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子どもの偏食は何が原因?大人まで続くリスクと対処法を解説

2025.11.12
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「野菜を全然食べてくれない」「白ご飯しか食べない」「食べられるものが数種類しかない」など、子どもの偏食に頭を抱える保護者は少なくありません。

一時的な好みの問題であれば成長とともに改善することも多いですが、長期的に偏食が続く場合、栄養不足や発達への影響が心配になります。特に、発達障害や自閉症の特性が関係しているケースもあり、単なる「わがまま」では片付けられません。

この記事では、子どもの偏食とは何かから始め、その原因、年齢別の特徴(特に2歳児)、発達障害や自閉スペクトラム症との関係、そして大人になった後の影響や対処法まで、わかりやすく解説します。

偏食とは?


「偏食(へんしょく)」とは、食べ物の好き嫌いが極端で、特定の食品しか食べない、または特定の食品を避ける状態を指します。

単に「野菜が苦手」などの一時的な好みの段階であれば問題ありませんが、特定の食材に強い拒否反応を示したり、見た目や匂いだけで泣いたり怒ったりする場合には、発達上の要因や感覚の過敏さが関係している可能性もあります。

偏食は年齢を問わず起こりますが、特に2歳前後の幼児期は「イヤイヤ期」と重なるため、食事面でも強いこだわりや拒否が出やすい時期です。

子どもの偏食は何が原因?


偏食の原因は一つではなく、生理的要因・心理的要因・発達的要因・環境的要因が複雑に絡み合っています。それぞれを詳しく見ていきましょう。

味覚や嗅覚の発達段階

子どもの味覚や嗅覚は大人よりも敏感です。苦味や酸味を強く感じやすく、特にピーマン、ほうれん草、魚などに対して「まずい」「臭い」と感じることがあります。
これは生理的要因であり、成長とともに感覚が落ち着くと自然に食べられるようになることもあります。

食事体験の影響

初めて食べた時の「不快な記憶」や「叱られた経験」が偏食の原因になることもあります。
たとえば、「無理やり食べさせられて吐いた」「残したら怒られた」といった経験があると、食事そのものに対して恐怖や拒否感を持ってしまうことがあります。このように、心理的要因も考えられます。

発達障害や自閉スペクトラム症に関連する要因

偏食は、発達障害(特に自閉スペクトラム症:ASD)の特性として見られることが多いです。
自閉スペクトラム症の子どもには、以下のような特徴が見られることがあります。

  • 感覚過敏:食べ物の「食感」「におい」「見た目」「温度」に強く反応する
  • こだわりの強さ:特定のメーカー、形、色にこだわり、それ以外を拒否する
  • 慣れにくさ:新しい食材や調理法を受け入れるのに時間がかかる

こうした特性は、単なる「好き嫌い」ではなく発達的要因によるものです。本人にとっては「食べられない」ではなく、「どうしても受けつけない」という感覚に近いのです。

環境的要因

家庭での食事環境など環境的要因も大きく関係します。テレビを見ながらの食事、叱られながらの食事、家族の食習慣の偏りなどは、子どもの偏食を助長することがあります。
また、保育園や学校などで友達と一緒に食べる体験が少ない場合も、食の幅が広がりにくくなります。

2歳児に多い偏食の特徴と対応


2歳前後は「イヤイヤ期」と呼ばれるように、何事にも「自分でやりたい」「自分で選びたい」という気持ちが強くなります。この時期に現れる偏食は、自立への第一歩とも言えます。

しかし、「食べない」「投げる」「泣き叫ぶ」などが続くと、保護者もつい焦ってしまうでしょう。この時期の対応ポイントは次の通りです。

  • 無理やり食べさせない
  • 「一口だけ食べてみよう」と提案する
  • 形や盛り付けを工夫してみる(星形に切る、キャラクター皿を使うなど)
  • 食材を混ぜずに、単品で出して安心感を与える

2歳児は「未知のもの」への抵抗が強い時期です。焦らず、「食べる練習」を重ねていくイメージで見守ることが大切です。

発達障害や自閉スペクトラム症の子どもに多い偏食のパターン

発達障害や自閉スペクトラム症の子どもには、偏食が非常に高い頻度で見られることが報告されています。
一部の研究では、自閉スペクトラム症の子どもの約70〜90%が何らかの偏食傾向を持つとされています。

よくある偏食のパターン

  • 白いものしか食べない(ご飯、うどん、パンなど)
  • 特定のブランドや形の食品のみ食べる(例:同じメーカーのポテトしか食べない)
  • 食感にこだわる(カリカリ、サクサク以外は拒否)
  • 混ざった料理が苦手(カレー、チャーハンなど)
  • 同じメニューばかり繰り返し食べたがる

これらは、本人の感覚処理やこだわりの強さに基づく自然な反応です。無理に克服させようとすると、かえって食事への不安が強まり、さらに偏食が悪化することもあります。

偏食が続くことによるリスク

子どもの偏食を放置してしまうと、次のようなリスクが生じる可能性があります。

栄養バランスの崩れ

ビタミン・ミネラル・タンパク質などが不足し、免疫力の低下、貧血、便秘、成長遅延などが起こることがあります。

成長や発達への影響

脳や神経の発達には、鉄分や亜鉛、オメガ3脂肪酸などが不可欠です。これらが不足すると、集中力や情緒の安定に影響することがあります。

食事に対する拒否感の固定化

無理に食べさせたり、毎回の食事がストレスになると、「食事=嫌な時間」という印象が固定され、大人になっても偏食が続くことがあります。

大人になっても偏食が続く場合

子どものころの偏食が大人になっても改善されない場合もあります。
その背景には、幼少期の食事経験だけでなく、発達障害や自閉症スペクトラムの特性が影響していることも少なくありません。

大人の偏食では、次のような問題が生じることがあります。

  • 外食や付き合いがストレスになる
  • 栄養バランスが崩れ、体調不良を起こす
  • 食べられるものが限られ、社会生活に支障が出る

ただし、大人になってからでも少しずつ克服していくことは可能です。無理をせず、少しずつ「食べられる範囲を広げる」アプローチが効果的です。

偏食の対処法と支援のポイント

では、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか。
以下のようなステップを意識すると、子どもの偏食改善に役立ちます。

無理強いをしない

「一口だけでも」と言いたくなる気持ちはわかりますが、無理に食べさせることは逆効果です。
子どもが「食事が怖い」と感じてしまうと、さらに拒否が強くなります。

食べられるものを中心に栄養を補う

完全にバランスを取ろうとするのではなく、「食べられるものの中で栄養をカバーする」工夫をします。
たとえば、白ご飯しか食べない場合は、ふりかけでミネラルを補う、スープに溶かして野菜を摂るなど。

食事環境を整える

静かで落ち着いた環境で食事をとることで、子どもの不安が和らぎます。
テレビを消し、家族で楽しく食卓を囲むことが「食べる楽しさ」につながります。

少しずつ慣らす

新しい食材は「見せる→触る→舐める→食べる」と段階的に慣らしていきます。
この「スモールステップ法」は、自閉スペクトラム症や発達障害の子どもにも効果的です。

専門家への相談

偏食が長期間続く場合や栄養状態に不安がある場合は、小児科・発達外来・栄養士・作業療法士などの専門家に相談しましょう。
特に、発達障害や自閉スペクトラム症の傾向がある子どもは、食事療法や感覚統合療法など、専門的な支援が必要な場合もあります。

子育てで悩んだときは、子育てセンターや地域の保健センターなど相談できる機関があります。ステラ幼児教室でも子育てに悩む保護者をサポートしています。

子どもの偏食に関するまとめ

子どもの偏食は、単なる「好き嫌い」ではなく、成長や感覚、心理的要因、発達特性のサインであることが多いです。
「どうして食べないの?」と叱るのではなく、「どんなふうに感じているのかな?」と視点を変えることが、改善の第一歩になります。

発達障害や自閉スペクトラム症を持つ子どもでも、周囲の理解とサポートがあれば、少しずつ食の幅を広げていくことができます。食事は栄養を摂るだけでなく、「安心」「楽しみ」「つながり」を感じる大切な時間。焦らず、子どものペースに寄り添いながら、ゆっくりと進めていきましょう。

ステラ幼児教室では、子どもの発達と子育てに悩む保護者のサポートをしています。
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