少し注意しただけで泣いてしまう。お友達とのやり取りですぐに涙が出てしまう。そんな子どもの姿に、不安を感じている保護者の方は少なくありません。
このまま学校生活は大丈夫だろうか。何か病気や障害があるのではないか。そう考えてしまい、心配が膨らむこともあると思います。
ただ、すぐに泣いてしまう行動には、必ず背景や原因があります。性格だけで決めつける必要はありませんし、なぜかという理由を知ることで関わり方は変えられます。
この記事では、発達支援の専門家の立場から、子どもが泣きやすい理由や考えられる要因、家庭でできる対応についてお伝えします。今の不安を整理するためのヒントとして、参考にしてみてください。
すぐに泣いてしまうのはなぜ?考えられる原因

なぜ子どもがすぐに泣いてしまうのか、その理由はひとつではありません。自分の子だけが特別なのではと不安になる方もいらっしゃいますが、実は多くの子どもに見られることです。まずは、病気や障害とは直接関係せず、成長の過程で起こりやすい原因から整理していきましょう。
感情コントロールがまだ未熟
子どもがすぐに泣いてしまう理由として多いのが、感情を調整する力がまだ育っている途中であり未熟なことです。感情を抑える働きを担う脳の部分は、大人になるまでゆっくり発達します。そのため、気持ちを我慢したり切り替えたりすることが難しく、感じたまま涙として表れてしまいます。
これは心が弱いからではなく、成長の過程では自然な姿です。特に幼児期から小学校低学年までは感情が表に出やすい時期でもあります。多くの場合、成長とともに少しずつ落ち着いていきますので、焦らず見守ることが大切です。ただ、年齢に比べて極端に難しさが目立つ場合は、ほかの要因も考えながら様子を見ていきましょう。
気持ちを言葉にするのが苦手
すぐに泣いてしまう子どもには、自分の気持ちを言葉で伝えるのが難しい場合があります。悔しい、悲しい、困ったといった感情をうまく表現できず、言葉の代わりに涙が出てしまうのです。
このようなときは、大人が気持ちを言葉にしてあげることが助けになります。悲しかったんだね、悔しかったんだねと代弁することで、子どもは感情の表し方を少しずつ学んでいきます。時間はかかりますが、繰り返し関わることで、泣く以外の伝え方が身についていきます。
少しずつ気持ちを言葉にする練習を重ねることで、泣く以外の表現方法を身につけていくことができます。この過程には時間がかかりますが、焦らず根気強くサポートしていきましょう。
感受性が強く、刺激を受けやすい気質
感受性が強い子どもは、まわりの空気や人の表情、声の変化に敏感です。大人には些細なことでも、心に強く残り、涙につながることがあります。
けれど、この敏感さは弱さではありません。人の気持ちを感じ取り、共感し、思いやれる力でもあります。
傷つきやすさだけでなく、その子ならではの感性として受け止めていくことも、大人にできる大切な関わり方のひとつです。
ストレスや疲れが限界に達しているサイン
急に泣くことが増えた場合、心や体の疲れがたまっている可能性があります。学校や人間関係、環境の変化など、子どもは気づかれないところで頑張っています。その負担が限界に近づくと、些細なことで涙が出やすくなります。
新学期や進級などの時期は特に注意が必要です。泣く頻度が増えたり、生活リズムに乱れが見られたりしたときは、無理をさせすぎていないか振り返ってみましょう。休む時間を意識的につくることが、気持ちを立て直す助けになります。
いずれの場合も、大人から「泣くのをやめなさい」と言われても、子ども自身も泣くのをやめたいと思っても、コントロールすることは難しいものです。
大人に怒られるからと、子ども自身が「泣くのをやめたい」と無理に我慢してしまうと、大人の顔を伺い、自分の気持ちを出せなくなるなどの影響が出てくるかもしれません。
まずは、子どもがすぐに泣いてしまう原因と背景を知ることから心がけていきましょう。
子どもがすぐに泣いてしまう背景にある病気

すぐに泣いてしまう背景には、発達障害などの特性や病気が関係していることもあります。病気と聞くと不安になるかもしれませんが、早めに気づき、適切な支援につなげることで、子どもの生きづらさは軽くできる場合があります。ここでは、考えられる主な背景について整理していきます。
ADHDやASDなどの発達障害
発達障害の特性によって、すぐに泣いてしまうことがあります。ただし、泣きやすさ自体が診断基準になるわけではありません。
ADHD(注意欠如多動症)の子どもは感情の衝動性が強く、悲しさや悔しさがそのまま涙として表れやすい傾向があります。一度気持ちが乱れると切り替えにくい点も特徴です。
ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、予定外の出来事や環境の変化に強い不安を感じやすく、感情をうまく整理できずに泣いてしまうことがあります。
大切なのは、泣くことだけで判断しないことです。気になる場合は、ほかの様子も含めて専門家に相談してみましょう。
HSPや愛着に関する問題が影響するケース
生まれつき刺激に敏感なHSP(Highly Sensitive Person:非常に敏感な人)の気質を持つ子どもは、音や光、周囲の雰囲気に強く反応し、涙が出やすい傾向があります。HSPは病気ではなく、感じ取る力が豊かな気質の一つです。
また、幼少期の愛着関係が不安定だった場合、不安を感じやすく、些細なことで情緒が揺れやすくなることがあります。親から離れる場面で泣きやすい場合は、安心感を育てる関わりが大切になります。
感覚過敏やトラウマが関係している場合
感覚が過敏な子どもは、音や光、触感などの刺激に強い不快感を覚え、泣いてしまうことがあります。周囲には伝わりにくく、本人も理由を説明できないままつらさを抱えがちです。
また、過去のつらい体験がトラウマとなり、似た場面で恐怖がよみがえって涙が出ることもあります。泣く背景には、目に見えない苦しさが隠れている場合もあるのです。
医療機関への受診を検討する目安
泣くことで生活や学校に支障が出ている場合や、年齢に比べて泣き方が激しい場合は、受診を考える目安になります。ほかにも気になる行動があったり、成長とともに改善が見られなかったりするときは、子ども自身が強い負担を感じている可能性があります。
迷ったときは、小児科や発達外来などに相談してみましょう。専門家に話を聞いてもらうだけでも安心につながり、必要があれば早めに支援を受けることができます。
大人になってもすぐに泣いてしまう場合の原因

子どもだけでなく、大人になってからも涙が出やすいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。ご自身の経験と重ねて不安になることもあるでしょう。大人がすぐに泣いてしまう背景を知ることは、子どもの将来を考えるうえでも一つのヒントになります。
自律神経の乱れやストレスによる影響
大人が涙もろくなる背景には、自律神経の乱れや慢性的なストレスが関係していることがあります。忙しさや睡眠不足が続くと、感情のコントロールが難しくなり、些細なことで涙が出やすくなるのです。
特に子育て中は無理を重ねがちです。生活リズムを整えるとともに、休む時間を意識的につくることが、心を落ち着かせる助けになります。
うつ病や適応障害などメンタル面の不調
涙もろい状態が続く場合、うつ病や適応障害など心の不調が関係していることもあります。感情を調整する働きが弱まるため、些細なことで悲しくなったり、楽しさを感じにくくなったりといったことが起こります。
気分の落ち込みや不眠、強い疲れが続くときは、ひとりで抱え込まず専門家に相談してください。保護者自身の心の健康も、子どもを支える大切な土台です。
涙もろさが続く理由と対人関係への影響
大人になっても涙もろい背景には、子どもの頃からの敏感な気質が続いている場合があります。病気ではありませんが、人前で泣いてしまうことで仕事や人間関係に悩むこともあります。
一方で、感受性の強さは共感力や気配りといった長所にもなります。自分を否定せず特性として理解することが大切です。保護者自身の経験を活かしながらも、子どもはその子なりの成長を見守っていきましょう。
すぐに泣いてしまうのをやめたいときの対処法

泣きやすさを何とかしたいと感じたときに、試してほしい対処法があります。子どもにも大人にも取り入れやすい方法です。すぐに変わるものではありませんが、続けることで少しずつ気持ちの扱い方が楽になっていきます。
深呼吸で高ぶった気持ちを落ち着かせる
涙が出そうなときは、深呼吸が手軽で効果的です。ゆっくり息を吐くことで気持ちが落ち着きやすくなります。
吐く時間を長めにした呼吸を数回繰り返すだけでも十分です。子どもには風船やシャボン玉にたとえて伝えると取り入れやすくなります。普段から練習しておくと、いざというときに役立ちます。
自分の感情や考えを紙に書いて整理する
気持ちが頭の中で膨らむと、涙が出やすくなります。そんなときは、感じていることを紙に書き出してみましょう。書くことで気持ちが整理され、何がつらかったのかが見えやすくなります。
文章でなくても構いません。子どもの場合は絵や表情のイラストを使うなど、その子に合った形で気持ちを表現できるようにしてあげましょう。
小さな成功体験を積み重ね自己肯定感を育む
すぐに泣いてしまう背景には、自信の持ちにくさが関係していることがあります。達成しやすい小さな目標を設定し、できた経験を重ねることが大切です。
結果だけでなく、頑張った過程を認める声かけが自己肯定感を育てます。この積み重ねが、感情の揺れを少しずつ和らげていきます。
すぐに泣いてしまう子どもへ親ができる対応

すぐに泣いてしまう子どもに、どう関わればよいか悩む方も多いと思います。日々の接し方を少し意識するだけで、気持ちが落ち着きやすくなるとともに、自己肯定感を育てることにもつながります。ここでは、親ができる具体的な対応をお伝えします。
頭ごなしに叱らずまず話を聞く
泣くことを否定すると、子どもは自分の気持ちを出しにくくなってしまいます。まずはどうしたのかを落ち着いて聞く姿勢が大切です。
すぐに話せないときは、そばにいると伝えて待ってあげましょう。最後まで話を聞いてもらえた経験が、子どもの安心感につながります。
子どもの気持ちに寄り添い共感を示す
泣いているときは、まず気持ちに共感することが大切です。「悲しかったんだね」などと感情を言葉にしてあげると、子どもは安心しやすくなります。
すぐに正論や注意を伝えず、落ち着いてから一緒にどうすればよかったかを考えていきましょう。共感が、前向きな行動につながります。
安心して過ごせる居場所を家庭に作る
家庭が安心できる場所であることは、子どもの心の安定に欠かせません。外で頑張っている分、家で泣くのは安心している証でもあります。
ありのままを受け止めてもらえる環境が、感情を落ち着かせます。特別なことをしなくても、穏やかに一緒に過ごす時間が大切です。
専門家への相談や支援機関を活用する
家庭だけで抱え込まず、必要に応じて専門家に相談しましょう。話を聞いてもらうだけでも安心につながり、早めの支援が役立つこともあります。
学校や地域の相談窓口、医療機関など、頼れる場所はたくさんあります。子どもに合った支援を選ぶことで、安心感や自信を育てていくことができます。
【まとめ】すぐに泣いてしまう子どもの特性を理解し、適切な支援を
子どもがすぐに泣いてしまう背景には、感情調整の発達段階や生まれ持った気質、日々のストレスなど、さまざまな要因があります。発達障害やHSP、感覚過敏、過去のつらい経験などが関係していることもあり、理由はひとつではありません。
また、大人になってからも涙が出やすい場合には、自律神経の乱れや心の不調が影響していることもあります。深呼吸を取り入れたり、気持ちを整理する習慣を持ったり、自己肯定感を育てる工夫が助けになることがあります。
大切なのは、「泣いてはいけない」と否定するのではなく、気持ちに寄り添い、安心できる環境を整えることです。家庭だけで対応が難しいと感じたときは、専門家の力を借りることも前向きな選択といえるでしょう。
泣きやすさは、感受性の豊かさや優しさの表れでもあります。「どうしてこんなに泣くのだろう」と悩むことがあっても、子どもの感じ方そのものが間違っているわけではありません。大人がその気持ちを受け止め、理解しようとする姿勢は、子どもにとって大きな安心につながります。子ども一人ひとりの特性に目を向け、その子に合った関わりや支援を続けていくことで、少しずつ自分らしく成長していく力が育まれていきます。
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