コラム コラム

発達障害で不登校になったら?共働き家庭ではどう対応する?

2025.09.29
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • LD(学習障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

共働き家庭の保護者にとって、「朝になると体調不良を訴える」「学校に行きたがらない」といったお子さんの様子は、大きな不安の種です。仕事や家事に追われるなか、発達障害が関係しているのではと感じている方もいるでしょう。

発達特性と学校環境のミスマッチが、不登校の背景に潜んでいることがあります。しかし、適切な理解と対応を重ねることで、お子さんの心を守りながら、親子で少しずつ前に進むことは可能です。

本記事では、発達障害による不登校のサインから、共働き家庭でも実践しやすい対応方法を詳しく解説します。

不登校と発達障害の関係は?原因と背景を理解しよう

結論からいうと、発達障害があるからといって必ずしも不登校になるわけではありません。ただし、両者に一定の関連性があることも事実です。

旭川医科大学の調査(2007〜2009年に不登校児80名を対象)によれば、不登校児の約57%が広汎性発達障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を有していたと報告されています。

これらは医療機関を受診した不登校児を対象とした調査であり、全国の不登校児全体を直接反映した統計ではありません。

それでも重要なのは、発達障害そのものが直接の原因というより、お子さんが持つ特性と学校という環境との間に生じる「ミスマッチ」が不登校につながる点です。

出典:「不登校と発達障害: 不登校児の背景と転帰に関する検討」

学校環境とのミスマッチ

発達障害のあるお子さんにとって、学校環境が過剰なストレスの原因となる場合があります。その理由は、発達特性によって感じる「困難さ」が人それぞれ異なるからです。

たとえば、ASD(自閉スペクトラム症)の感覚過敏を持つお子さんは、教室のざわめきや蛍光灯の光が耐え難い刺激になります。一方、ADHDの特性を持つお子さんにとっては、長時間じっと座ることや決められたスケジュール通りの行動が難しく、学校の規律が大きな負担となることもあります。

こうした学校環境との不適合は「怠け」と誤解されがちですが、実際は特性ゆえに、お子さんが過剰にエネルギーを消耗している状態なのでしょう。

子ども同士の人間関係における困難

発達障害の特性は、学校での友人関係や集団活動に大きく影響することがあります。

一般的に、ASDの特性を持つお子さんは、相手の気持ちや社会的ルールを察することが苦手とされています。意図せず相手を傷つけたり、誤解を招いたりすることが少なくありません。また、ADHDの衝動性や不注意は、場面にそぐわない行動や言動につながり、からかいの対象や友人との衝突の原因になる傾向があります。

こうした人間関係でのつまずきが繰り返されると、お子さんは学校に居場所がないと感じやすくなります。さらに「自分は集団にうまくなじめない」という思いが強くなることで、自己肯定感が低下してしまうのです。

ただし、周囲が発達特性を理解し、適切なサポートや環境調整をおこなえば、子ども同士の関係性を良好に保ちやすくなります。

小学生によくみられる不登校のサインは?

学校環境とのミスマッチが生じると、お子さんはさまざまなサインを発します。特に小学生の場合、不登校のサインは言葉ではなく行動や身体の変化として現れることが多いものです。具体例を見ていきましょう。

朝の身支度が極端に遅くなる

朝の準備に著しく時間がかかるのは、不登校初期によく見られるサインです。共働き家庭では朝の時間が限られるため、前日の夜に必要な準備を済ませてあげるといいでしょう。

体調不良を繰り返す

身支度の遅れに加えて、身体的な症状が現れることもあります。たとえば、登校時間に「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えるお子さんは、学校生活のストレスが身体症状として現れているかもしれません。

発達障害のある子どもは心理的な負担が体調に出やすいと考えられているため、無理な登校は避け、まずはお子さんの気持ちに寄り添うことが大切です。

学校の話を避ける

もっとも注意すべきなのは、お子さんの会話の変化です。学校の話題になると機嫌が悪くなったり、話を変えようとしたりするのは、学校での経験が大きなストレスになっているサインといえます。

無理に聞き出さず、日頃から「何でも話していいよ」という安心感を与え、お子さんが自分から話したくなる環境を整えていきましょう。

中学生特有の不登校のサインは?

小学生とは異なり、中学生になると学習内容の難化、部活動での人間関係、思春期特有の悩みなど、新たなストレス要因が加わります。

そのため、不登校のサインもより複雑で、深刻な形で現れてきます。

部活動を急にやめたがる

部活動でのつまずきが不登校のきっかけになることがあります。「部活をやめたい」という訴えの背景には、深刻な悩みが隠れているものです。

特にADHDなどの特性を持つ生徒は、集団での連携やルールの多さに苦労し、部活動での困難を経験しやすい傾向があります。

お子さんの気持ちをじっくり聞き、その決断を尊重してあげてください。

友人関係のトラブルを話さなくなる

部活動だけでなく、日常的な友人関係にも変化が現れます。

思春期の生徒は友人関係の悩みを親に打ち明けにくくなりますが、ASDの特性があるとコミュニケーションのずれから、さらに孤立しやすい状況になりがちです。

プレッシャーをかけずに「いつでも相談できるよ」と伝え続け、お子さんが安心できるペースで話し始めるのを待つことが大切です。

勉強への拒否反応が強くなる

中学の学習内容は格段に難しくなり、LDやADHDの特性がある生徒にとっては大きな負担となります。

「やってもできない」という挫折感が勉強への拒否反応として表れるため、まずはお子さんのつらさを受け止め、できる範囲からスモールステップで取り組む方法を一緒に考えていきましょう。

不登校になった発達障害のお子さんとの過ごし方・サポート方法は?

実際にお子さんが不登校になったとき、家庭での対応に悩む保護者の方は多いはずです。

ここからは、発達障害の特性を踏まえ、家庭でできる環境づくりや関わり方の工夫など、お子さんの回復を支える具体策をご紹介します。

生活リズムを整えて安心できる環境を作る

まず取り組みたいのが、生活リズムの回復です。

不登校初期は心身のエネルギーが枯渇した状態のため、無理に生活リズムを整えようとせず、まずは十分な休息を優先します。回復の兆しが見えてきたら、朝日を浴びる習慣から始め、徐々に日中の活動を増やしていきましょう。

ゲームや動画視聴についても、一方的に制限するのではなく、お子さんと話し合ってルールを決めることが大切です。

共働き家庭でも短時間で密な関わりを持つ

生活リズムと並行して大切なのが、親子のコミュニケーションです。

仕事と育児の両立に悩む保護者の方も多いでしょうが、時間の長さより「関わりの密度」を重要してください。朝の「おはよう」のときに目を見て挨拶する、帰宅後の10分間はスマホを置いて話を聞くなど、短時間でもお子さんと向き合う時間を作ることが、親子の信頼関係を深めます。

夫婦で役割分担をしたり、在宅勤務日を活用したりと、それぞれの家庭に合った工夫を見つけていきましょう。

肯定的な声かけでお子さんの自信を育む

日々の関わりの中で、特に意識したいのが声かけです。否定的な言葉を肯定的な表現に変えることで、お子さんの自己肯定感は徐々に回復していきます。

たとえば、次のようにいい換えを工夫してみましょう。

  • 「○○はダメ」→「○○してみようか」
  • 「なんでできないの?」→「難しかったね、一緒にやってみよう」
  • 「ちゃんとしなさい」→「どうやったらやりやすいかな?」
  • 「早くして」→「ゆっくりでいいから一緒にやってみようか」

それに加え、日常の小さな行動(洗濯物をたたむ、食器を運ぶなど)への感謝を伝えることも、自信回復への大切な一歩となります。

パニックや癇癪を予防・対処する

感覚過敏やこだわりの強さから、パニックや癇癪を起こしやすいお子さんには、環境面での配慮が欠かせません。音や光の刺激を減らし、静かで落ち着ける空間を確保することが予防につながります。

もしパニックが起きた場合は、叱責せず、安全を確保した上で静かに見守ります。落ち着いてから優しく話しかけるようにしましょう。

暗黙のルールがわからないときに教える

発達障害のあるお子さんは、「空気を読む」といった社会的な暗黙のルールを理解するのが苦手な傾向にあります。「順番を待とうね」「人が話しているときは最後まで聞こうね」といった具体的な行動を、その都度丁寧に教えていくことが大切です。

視覚的な手がかり(絵カードやイラスト)を使ったり、実際の場面で練習したりすることで、少しずつ身についていくでしょう。

不登校はひとりで悩まず相談しよう|専門機関の選び方とは?

不登校の問題は、家族だけで抱え込まずに専門機関へ相談することが大切です。「一緒に考えてくれる人がいる」という安心感が、保護者とお子さん双方の心の負担を軽くします。ここでは、不登校支援を相談できる専門機関の選び方をご紹介します。

不登校支援の経験と理解の深さ

まず確認したいのが、支援の専門性です。臨床心理士や公認心理師などの有資格者が在籍し、不登校や発達障害に関する豊富な相談実績がある機関を選びましょう。過去にどのようなケースに対応してきたか、支援プログラムの内容、実施期間や成果など、具体的な情報を確認しておくと安心です。

温かく受け入れてくれる環境

相談室のレイアウトやスタッフの態度、初回面談時の説明などから、受け入れ体制のあたたかさを見極めましょう。お子さんがありのままの自分でいられる雰囲気や、否定されない空気感があることが重要です。保護者自身も、相談しやすいかどうかを同時に確認してください。

お子さんのペースに合わせた学習サポート

集団授業の一律なカリキュラムではなく、特性や進度に合わせた個別指導を受けられるかがポイントです。たとえば、短時間から徐々に慣らすステップ制のカリキュラムや、感覚過敏に配慮した静かな教室など、環境面の調整が整っているかを確認します。あわせて家庭学習サポートやオンライン対応の有無も見ておきましょう。

生活全般のサポート体制

お子さんの状況改善には、学習支援だけでなく生活面・心理面・進路相談などを含めた総合的な支援が欠かせません。心理カウンセリング、家庭訪問、保護者向けの相談会など、複数のサポートメニューがあるかを確認してください。

地域の医療機関や教育委員会、スクールカウンセラーとの連携体制が整っているかも大切です。各機関と状況を共有できる環境であれば、学習・生活・心理の3つの側面から一体的な支援を受けやすくなります。

不登校と発達障害のよくある質問

最後に、保護者の方からよくいただく質問にお答えします。

発達障害の診断を受けていませんが、不登校と関係ありますか?

診断の有無にかかわらず、発達特性による困難さが不登校につながることがあります。

感覚過敏や集団行動の苦手さなど、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれるお子さんも、学校生活で大きなストレスを抱えることは少なくありません。

学校復帰を目指すべき?それとも他の道を考えるべき?

必ずしも学校復帰だけが正解ではありません。

フリースクール、通信制高校、オンラインスクールなど、お子さんの特性に合った学びの場は多様化しています。心身の健康を最優先に、柔軟に選択していくことが大切です。

専門的なサポートはどこで受けられますか?

公的機関では、学校のスクールカウンセラーや教育支援センター、発達障害者支援センターなどが利用できます。

一方、民間では児童精神科、フリースクール、発達障害専門の学習塾、さらに発達の遅れに特化した個別指導塾など、多様な選択肢があります。お子さんと家庭の状況に合わせて、無理のない形で支援先を選んでみましょう。

発達障害と不登校対応のポイントまとめ

不登校のお子さんを支えるうえで大切なのは、お子さんの「今」を受け入れることです。学校に行けないことを責めず、自分を守るための選択として理解し、家庭が安心できる居場所になるよう意識しましょう。短時間でも温かい関わりを持つことで、お子さんは少しずつエネルギーを回復していきます。

また、共働き家庭では、時間や心の余裕が限られるなかでも「短時間でもお子さんに寄り添う」「専門機関や支援先と情報を共有して協力する」ことが、より大きな支えとなります。負担をひとりで抱え込まず、支援の輪を広げていきましょう。

「どこでどんな支援が受けられるか、もっと具体的に知りたい」と感じているなら、発達障害・発達の遅れに特化したステラ個別支援塾も選択肢のひとつです。

お子さんの未来を一緒に考える第一歩として、ぜひ当塾のページをのぞいてみてください。支援内容や学びの雰囲気がわかり、次の一歩を決めるヒントが見つかるはずです。

不登校の子どもでも安心ステラ個別指導塾

幼児教室を詳しく見る

個別支援塾を詳しく見る

シェアする

フォローする

コラムトップへ
資料請求・見学 無料体験のお申し込み