子どもが手のひらを自分に向けてバイバイをする「逆さバイバイ」。初めて見たときには、「なぜ普通のバイバイと違うのだろう?」と疑問に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。
この仕草は、成長の過程で見られることが多く、自然に解消されるケースがほとんどです。しかし、逆さバイバイが長く続く場合や、他の発達の特徴が見られる場合、自閉スペクトラム症(ASD)との関連も気になるところです。
そこで本記事では、逆さバイバイの特徴や意味などについて解説します。さらに、自閉スペクトラム症との関係性や、気になる場合の対応方法についてもご紹介します。
逆さバイバイとは

「逆さバイバイ」とは、子どもが手のひらを自分に向けて振るバイバイの仕草を指します。本来、バイバイは手のひらを相手に向けて振るものですが、逆さバイバイの場合は、手の甲が相手側を向く形になります。
この仕草は、多くの子どもに見られるもので、子どもが大人の動きを真似しながら成長する中で、一時的に見られるものであり、発達の過程で自然に消えていくことがほとんどです。
通常のバイバイでは、手のひらを相手に向けて振りますが、逆さバイバイでは手のひらが自分側、手の甲が相手側に向く形になります。これは、子どもが相手の動作をそのまま模倣する際、自分の視点で手を振るために起こると考えられています。
子どもが逆さバイバイをする理由

子どもが逆さバイバイをするのには、さまざまな理由があります。
鏡写しでバイバイを覚えるから
子どもが逆さバイバイをする主な理由は、相手の動作を自分の視点で模倣するためです。
たとえば、親が手のひらを子どもに向けてバイバイすると、子どもはそのまま手のひらを自分に向けて真似をします。これは、他者の視点を理解する力(他者視点)が未発達であるためです。
逆さバイバイ自体は、幼児期の一時的な現象として多くの子どもに見られます。
これは、他者視点の未発達や模倣の過程で起こる自然な行動とされています。
多くの場合、成長とともに他者の視点を理解し、手のひらを相手に向けてバイバイができるようになっていきます。しかし、3歳を過ぎても逆さバイバイが続く場合や、他のコミュニケーションや社会性の発達にも遅れが見られる場合は、専門家への相談を検討することが望ましいです。
手の動きが未発達だから
発達途中の子どもの場合、体を自分の思い通りに動かすのが難しく、結果として逆さバイバイになっているケースもあります。
特に、手首の関節が弱かったり筋力が弱い場合、バイバイしようとしているにも関わらず無意識に逆さバイバイになってしまっていることもあります。
自分の手を見て楽しんでいるから
そもそも、バイバイをしようと思っていないケースもあります。
ただ、目の前でヒラヒラ動く自分の手の動きを楽しんでいるケースもあり、言動や状況がバイバイの行動と一致していない可能性もあるでしょう。
逆さバイバイがよく見られる時期

個人差はあるものの。1歳くらいになると子供は模倣を始めます。
大人の真似や周囲の人の真似、テレビの真似、動物の真似などをするようになります。
逆さバイバイがみられるのもこの頃です。
およそ、12~24カ月頃の子どもに見られることが多い傾向にあります。
「逆さバイバイは自閉スペクトラム症(ASD)のサインなの?」と心配になる保護者の方もいるかもしれません。逆さバイバイはASDの子どもに見られることがある仕草のひとつですが、これだけで発達障害を判断することはできません。
ASDの子どもは、他者とのコミュニケーションが苦手なことがあり、ジェスチャーの使い方が独特になる場合があります。そのため、逆さバイバイが長く続く場合や、他の発達の特徴が見られる場合は、専門家への相談を検討するとよいでしょう。
そこで本項では、逆さバイバイとASDの関係性について解説し、気になる場合にどのような対応をすればよいのかをお伝えします。
自閉スペクトラム症(ASD)とは
自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の一種です。
社会的コミュニケーション能力に困難を持つケースが多く、強いこだわりを持っている人が多い傾向にあります。症状の現れ方には個人差が大きく、注意欠如多動症(ADHD)や学習障害(LD)を併せ持つこともあります。
自閉スペクトラム症(ASD)は何歳くらいでわかる?
自閉スペクトラム症(ASD)は、個人差があるものの社会的コミュニケーションに困難を持つ人が多いため、2~3歳の比較的低年齢時に診断されることが多い傾向にあります。
発語が遅い、後追いをしない、こだわりが強い、目が合わないなど、育てにくさを感じて低年齢から観察を続けるケースも少なくありません。
自閉スペクトラム症(ASD)で逆さバイバイ以外にみられる特性
自閉スペクトラム症(ASD)では、逆さバイバイ以外にも以下のような特性がみられます。
- 名前を呼んでも反応しない
- 目を合わせることが少ない
- 興味や活動の範囲が狭い
- 反復行動やこだわりが強い
これらの特性が複数見られる場合、ASDの可能性を考慮し、専門家に相談することが推奨されます。
逆さバイバイで専門機関に相談する目安

逆さバイバイ自体は、発達の課程で健常児にもみられる行動です。偶然、数回逆さバイバイをしただけであったり、一時的に逆さバイバイをしたものの正しくバイバイできるようになったりした場合は気にする必要はないでしょう。
しかし、3歳を過ぎても逆さバイバイが続く場合や目を合わせない、こだわりが強い、感覚過敏(感覚鈍麻)など、他の自閉スペクトラム症の特性を併せ持っている場合は、専門機関に相談してみるのがよいでしょう。
逆さバイバイについて相談できる機関

3歳を過ぎても逆さバイバイが続く、または他の発達上の特徴なども気になる場合は以下の専門機関に相談してみましょう。
- 自治体の相談窓口
- 小児科
- 児童発達支援センターなど
専門機関では、発達の評価や必要に応じた療育の提案を受けることができます。早期に支援を受けることで、コミュニケーション能力を高める手助けができます。
逆さバイバイをする子どもに接するポイント

逆さバイバイをする子どもが心配になる保護者の方も多いでしょう。しかし、健常な発達である場合、過度に心配したり矯正したりするのは逆効果になることもあります。
逆さバイバイをする子どもには、以下のように接してみてください。
無理に矯正しない
逆さバイバイをしていても、無理に矯正する必要はありません。
健常な発達であれば自然と正しいバイバイができるようになりますし、発達障害が関係している場合、逆さバイバイをしなくなったからといって発達障害が改善する訳ではありません。
無理に矯正はせず、他の特性がないかよく確認しながら見守りましょう。
横並びになってバイバイする
健常な発達のなかで逆さバイバイしている子どもの多くは、他人と自分が対面していることを理解できていません。鏡写しになっていることを理解できず、自分に向かって掌が向けられているため、そのまま再現しているのです。
対面でバイバイするのではなく、横並びになってバイバイして見せましょう。
同じように模倣することで、正しいバイバイを自然に学びます。
色々なコミュニケーションのなかで正しいバイバイを覚えてもらう
バイバイの動きにこだわらず、1~2歳頃は他人の動きを模倣することで発達していきます。指差しや「ちょうだい」「どうぞ」など、コミュニケーションのなかでおこなうさまざまな身振りを模倣させ相手と自分の見え方の違いをゆっくりと理解していくのがよいでしょう。
色々なコミュニケーションや模倣ができるようになるなかで、自然とバイバイも正しい形でできるようになります。
逆さバイバイの特徴とASDとの関連まとめ
逆さバイバイとは、子どもが手のひらを自分に向けて振るバイバイの仕草を指します。これは、成長過程でよく見られるもので、特に1歳頃の子どもが模倣行動の一つとして行うことが多く、通常は3歳頃までに自然に解消されます。
しかし、3歳を過ぎても続く場合や、目を合わせない、指さしをしない、ひとり遊びが多いなど他の兆候も見られる場合は、自閉スペクトラム症(ASD)の特性と関連がある可能性が指摘されています。ASDの子どもは、他者視点の理解やジェスチャーの使い方に特有の困難を抱えることがあり、そのひとつとして逆さバイバイが現れることがあります。ただし、逆さバイバイ単独で発達障害を判断することはできず、他の行動と合わせて総合的に判断することが必要です。
もし逆さバイバイが続くことや、他の発達上の特徴が気になる場合は、専門家への相談を検討しましょう。児童発達支援センターや小児科で適切な評価を受けることができます。また、家庭では、遊びを通じたジェスチャーの練習や、安心できる環境づくりを意識することで、子どものコミュニケーション能力の発達をサポートすることが大切です。









