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白黒思考とは?発達障害やアスペルガー向けチェックと治し方

2026.02.09
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)

「うちの子は、何でも白か黒かではっきり決めたがる」「少し失敗しただけで、全部ダメだと落ち込んでしまう」このような悩みを抱える保護者の方は、決して少なくありません。そしてそれは、育て方の問題ではないことがほとんどです。

物事を極端に捉えてしまう考え方は「白黒思考」と呼ばれ、発達障害やアスペルガー特性のある子どもに比較的よく見られる認知の傾向のひとつです。良し悪しをはっきりさせたい気持ちが強く、その分、失敗や想定外の出来事に心が揺れやすくなります。

この記事では、白黒思考をやめたい人ややめさせたいと悩む方に向けて、傾向を確認するためのチェックの視点と、日常の中で無理なく取り組める関わり方と治し方のヒントを、わかりやすくお伝えします。

白黒思考とは?0か100かで考えてしまう思考のクセ


白黒思考とは、物事を「良いか悪いか」「成功か失敗か」「敵か味方か」といったように、極端な二択で捉えてしまう思考の傾向を指します。「0か100か思考」「全か無か思考」「二分割思考」と呼ばれているのも同じです。 

たとえば、テストで90点を取っても「満点ではないから意味がない」と感じてしまったり、たった一度注意された経験から「あの人は自分を嫌っているに違いない」と思い込んでしまったりすることがあります。 

本来、私たちの身の回りの出来事の多くは、白でも黒でもない、その中間に位置しています。しかし白黒思考が強いと、この“間”を受け止めることが難しくなり、判断がどうしても極端になってしまうのです。

心理学で知られている考え方のクセ

白黒思考は、心理学では「認知の歪み」と呼ばれる思考のクセのひとつとして知られています。 

アメリカの精神科医デビッド・バーンズは、気分の落ち込みや不安につながりやすい考え方として、10種類の認知の歪みを示しましたが、白黒思考はその中でも代表的なものとされています。 

また、認知行動療法の専門家であるジュディス・ベックは、白黒思考を「状況を連続したものとして捉えず、二つの極端なカテゴリーに分けて理解してしまうこと」と説明しています。 

大切なのは、白黒思考そのものが特別なものではなく、程度の差こそあれ多くの人に見られる傾向だという点です。ただし、その強さによっては、日常生活で苦しさが増してしまうこともあります。

白黒思考がある子どもの具体例

白黒思考の傾向がある子どもには、次のような姿が見られることがあります。 

  • ゲームで負けると「もう二度とやらない」と強く怒る 
  • テストで満点でないと「全部ダメだった」と落ち込む 
  • 友達に一度断られただけで「嫌われた」と思い込む 
  • ルールを少しでも守らない人を受け入れられない 
  • 「いつも」「絶対」「みんな」といった言葉を頻繁に使う 
  • 勝ち負けに強くこだわり、負けを認められない
  •  新しいことに挑戦することを極端に避けようとする 

こうした行動は、わがままや頑固さとして受け取られがちですが、その背景には本人なりの不安や必死さがあることを、理解してあげることが大切です。

白黒思考になりやすい人の特徴をチェック


子どもや、もしかするとご自身にも白黒思考の傾向があるかもしれないと感じたときは、まずは落ち着いて振り返ってみることが大切です。以下のチェックリストは、その目安としてご活用ください。当てはまる項目が多いほど、白黒思考の傾向がやや強い可能性があります。

  • 物事を「成功」か「失敗」のどちらかで考えがち
  • 他人の小さなミスが気になってしまうことがある
  • 自分の失敗を必要以上に重く受け止めてしまう
  • 「絶対」「必ず」「いつも」といった言葉をよく使う
  • 中途半端な状態が落ち着かない
  • 一度苦手意識を持った人を見直すのが難しい
  • 完璧にできないなら、最初からやらない方がいいと思う
  • 人の意見を「正しいか、間違いか」で判断しやすい
  • 少し否定されただけで、全てを否定されたように感じる
  • 優柔不断な人を見ると、ついイライラしてしまう

完璧主義で自分にも周りにも厳しい

白黒思考になりやすい方に多く見られる特徴のひとつが、完璧主義です。 「100点でなければ意味がない」「少しの失敗も許されない」といった考え方を持ちやすく、思うようにいかなかった経験が、それまでの努力まで否定してしまうきっかけになることがあります。

また、この厳しさは自分自身だけでなく、周囲の人にも向けられがちです。「どうしてできないのだろう」「ルールは守るべきなのに」と感じる場面が増え、知らず知らずのうちに心が疲れてしまうこともあります。結果として、人間関係に息苦しさを生むことも少なくありません。

あいまいなことが苦手で不安になりやすい

白黒思考の傾向がある人は、あいまいな状態に強い不安を感じやすいという特徴もあります。 「はっきりしない」「場合による」といった答えを受け入れることが難しく、明確な結論が出ないと気持ちが落ち着かなくなるのです。

たとえば、「まだ決まっていない」と言われると先の見通しが立たず不安になったり、「たぶん大丈夫」という言葉では安心できなかったりします。こうした傾向は、予定変更や予測できない出来事への苦手さとも深く結びついていくのです。

発達障害やアスペルガーがある子に白黒思考が多い理由

発達障害、なかでも自閉スペクトラム症(ASD)やアスペルガー特性のある子どもには、白黒思考が見られやすいといわれています。これは性格の問題ではなく、脳の働き方や感じ方の特性と深く関係しているのです。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、自閉スペクトラム症の特徴として「社会的コミュニケーションや対人関係の難しさ」と「限られた興味・関心、反復的な行動パターン」が挙げられています。こうした特性が、物事の捉え方にも影響を及ぼすのです。

自閉スペクトラム症と白黒思考について明らかになった研究

自閉スペクトラム傾向と白黒思考の関係については、近年、少しずつ研究が進められています。名古屋大学の研究チームによる調査でも、両者のつながりが示唆されました。

調査の中では、自閉スペクトラム傾向が高い人ほど、物事を二つに分けて考えやすい傾向が見られています。その背景として考えられているのが、はっきりしない状況への苦手さです。

先の見通しが立たない場面や、答えがひとつに定まらない状態では、不安が強くなりやすくなります。その不安を抑えるために、白か黒かを決めて考えようとすることがあり、白黒思考はそうした心の動きの中で表れる場合もあると考えられています。

はっきりしない状況に耐えられないことが原因になる

「不確実さ不耐性」とは、簡単にいえば「先が見えない状況や曖昧さに強い不安を感じやすい状態」を指します。 発達障害のある子どもは、予定の変更や予測できない出来事、答えがひとつに決まらない状況に、強い戸惑いや不安を抱きやすい傾向があります。

そのため、「正しいか間違いか」「味方か敵か」と物事をはっきり分けることで、心を落ち着かせようとすることがあります。白黒思考は、本人にとって不安から身を守るための、精一杯の対処の形でもあるのです。

強いこだわりが関係している

発達障害やアスペルガー特性のある子どもに見られる「こだわりの強さ」も、白黒思考と深く結びついています。 特定の順序やルール、やり方に強くこだわる特性があると、「こうでなければならない」という考えが固まりやすくなるのです。

その結果、自分の基準から外れたものを「間違っている」「受け入れられない」と感じてしまうことがあります。また、一度できあがった考えを柔軟に修正することが難しい点も、白黒思考を強める一因となっています。

白黒思考になる原因とは


白黒思考は、発達障害の特性だけで生じるものではありません。育ってきた環境や経験、物事の受け取り方など、いくつかの要因が重なり合って形づくられていきます。ここでは、代表的な原因を整理してみましょう。

子ども時代に経験したことや育った環境

幼少期の体験や家庭環境は、その後の思考のクセに大きな影響を与えます。 たとえば、次のような経験が重なると、白黒思考が強まりやすいと考えられています。

  • 100点を取ったときだけ評価された
  • 失敗すると強く叱られることが多かった
  • 「〇〇すべき」「〇〇してはいけない」と厳しく教えられてきた
  • 身近な大人が白黒思考の傾向を持っていた

子どもは、大人の言葉や判断の仕方をそのまま吸収しながら成長します。そのため、周囲に白黒思考が当たり前の環境があると、同じ考え方を自然と身につけやすくなるものです。

また、学校生活の中で「正解か不正解か」という評価を受ける場面が多いことも、物事を二択で捉えるクセを強める一因になると考えられています。

少ない情報で決めつけてしまう

十分な情報がそろわないうちに結論を出してしまうことも、白黒思考につながります。 たとえば、友達に挨拶をして返事がなかったとき、「無視された=嫌われている」と即座に判断してしまうケースです。しかし実際には、相手が気づかなかっただけ、ということも少なくありません。

ひとつの出来事だけを根拠に、「良い・悪い」「好き・嫌い」と決めつけてしまうと、現実よりも極端な受け取り方になりやすくなります。この積み重ねが、白黒思考を強めてしまうのです。

白黒思考が引き起こす困りごと

白黒思考の傾向が強いと、日常のさまざまな場面で生きづらさが表れやすくなります。中でも影響を受けやすいのが、人との関わり方や、自分自身の受け止め方です。

友達や家族との関係でトラブルが増える

白黒思考は、人間関係の中で摩擦を生みやすい側面があります。 「この人は完全に味方」「この人は敵」といったように極端に捉えてしまうと、相手のちょっとした言動で評価が一気に変わってしまうのです。昨日まで楽しく過ごしていた相手でも、ひとつ嫌な出来事があるだけで「もう二度と関わりたくない」と感じてしまうことがあります。

また、「自分の考えが正しい」という思いが強くなると、違う意見を受け入れる余裕がなくなりがちです。その結果、衝突が増え、気づかないうちに人との距離が広がってしまうこともあります。

自分を責めて自信をなくしてしまう

白黒思考は、他人だけでなく、自分自身に向けられることも少なくありません。 「できなかった自分には価値がない」「一度失敗したら終わりだ」といった考え方は、少しずつ自己肯定感を削っていきます。

この状態が続くと、新しいことに挑戦するのが怖くなったり、失敗そのものを避けるようになったりします。場合によっては、強い不安や気分の落ち込みにつながることもあるため、「考え方のクセかもしれない」と早めに気づいてあげることが大切です。

白黒思考をやめたいときの治し方と3つの改善ステップ

白黒思考は、ある日突然身についたものではなく、長い時間をかけて形づくられてきた思考のクセです。そのため、すぐに手放そうとしなくて大丈夫です。意識の向け方を少しずつ変えていくことで、無理のない改善が期待できます。ここでは、日常の中で取り組みやすい3つのステップをご紹介します。

考え方のクセに気づき記録する

改善の出発点は、「自分がどんな考え方をしているか」に気づくことです。 白黒思考は無意識に働くことが多いため、まずは「今、極端な捉え方をしていないかな」と立ち止まる習ことを心がけましょう。

気持ちが大きく揺れたとき、落ち込んだとき、強くイライラしたときなどに、その場面を簡単に書き留めてみるのもおすすめです。「何が起きたか」「どう感じたか」「そのとき頭に浮かんだ考え」を整理することで、自分なりの思考の傾向が少しずつ見えてきます。

絶対やいつもをかもしれないに言い換える

白黒思考が強く出ているときほど、「絶対」「いつも」「必ず」「みんな」といった言葉が増えがちです。 こうした言葉に気づいたら、「かもしれない」という表現に置き換えてみてください。

「絶対に嫌われた」
→「嫌われたかもしれないし、そうではないかもしれない」

「いつも失敗する」
→「今回はうまくいかなかったけれど、次は違うかもしれない」

言い換えは、無理に前向きになるためのものではありません。すぐに結論を出さず、考えをいったん保留にする練習として取り入れてみてください。

白でも黒でもないグレーを受け入れる練習

目指したいのは、白か黒かだけで判断しない視点を少しずつ育てていくことです。 0点か100点かではなく、「今日は60点くらい」「思ったよりできた部分もある」と、段階的に捉える練習をしてみましょう。

また、「良いところと足りないところが同時にある」「正しい面も、そうでない面もある」と意識することで、物事を見る幅が自然と広がっていきます。急に考え方を変えようとせず、グレーがあっても大丈夫だと感じられる時間を、少しずつ増やしていくことが大切です。

発達障害がある子どもへ親ができる白黒思考への対応

発達障害のある子どもの白黒思考に対しては、特性を理解したうえで、根気強くサポートすることが大切です。

まずは子どもが感じていることに寄り添う

子どもが極端な考え方をしていても、すぐに否定したり正そうとしたりしないでください。

まずは「そう感じたんだね」「悔しかったんだね」と、子どもの気持ちを受け止めましょう。気持ちを受け入れてもらえたと感じることで、子どもは安心し、少しずつ別の考え方を受け入れる余裕が生まれます。

白黒思考は本人にとって不安に対処するための方法でもあります。頭ごなしに否定すると、かえって不安が強まってしまうこともあるため注意が必要です。

柔らかい考え方が育つ声かけのコツ

日々のやり取りの中で、親の言葉はそのまま子どもの考え方のヒントになります。特別な言い方を意識しすぎる必要はありません。

たとえば、満点でなくても「ここまでできたね」と声をかけてみたり、失敗したときも「次はどうしようか」と一緒に考えてみましょう。人には得意なところも苦手なところもある、今日はうまくいかなくても明日は違うかもしれないという見方が、会話の端々から自然と伝わっていくことがあります。

すぐに変化が見えなくても、それで構いません。もし関わり方に迷いが出てきたときは、外の視点を借りることもひとつの方法です。支援機関や専門家と話すことで、親子にとって無理のない関わり方が見えてくることもあります。

【まとめ】白黒思考の特徴や原因を理解し個々に合った支援を

白黒思考は、物事を極端に捉えてしまう考え方のクセのひとつです。発達障害やアスペルガー特性のある子どもに多く見られる背景には、脳の特性や、あいまいさへの不安が影響していると考えられています。

和らげていくために大切なのは、まずそのクセに気づくことです。「もしかしたら違う見方もあるかもしれない」と立ち止まるだけでも、考え方には少しずつ幅が生まれます。

子どもに対しては、急いで変えようとせず、気持ちに寄り添いながら関わっていくことが何よりの支えになります。必要であれば専門家の力も借りつつ、その子に合ったペースと方法を見つけていきましょう。

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