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【癇癪とは?】理由や意味・年齢別の傾向・対処法など徹底解説

2025.12.05
  • 発達障害
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「些細なことで突然怒り出す」「思い通りにならないと手がつけられなくなる」など、子供の癇癪(かんしゃく)に悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。
また、大人でも感情のコントロールが難しく、癇癪を起こす人に周りが困るケースもあります。
では「癇癪」とは具体的にどのような状態を言うのでしょうか?また、癇癪を起こす背景にはどのような原因があるのでしょうか?
そこで本記事では、癇癪の理由や意味、年齢別の傾向、癇癪を起こす原因やその対応について解説していきます。

癇癪(かんしゃく)とは?どのような状態?

癇癪を起こす子供

癇癪とは、怒りや悲しみなどの強い感情をうまくコントロールできず、爆発的に感情が表に出てしまう状態のことをいいます。

癇癪を起こした子供には以下のような行動が見られることが多いです。

  • 泣き叫ぶ
  • 怒鳴る
  • 手足をバタバタさせる
  • 床に寝転ぶ
  • 地団駄を踏む
  • 物を投げる・破壊する
  • 他人に暴力を奮う
  • 自分自身の頭を叩いたり、壁に打ち付けたりする

小さい子供の場合は、感情の発達や言葉での表現が未熟なため、癇癪を起こすことは珍しくありません。
多くの場合、イヤイヤ期の成長過程で見られる自然な現象で、1歳前後から始まり、2〜4歳にピークを迎え、5歳頃には落ち着く傾向があります。
これは単なるわがままではなく、子供が自身の感情や欲求をうまく伝えられず、混乱してしまうような状態です。

癇癪(かんしゃく)を起こす原因

泣いている子供

癇癪は、単なる「わがまま」や「甘え」ではなく、さまざまな要因や環境が絡み合って起こります。
例えば、生活習慣の乱れや欲求不満、ストレスなどが引き金となることがあります。
また、環境の変化やコミュニケーションの困難さも、癇癪の要因となることもあるでしょう。
そこで、癇癪を起こす主な原因を「生活習慣」「心理的要因」「環境要因」「コミュニケーションの問題」の視点から解説していきます。

生活習慣の問題

基本的な生活習慣の睡眠や食事のリズムが乱れると、情緒の安定が損なわれ、癇癪を起こしやすくなります。
たとえば、睡眠不足や不規則な食事は、集中力や気分に影響を与え、イライラしやすい状態を招くことがあります。規則正しい生活リズムは、心身の健康を支える基盤です。そのため、適切な睡眠時間の確保やバランスの良い食事、そして適度な運動を取り入れることが重要です。これらの生活習慣の改善は、子供にとって情緒の安定に繋がり、癇癪の頻度を減少させる効果が期待できます。

欲求不満など心理的な問題

子供は自分の欲求や感情を上手に表現することが難しい場合があり、その結果、欲求不満やストレスが溜まり、癇癪として現れることがあります。
たとえば、自分の思い通りにならない状況や、期待していたことが叶わない場合、強いフラストレーションを感じ、癇癪が起こりやすくなる場合があります。
また、自己肯定感の低さや不安感も、癇癪の一つの原因です。
子供の場合、周囲の大人は、子供が自分の気持ちを言葉で表現できるように子供の感情に寄り添い、共感する姿勢を持つことが大切です。

環境の変化など外的な要因の問題

普段の生活環境や周囲の外的状況の変化も、癇癪の原因となることがあります。
たとえば、家庭内の緊張状態や人間関係の不和、友人関係のトラブルなどが挙げられます。
また、引越しなどの生活環境の変化や、子供にとっては転校や進級などの学校の環境の変化、大人は転勤や転職などの職場の変化などが大きなストレスとなることがあります。
子供の場合、周りの大人が子供の話によく耳を傾け、感じているストレスや不安を理解し、適切なサポートをしてあげましょう。

コミュニケーションの問題

周囲との人間関係がうまくいかない時や、コミュニケーションが円滑に進まない時に、フラストレーションが溜まり、癇癪の原因になることがあります。
特に、言葉の発達が未熟な幼児期や、発達障害を持つ子供は、意思疎通や言葉での表現が難しい場合が多くみられます。
このような場合、非言語的なサインや行動を注意深く観察し、代わりに言語化していくことで、子供が気持ちを受け止めてもらえたという安心感につながります。
また、絵カードやジェスチャーなど、個々の子供に合わせたコミュニケーションの利用も、子供が自分の気持ちを表現しやすくなります。

【年齢別】子供が癇癪(かんしゃく)を起こす意味や傾向

泣いている女の子
癇癪は子供の発達にとっても重要であり、成長と共に癇癪を起こす意味や傾向も変化します。続いては、年齢別に子供が癇癪を起こす意味や傾向を紹介します。

0歳の赤ちゃんが癇癪を起こす意味

0歳の赤ちゃんが何をしても泣き止まない時に、「もしかしたらこれって癇癪?」と思う保護者も多いのではないでしょうか。
自我が未発な0歳の赤ちゃんは、主に生理的な欲求を伝えるために泣く事が多いです。空腹、眠たい、痛い、暑い、寒いなど、原因を取り除くことで納まるケースがほとんどでしょう。
なかには、ママやパパに触れている時の心地よさを求めて泣いていることもあります。

1歳の子供が癇癪を起こす意味

1歳の子供は言語が未発達ですが、徐々に自我が芽生えさまざまな欲求も持ち始めます。欲求を言語化できず、満たされないために癇癪を起こしてしまうことが多いでしょう。

一方で、自我も未発達で気も移ろいやすいため、切り替えが用意であるケースも多いです。癇癪を起こしていても、好きなテレビ番組が始まったらピタッと納まる子供もこの年齢には少なくありません。

2歳の子供が癇癪を起こす意味

2歳前後は「イヤイヤ期」と呼ばれる時期で、自我が芽生え、自己主張が強くなる特徴があります。
これは発達の大切な一歩であり、2〜3歳頃がイヤイヤ期のピークとされています。
この時期、子供は「自分でしたい」「○○したくない」といった感情を声に出して表現する練習をしており、それが癇癪という形で表れることもしばしばあります。

言葉が未発達な時期に起こるもどかしさがある

2歳児は300〜500語程度の語彙があるとされていますが、自分が伝えたい言葉を十分に表現できず、もどかしい気持ちを抱えることが多くみられます。
自分の気持ちをうまく言葉で伝えられず、イライラや怒りになってしまうのです。
子供のもどかしい気持ちに寄り添い、大人が代弁することで、「わかってもらえた」という安心感が生まれ、落ち着きやすくなります 。

自己主張の芽生えと自分でやりたい気持ちがある

2歳児は「自分でできる!」という自己確立の芽生えが強くなり、自ら選びたい・やりたいと思う気持ちが高まります。
しかし、身体能力や言葉での表現の未熟さから思い通りに動けず、イライラした気持ちを癇癪で表現することがあります。
この時期は、大人が「これはいいけど、それは危ないからお母さんがするね」と線引きをしながら、子供の“自分でやりたい”気持ちに寄り添って応援してあげることが大切です。

心身の発達の未熟さから、感情が抑えられないことがある

2歳児の癇癪は未成熟な脳(前頭前野)による感情調整の難しさから生じます。
例えば、疲れや空腹、眠気などで体が限界を迎えると、ちょっとしたことで感情が爆発しやすくなります。
これらは、体力がまだついておらず、このようなストレスへの対処もうまくできないことから生じます。
子供の成長や発達ともに、このような感情の爆発は少なくなりますが、イヤイヤ期の時期には子供の状況を理解し、大人が環境を整え、見守ることも必要です。
大人の理解が、親子の信頼関係の構築や子供の安心感につながります。

3歳の子供が癇癪を起こす意味

2歳の子供に続いて、3歳はまだイヤイヤ期が続いている子供も少なくありません。徐々に社会性が身に付き始めていますが、まだ欲求の方が強く、上手く言語化できないもどかしさから癇癪を起こすケースが多いでしょう。

4歳の子供が癇癪を起こす意味

4歳では多くの子供が保育園や幼稚園などを通して集団生活をスタートさせるため、社会性を身に付け癇癪の頻度は徐々に減少しはじめるケースが多いです。一方で、家の外で我慢している分、家庭内では癇癪が酷くなるケースもあるため注意しましょう。

体力もつき始めるため、破壊行動・暴力行動・自傷行動などには特に注意して見守る必要があります。

5歳の子供が癇癪を起こす意味

一般的に癇癪は2歳から4歳頃に起こりやすいと言われており、5歳以降は発生頻度が減少することが多いです。
欲求を言語化できるようになり、癇癪を起こす必要がなくなる頃であるともいえるでしょう。

一方で、不平等や他人との比較など、「ずるい」「うらやましい」という感情から癇癪を起こすことが多い年齢でもあります。落ち着いた後に、癇癪を起こしてしまった理由などを聞き取り、心理的な不満との折り合いの付け方を身に付ける必要があります。

また、5歳を過ぎても頻繁に癇癪が起きる場合、健常な発達以外に何か問題がある可能性もあります。専門機関で相談してみるなど、これまでとは違うアプローチをしてみるのがよいでしょう。

大人の癇癪について

子供と大人の癇癪(かんしゃく)には、それぞれ特徴があり、周囲の捉え方も異なります。以下に、その違いをまとめました。

子どもと大人の癇癪の違い 子どもの癇癪 大人の癇癪
特徴 感情のコントロールが未熟で、欲求不満や環境の変化に敏感に反応します。発達障害(ASDやADHD)を持つ子どもは、感情の起伏がより激しい場合があります。 感情のコントロールが難しく、怒りを抑制しにいため、衝動的な行動が見られることがあります。 ​発達障害が背景にある場合、感情のコントロールが特性上困難なことがあります。
捉え方 発達段階や成長過程の一部として理解されることが多く、保護者や教育者は個々の発達や成長に合わせて対応します。​発達障害の可能性がある場合は、専門的な支援や適切な対応が必要です。 大人としての社会的な期待や見地から、自己管理ができていないと見なされ、批判的に受け取られることがあります。​発達障害が原因の場合、職場や家庭での理解と適切なサポートが必要です。 ​

大人の癇癪は、先に記載したように、発達や成長過程の途中と見られる子どもの癇癪と異なり、自己管理ができていないと見なされる傾向にあります。

発達障害と癇癪(かんしゃく)の関連について

癇癪を落ち着かせる関わり
発達障害の子供は癇癪を起こしやすいと言われることもあり、癇癪が酷いことから発達障害を疑う人もいます。

発達障害児が癇癪を起こしやすいと言われるのには、障害からくる特性による影響が考えられます。続いては、発達障害が癇癪を起こしやすい理由をみていきましょう。

こだわりの強さ

発達障害を持つ人のなかには、強いこだわりを持っている人が多い傾向にあります。好きなものに強い執着を見せたり毎日の行動を同じ順序で行いたいと思ったりする人が多いです。

何らかの要因で好きなものを急に取り上げられたり、普段と行動の順番が変わってしまったりすることでパニックに陥り強い癇癪を起こしてしまうことがあります。

コミュニケーションの困難

発達障害の人は、コミュニケーションに困難を抱えている人が多いです。言葉の裏や表情から相手の気持ちを汲み取ることが苦手で、言われた言葉を額面のまま受け取ってしまうことがあります。

コミュニケーションが上手くとれないことからストレスを溜めてしまうことがあり、些細なきっかけで癇癪を起こしてしまうケースも少なくありません。

衝動性の強さ

発達障害の人のなかには、強い衝動性を持っている人もいます。感情的になりやすく、欲求や拒否を示す感情が爆発し癇癪を起こすことも少なくありません。

言葉の発達の遅れ

発達障害の人は、言葉の発達が遅れるケースも多くみられます。自分の欲求を言葉にして伝えることができないため、癇癪を起こしてしまうことがあります。

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癇癪(かんしゃく)を起こしにくくする工夫

勉強のイライラから起こる癇癪

子供の癇癪に対し「どうすれば癇癪が少なくなるのだろう…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
癇癪をゼロにすることは難しいですが、日々の暮らしの中でちょっとした工夫を重ねることで、気持ちを落ち着かせる環境をつくることができます。
ここでは、子供から大人まで使える、癇癪を減らすためにできる工夫をご紹介していきます。

予測できるスケジュールをつくる

癇癪は突然の変化や見通しのなさが原因となることがあります。
一日の流れを可視化し、不安を軽減し、安心感を持てるようにしましょう。

視覚的スケジュール

絵カードやボードに「起床」「ご飯」「お風呂」などのスケジュールを順序にして見える化することで、「次に何をするか」を理解しやすくなります。その結果、予想外の変更による不安や癇癪が減る傾向があります。

「消し込み」機能

終わったスケジュールを自分で取り外して「できた」という体験を積むことで、自主性と自信を育みます。

予定変更の前に知らせてもらう

予定の変更が事前にわかった場合は、早めに知らせてもらい、心づもりができるようにするだけでも余裕が生まれます。

成功体験を増やす環境調整

自分でできる経験を増やすことで、自己肯定感を育て、癇癪を減らします。次のようなことを意識してみましょう。

小さな成功を見逃さず褒める

「○○できたね」と具体的に褒めることが効果的です。また、目標をスモールステップに設定するとよいでしょう。

過剰な刺激は癇癪の引き金になることがあるため、気になる刺激を減らし、安心できる環境を整えましょう。

感情のコントロール力を育てる

自分の感情を出すこと自体は悪いことではなく、自分を表現するために必要なことです。
感情を抑えるのではなく、感情をコントロールでできる力を身につけていくことが大切です。
子供の場合は周囲の大人が関わりかける中で育てていくとよいでしょう。
大人の場合は、次のようなことを意識して行っていくとよいでしょう。

感情を言葉にする

「○○だったんだね」と感情を周りの人から言葉にしてもらうことで、自分の感情に気が付くことができます。これを「感情ラベリング」と呼び、自己理解の第一歩となります。

客観的に見つめる癖を促す

「このような時に他の人はどう思うか」など、視点を変えて考える練習をすることで、客観的に見る癖や、気持ちを整理する力が育ちます。

簡単な対処法を教える

深呼吸をしたり、刺激のある環境から離れるなど、簡単な練習を日常に取り入れることで、気持ちの揺れを自分で鎮める習慣につながります。

癇癪(かんしゃく)を起こしてしまった時の対処法

癇癪を起こした子供
いくら防ごうとしてもフとしたきっかけで癇癪が起きてしまうことがあるでしょう。癇癪中は、子供の心の混乱を理解しつつも、冷静で落ち着いた対応が求められます。
次のようなポイントを意識するとよいでしょう。

まずは安全を確保する

物や角から距離を置き、頭を打たせないようクッションなどで守ってあげましょう。

選択肢を提示する

「あと10数えてから走る?」など具体的な選択肢を与えることで、子供が安心して行動できます。
大人が冷静に対応することで、子供自身も感情を鎮めるヒントを得やすくなります。

共感的に代弁する

「悲しかったね」「欲しかったんだね」と気持ちを代弁すると、「分かってもらえた」と感じ、心が落ち着きやすくなります。

子供の癇癪(かんしゃく)が収まったあとにするとよい対応

癇癪のあとに子どもに言い聞かせる

癇癪がおさまるタイミングは、子供の「自分で落ち着いた」という達成感を支える大切な時間です。
以下のような対応や声かけを意識しましょう。

すぐに共感して褒める

「泣き止んでえらいね」「よく待てたね」と具体的に声をかけることで“できた”体験を積み重ねましょう。

長い説教は避ける

長いお説教はネガティブ感情を引きずらせ、再び癇癪のきっかけになる可能性があります。

代替行動を教える

「嫌な気持ちになった時には○○しようね」と代わりの表現や行動を提示するとよいでしょう。
このように、癇癪後は「できたこと」に目を向け、子供と信頼関係を深める機会にすることが大切です。

子供が癇癪(かんしゃく)を起こした時のNG対応

指で×を示す女性
癇癪が起きているとき、ついやってしまいがちな対応には注意が必要です。
次のような言動は、かえって子供の感情を悪化させる可能性があります。

頭ごなしに叱る

「ほら、言ったでしょう!」などと叱ってしまうと、子供は余計に混乱し癇癪が長引くことがあります。

感情的に叱責する

大人が声を荒げてしまうと、子供は恐怖や混乱を感じ、落ち着くまでに時間がかかり、癇癪の引き金にもなります。

無視して放置する

全く反応せず放置すると、「このままでも大丈夫」と誤認させてしまう場合があります。

ご褒美・罰でコントロールしようとする

「泣けばお菓子がもらえる」と学ばせると、癇癪が逆に習慣化してしまう恐れがあります。
癇癪時は、子供の安全を第一にし、無理に感情を抑えようとせず、ゆっくりと見守る姿勢が大切です

まとめ:癇癪(かんしゃく)の原因を知り、個々に合わせた理解と対応を

癇癪とは、怒りや悲しみなど強い感情を抑えきれず爆発的に表出する状態を言います。
特に2歳ごろのイヤイヤ期の子供は、言葉で感情をうまく表現できないことからよく見られますが、小学生以上の子供や、大人でも見られる場合は心理的・発達的背景が関係していることもあります。
癇癪は必ずしも発達障害によるものとは限りません。
また、癇癪は「わがまま」で起こるのではなく、発達・心理・環境要因が複雑に絡んで起こります。
癇癪に対する適切な理解と対応で、心の安定や感情をコントロールする力が育まれます。
癇癪の頻度が多い時や、小学生以上になってもなかなか改善されないなど気になる時は、専門機関に相談してもよいでしょう。

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