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人見知りは何ヶ月ごろ?発達が不安な時の対応とポイントを解説

2025.10.18
  • 支援方法・家庭での過ごし方

赤ちゃんのころから見られる人見知りとは?

「うちの子、誰にでもニコニコして人見知りしないけど、大丈夫?」 「帰省のたびに祖父母に会わせても大泣き。人見知りがひどくて本当に困ってしまう…」

子どもの人見知り。それは、あってもなくても保護者の心配の種になりがちです。周りの子と比べては、インターネットで検索して一喜一憂してしまう、そんな経験はありませんか?

これらの悩みは一見すると正反対のようですが、その根っこにあるのは「我が子の発達は順調なのだろうか」という、親なら誰もが抱く深い愛情と少しの不安です。

この記事では、そんな保護者の皆様の不安に専門的な視点からお答えします。人見知りが起こるメカニズムから、始まる時期・終わる時期の目安、そして人見知りがない子・ひどい子それぞれの理由と具体的な対処法まで、分かりやすく解説していきます。

人見知りは心が成長している大切なサイン

まず知っておいてほしいのは、人見知りは性格や育て方の問題ではなく、子どもの脳と心が順調に成長している証だということです。人見知りは、心が発達したからこそ起こる、極めて自然な現象なのです。

人見知りはなぜ起こるの?

人見知りが起こる背景には、主に3つの心の成長が関係しています。これらが複雑に絡み合い、人見知りという行動として現れます。

①記憶力の発達

毎日お世話をしてくれる保護者など、特定の人の顔を記憶できるようになった証拠です。いつも一緒にいる安心する人の顔を覚えたからこそ、それ以外の人を区別できます。「あ、いつもミルクをくれる優しい顔だ」という認識が、人見知りの第一歩です。

②識別能力の発達

記憶した顔と、今目の前にいる人の顔を照らし合わせ、知っている人か知らない人かを判断する能力が育ってきたサインです。「あれ、この顔は知らないぞ?」と感じ取り、区別できるようになったからこそ、人見知りが始まります。

③愛着形成の証

子どもが「この人のそばが一番安全で、安心できる場所だ」と認識したからこそ、知らない人に対して不安や警戒心を抱きます。特定の人、主に保護者との間に特別な信頼関係、いわゆる「愛着」がしっかりと芽生えてきた証拠だということです。

子どもの人見知りは何ヶ月ごろから何ヶ月まで続く?月齢別発達の目安

人見知りが成長の証だとは分かっていても、いつから始まっていつまで続くのかは気になるところです。ここでは月齢別の目安をご紹介しますが、あくまで一般的な傾向です。発達のスピードは一人ひとり違うため、この時期とぴったり合わなくても全く心配ありません。

人見知りの始まりは生後6ヶ月~9ヶ月ごろ

多くの子どもは、生後6ヶ月から9ヶ月ごろにかけて人見知りのような反応を見せ始めます。この時期は、お座りが安定して視野がぐっと広がり、周りの人をじっくり観察できるようになる頃と重なります。

最初は、知らない人や久しぶりに会う人に対して、泣き出すといった激しい反応よりも、じーっと固まったように見つめたり、お母さんの後ろに隠れようとしたり、ふいっと顔をそむけたり、不安そうな表情をしたりといった、ささやかなサインから始まります。

人見知りのピークは1歳前後~1歳半ごろ

人見知りの反応が最も激しくなるのが、1歳のお誕生日を挟んだ前後から1歳半ごろです。この時期は、自己と他者の区別がよりハッキリしてくるため、お母さんなど特定の養育者への愛着が一層強まります。

また、つかまり立ちや伝い歩きで自分の意思で動けるようになる一方、まだ一人で知らない場所へ行くことへの不安が大きいため、保護者のそばを離れたがらない「後追い」が激しくなるのもこの時期です。不安や嫌だという気持ちを、ただ泣くだけでなく、のけぞって抵抗したり、大声で叫んだりして全身で表現するようになります。

終わりはいつ?2歳以降に再び人見知りが出ることも

1歳半を過ぎると、言葉の発達により「イヤ」「ワンワンいた」など、少しずつ自分の気持ちや状況を伝えられるようになります。また、児童館や公園などで他の子どもと関わる経験が増えることで、人見知りが落ち着いてくる子が多くなります。

しかし、2歳前後になると、自我が芽生える「イヤイヤ期」と重なり、再び人見知りのような反応が強まることがあります。これは、自分でやりたい気持ちと、知らない人への不安との間で心が葛藤している成長の証です。例えば、公園で遊びたいけれど、知らない親子がいると躊躇してしまう、といった姿が見られるようになります。

このように、人見知りが終わる時期には非常に大きな個人差があります。3歳を過ぎても初めての場所や人に対して慎重な子もいれば、ほとんど人見知りをしないまま成長する子もいます。その子の気質や個性として、温かく見守ってあげることが大切です。

人見知りがない、またはひどいけれど大丈夫?

人見知りの程度は、まさに十人十色。ここでは「人見知りがない」場合と「ひどい」場合、それぞれの理由と保護者の心の持ち方について解説します。

ケース1、人見知りがないのは発達に問題がある?

誰にでもニコニコと愛想がよく、人見知りの素振りがないと、「情緒が育っていないのでは」「発達に問題があるのでは」と心配になるかもしれません。また、誰にでもついて行ってしまいそうで危ない、という別の不安を感じる方もいるでしょう。

考えられる理由

・穏やかな気質

もともと好奇心旺盛で、人や新しい環境への順応性が高い、穏やかな気質である可能性があります。変化を楽しむことができる、その子の長所とも言えます。

・環境要因

核家族ではなく大家族で暮らしていたり、保育園に早くから通っていたり、児童館などへ行く機会が多かったりして、多くの人と接する環境で育っている場合、人への警戒心が育ちにくいことがあります。

・発達のペース

人見知りが始まる時期が、他の子より少しゆっくりなだけかもしれません。1歳を過ぎてから始まる子も珍しくありません。 

大切なのは、人見知りの有無ではなく、保護者との愛着関係がしっかり築けているかどうかです。例えば、知らない場所で不安になった時に保護者のそばに来たり、目で姿を探したり、転んだ時に助けを求めに来たりする様子が見られれば、過度に心配する必要はありません。それはお子さんの中に「ここが安全基地だ」という認識が育っている証拠です。

ケース2、人見知りがひどい場合に考えられる原因は?

一方で、人見知りが激しく、スーパーの店員さんに話しかけられただけで泣き出したり、祖父母の家に近づくだけで帰りたがったりと、保護者の方が疲れてしまうケースもあります。

考えられる理由

・繊細な気質

もともと感受性が豊かで、警戒心が強く、物事に慎重に取り組む気質である可能性があります。石橋を叩いて渡るようなその慎重さは、将来的に大きな失敗を防ぐ力になるかもしれません。

・刺激への敏感さ

音や光、人の表情や声のトーンなど、外部からの刺激に敏感に反応してしまう場合があります。大人の何気ない行動が、子どもにとっては大きな刺激に感じられているのかもしれません。

・保護者の不安の伝播

保護者自身が「泣いたらどうしよう」「周りに迷惑をかけたくない」と緊張していると、その不安が赤ちゃんに伝わってしまうこともあります。 

人見知りが強いことも、その子の個性の一つです。無理に社交的にさせようとしたり、慣れさせようとしたりする必要はありません。むしろ、その子の「慎重さ」や「繊細さ」は、将来的に物事をじっくり考える力や、人の気持ちを察する優しさに繋がる可能性を秘めています。

人見知りがひどい子どもへのNG対応とOK対応

人見知りで泣いている子どもを前にすると、周りの目も気になり、つい焦ってしまうものです。しかし、そんな時こそ保護者の対応が子どもの安心感を育む鍵となります。

保護者がやりがちなNG対応

・無理やり他の人に抱っこさせる

「慣れさせなきゃ」という思いからやってしまいがちですが、子どもにとっては恐怖体験でしかなく、人への不信感を強めてしまいます。

・「恥ずかしい子ね」と叱る、困った顔をする

子どもは自分の「怖い」「不安」という感情を否定されたと感じ、自己肯定感が傷ついてしまいます。

・他の子と比較する

「〇〇ちゃんは上手に挨拶できるのに」といった言葉は、子どもに「自分はダメな子だ」という劣等感を植え付けてしまいます。

子どもの安心感を育むOK対応

・まずは保護者が抱っこして安心させる

どんな時も「お母さん(お父さん)が守ってあげるよ」という姿勢で、まずは子どもの心のコップを満たしてあげましょう。これが「安全基地」の役割です。

・「ドキドキしちゃったね」と子どもの気持ちを代弁し、共感する

知らない人がいて、びっくりしたね。怖かったかな?大丈夫だよ」など、具体的な言葉で気持ちを受け止めてあげましょう。自分の感情を理解してもらえると、子どもは安心します。

・保護者自身が相手と楽しそうに話す姿を見せる

保護者がリラックスして話している姿を見ることで、子どもは「この人は安全な人なんだ」と少しずつ学習していきます。無理に子どもを会話に参加させる必要はありません。

・事前に状況を伝えておく

少し言葉がわかるようになったら、「これからおじいちゃんのお家に行くよ」「今日は宅急便のおじさんが来るよ」などと事前に伝えておくだけで、子どもの心の準備ができます。

・時間をかけて、子ども自身のペースで慣れるのを見守る

すぐに慣れなくても焦らないこと。遠くから見ているだけでも、子どもにとっては大きな一歩です。その小さな勇気を認めてあげましょう。

これってただの人見知り?発達が不安な時のチェックポイント

基本的に、人見知りの有無やその強さだけで、発達障害などの判断をすることはできません。しかし、もし人見知り以外にも気になる様子が見られる場合は、専門家へ相談するきっかけとして、以下の点を参考にしてみてください。 

人見知り以外の気になるサイン

人見知りというより、周りの人への関心自体が全体的に薄いと感じる場合は、少し注意深く様子を見てみましょう。

・保護者と視線が合いにくい

抱っこや授乳中も、あまり目が合わない。

・名前を呼んでも振り向かないことが多い

音には反応するのに、呼びかけへの反応が少ない。

・指さしをしない、保護者の指さした方を見ない

興味のあるものを指さして伝えたり、保護者が「ワンワンいるよ」と指さした方向を見たりすることが少ない(これは他者と興味を共有する「共同注意」という大切なステップです)。

・言葉の発達が著しく遅いと感じる

意味のある言葉がなかなか出ないなど、同じ月齢の子と比べて気になる場合。

これらのサインが複数当てはまるからといって、必ずしも発達に問題があるわけではありません。

相談窓口の紹介

子どもの発達や行動が気になるときは、一人で悩まず、専門家を頼ることも大切です。相談窓口としては下記のような場所があります。

・かかりつけの小児科医
・地域の保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援センターなど

これらは、子どもの発達に関する相談ができる身近な窓口です。「ちょっと気になることがあって」というくらいの気持ちで、気軽に相談してみてください。専門家の「大丈夫ですよ」の一言で、心が軽くなることもたくさんあります。

家庭での対応に限界を感じたら、専門家への相談も選択肢に

子どもの発達に関する不安は、一度解消されたと思っても、成長と共にまた新たな形で出てくるものです。特に、人との関わり方についての悩みは、保育園や幼稚園などの集団生活が始まると、より複雑になる場合もあります。

専門機関では、一人ひとりの子どもの特性に合わせた関わり方を具体的にアドバイスしてくれます。また、個別療育や同じような特性を持つ子どもたちとの小集団での活動(SST:ソーシャルスキルトレーニングなど)などを通して、安心して社会性を育むトレーニングを受けることもできます。家庭とは違う環境で専門家の客観的な視点を得ることは、保護者の精神的な負担を軽減することにも繋がります。

子どもの発達や、人との関わり方について専門的なサポートに関心のある方は、ぜひ一度、ステラ幼児教室にご相談ください。一人ひとりのペースに合わせた学びの場で、子どもの自信と社会性を育むお手伝いをしています。

子どもの人見知りについて対応とポイントのまとめ

人見知りは、子どもの心が順調に育っている証です。そして、その始まる時期や終わる時期、反応の強さには、一人ひとり大きな個人差があります。

人見知りがないことも、ひどいことも、どちらもその子の素晴らしい個性の一部です。他の子と比べることなく、我が子のペースと気質を大切にしてあげてください。

何よりも、保護者がリラックスして安心した笑顔でいることが、子どもにとって一番の心の栄養になります。不安な時は一人で抱え込まず、周りを頼りながら、子どもとの毎日を大切に過ごしてください。

また、一人では難しいと感じたら、遠慮なく専門家の力を借りてくださいね。

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