。したがって、原因となっている環境を整えれば、比較的短時間で熱が下がるのが特徴です。
子どもの全身状態から見る発熱との違いと判断
体温計の数字だけでなく、子どもの全身の状態をよく観察することが、判断のヒントになります。
こもり熱の場合は、熱があっても本人は元気で、食欲もあり、機嫌が良いことが多いです。顔が赤くなって汗をかこうとしている様子が見られることもあります。
一方で、風邪による発熱の場合は、熱以外に以下のような症状を伴うことが一般的です。
・ぐったりしている、元気がない
・食欲が極端に落ちている
・鼻水、咳、のどの痛みがある
・嘔吐や下痢をしている
もし、熱が高くても本人がケロッとしていて、涼しい場所で水分をとったら30分から1時間ほどで熱が下がってきたのであれば、こもり熱であった可能性が高いといえます。
ウイルス感染と発熱との違いを見極めるポイント
ウイルス感染による発熱か、こもり熱かを見極めるもうひとつのポイントは、一日の体温の変化です。
風邪の場合は、朝は低くても夕方から夜にかけて再び熱が上がってくることが多いです。しかし、こもり熱は、適切な対処をして熱が一度下がれば、環境が整っている限り再び上がってくることはありません。
ただし、中耳炎のように、見た目には分かりにくい感染症が隠れていることもあります。熱が下がらない、あるいは何度も繰り返す場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
こもり熱の原因は何か?

こもり熱を防ぐためには、どのような場面で熱がこもりやすいのか、具体的な原因を知っておくことが大切です。
子どもの主な原因は厚着と室温のミスマッチ
子どものこもり熱で最も多い原因は、やはり着せすぎと暖めすぎです。
保護者の方は、子どもが冷えないようにと、つい厚着をさせたり、何枚も重ね着をさせたりしてしまいがちです。しかし、前述したように子どもは代謝が良く、大人が「少し肌寒いかな」と感じるくらいがちょうど良い場合も多いのです。
特に、冬場の過剰な暖房や、夏場の閉め切った室内、チャイルドシートに座らせているときなどは注意が必要です。体と座面の間に熱がこもり、逃げ場がなくなることで、短時間で体温が上昇してしまいます。
大人の主な原因は自律神経や加齢の影響
大人のこもり熱の原因は、生活習慣や体質の変化が深く関わっています。
現代人はエアコンの効いた室内で過ごす時間が長いため、汗をかく機会が減り、発汗機能が衰えやすくなっています。また、更年期などのホルモンバランスの変化によって、急に体が熱くなる「ホットフラッシュ」を経験することもありますが、これも自律神経が関係した体温調節の乱れのひとつです。
さらに、激しい運動をした後に、十分にクールダウンができていない場合も、体内に熱が残ってしまうことがあります。
季節によって変わる原因と対策
こもり熱は、夏だけのものではありません。季節ごとに注意すべきポイントが異なります。
・夏
高温多湿の環境が最大の原因です。湿度が高いと汗が蒸発しにくいため、熱が逃げにくくなります。
・冬
厚着や、電気毛布、暖房の使いすぎが原因となります。また、冬は空気が乾燥しており、水分不足から脱水症状に近い状態になり、体温調節機能が低下することもあります。
・季節の変わり目
朝晩の寒暖差が激しいため、服装の調整が難しく、日中の気温上昇に対応できずに熱がこもることがあります。
感覚過敏や感覚鈍麻を持つ子どもの場合、これらの季節の変化による不快感や温度変化を言葉でうまく伝えられず、イライラやパニックとして現れることもあります。
自宅でできるこもり熱の効果的な治し方

こもり熱かもと思ったら、まずは焦らずに、体の中に溜まった熱を逃がしてあげるための処置を行いましょう。
着衣や室温を調整する即効性のある治し方
まず行うべきは、物理的に熱を逃がす道を作ることです。
・衣服を脱がせる
重ね着をしている場合は枚数を減らし、ベルトやボタンを外して風通しを良くします。
・室温を下げる
エアコンや扇風機を使い、室温を下げます。ただし、風が直接体に当たらないように注意しましょう。
・場所を移動する
日当たりの良い場所から、日陰や涼しい部屋へ移動させます。
感覚統合に課題がある子どもの場合、特定の衣服の素材を嫌がってパニックになることもあるため、本人がリラックスできる素材の服に着替えさせることも有効です。
水分補給で脱水を防ぐ正しい治し方
熱がこもっているときは、体の中の水分も失われやすくなっています。水分が不足すると、汗をかいて熱を下げる機能がさらに低下してしまうため、こまめな水分補給が欠かせません。
一度にたくさん飲ませるのではなく、スプーン1杯や一口ずつ、回数を分けて飲ませるのがコツです。冷たすぎる飲み物は内臓に負担をかけるため、常温か、少し冷たい程度の水や麦茶、イオン飲料などが適しています。
体表を優しく冷やす治し方と注意点
環境を整えてもなかなか熱が下がらない場合は、体を直接冷やす方法も有効です。
効果的な場所は、太い血管が通っている「首の横」「脇の下」「太ももの付け根」です。保冷剤や冷たいタオルを当ててあげましょう。
ただし、子どもが嫌がる場合は無理に行わないでください。また、氷などで急激に冷やしすぎると、血管が収縮して逆効果になることもあるため、タオルで包むなどして優しく冷やすことが大切です。
原始反射の残存がある子どもの場合、冷たい刺激に対して過剰に驚いてしまう(モロー反射など)こともあるため、本人の様子を見ながら慎重に行いましょう。
原因を取り除きこもり熱を予防する環境づくり

こもり熱は、日頃のちょっとした工夫で未然に防ぐことができます。
原因となる着せすぎを防ぐ子どもの服装選び
子どもの服装は、大人よりも1枚少なめを基本にしましょう。
外遊びをするときや、電車や車で移動するときなど、状況に合わせて脱ぎ着がしやすいように重ね着を活用するのがおすすめです。また、吸湿性や速乾性の良い綿素材などの服を選ぶと、汗をかいても熱がこもりにくくなります。
自分で自分の状態を客観的に見るメタ認知能力が育ってくると、子ども自身が「あ、今暑いな」と気づいて、自分で服を脱ぐなどの調整ができるようになります。日頃から「今日は暑いね、1枚脱ごうか」といった声掛けをして、感覚と言葉を一致させる練習をするのも良いでしょう。
寝具による原因を解消する睡眠環境の整え方
寝ている間のこもり熱にも注意が必要です。
子どもは寝ている間に大量の汗をかきます。厚手のパジャマや、何枚も掛けられた布団は、熱のこもる原因になります。背中に手を入れてみて、汗ばんでいるようなら、布団を薄くしたり、パジャマを夏物に変えたりして調整してください。
また、枕元に保冷枕(氷枕)を置くことも、頭の熱を逃がすのに効果的です。睡眠環境を整えることは、集中力や情緒の安定にもつながる大切な要素です。
こもり熱についてのまとめ
こもり熱は、病気ではありませんが、体温調節機能が未熟な子どもや、自律神経が乱れがちな大人にとって、身近に起こりうるトラブルです。
大切なのは、「風邪かな?」と慌てる前に、まずは環境を見直してみることです。涼しい環境を作り、水分をとり、余分な熱を逃がしてあげる。これだけで、多くのこもり熱は改善します。
しかし、一見こもり熱のように見えても、背景に発達の特性による体温調節の難しさや、感覚の偏りが隠れている場合もあります。また、何度も熱を出すことが子どもにとって大きなストレスとなり、不登校や二次障害につながる可能性もゼロではありません。
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