逆さバイバイとは?その特徴や自閉スペクトラム症との関係性
- 発達障害
- ASD(自閉症スペクトラム)
- 支援方法・家庭での過ごし方
子どもが手のひらを自分に向けてバイバイをする「逆さバイバイ」。初めて見たときには、「なぜ普通のバイバイと違うのだろう?」と疑問に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。
この仕草は、成長の過程で見られることが多く、自然に解消されるケースがほとんどです。しかし、逆さバイバイが長く続く場合や、他の発達の特徴が見られる場合、自閉スペクトラム症(ASD)との関連も気になるところです。
そこで本記事では、逆さバイバイの特徴や意味などについて解説します。さらに、自閉スペクトラム症との関係性や、気になる場合の対応方法についてもご紹介します。
目次
- 逆さバイバイとは?
- 逆さバイバイと自閉スペクトラム症との関係性
- 適切な対応と支援方法
- まとめ
逆さバイバイとは?
「逆さバイバイ」とは、子どもが手のひらを自分に向けて振るバイバイの仕草を指します。本来、バイバイは手のひらを相手に向けて振るものですが、逆さバイバイの場合は、手の甲が相手側を向く形になります。
この仕草は、多くの子どもに見られるもので、子どもが大人の動きを真似しながら成長する中で、一時的に見られるものであり、発達の過程で自然に消えていくことがほとんどです。
では、逆さバイバイはどのような背景で起こるのでしょうか?ここでは、逆さバイバイの理由や特徴について解説していきます。
逆さバイバイの特徴
逆さバイバイとは、子どもが手のひらを自分に向けてバイバイをする仕草のことです。
通常のバイバイでは、手のひらを相手に向けて振りますが、逆さバイバイでは手のひらが自分側、手の甲が相手側に向く形になります。これは、子どもが相手の動作をそのまま模倣する際、自分の視点で手を振るために起こると考えられています。特に、生後9ヶ月から1歳頃の子どもに見られることが多いです。
逆さバイバイをする理由
子どもが逆さバイバイをする主な理由は、相手の動作を自分の視点で模倣するためです。
たとえば、親が手のひらを子どもに向けてバイバイすると、子どもはそのまま手のひらを自分に向けて真似をします。これは、他者の視点を理解する力(他者視点)が未発達であるためです。
また、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、他者視点を持つことが苦手な特性があり、その結果として逆さバイバイをすることがあるとされています。ただし、逆さバイバイ自体がASDを示すものではなく、他の発達指標と合わせて総合的に判断することが重要です。
正常な場合の逆さバイバイ
逆さバイバイ自体は、幼児期の一時的な現象として多くの子どもに見られます。
これは、他者視点の未発達や模倣の過程で起こる自然な行動とされています。多くの場合、成長とともに他者の視点を理解し、手のひらを相手に向けてバイバイができるようになっていきます。しかし、3歳を過ぎても逆さバイバイが続く場合や、他のコミュニケーションや社会性の発達にも遅れが見られる場合は、専門家への相談を検討することが望ましいです。
逆さバイバイと自閉スペクトラム症との関係性
「逆さバイバイは自閉スペクトラム症(ASD)のサインなの?」と心配になる保護者の方もいるかもしれません。逆さバイバイはASDの子どもに見られることがある仕草の一つですが、これだけで発達障害を判断することはできません。
ASDの子どもは、他者とのコミュニケーションが苦手なことがあり、ジェスチャーの使い方が独特になる場合があります。そのため、逆さバイバイが長く続く場合や、他の発達の特徴が見られる場合は、専門家への相談を検討するとよいでしょう。
そこで本項では、逆さバイバイとASDの関係性について解説し、気になる場合にどのような対応をすればよいのかをお伝えします。
その仕草の意味と背景
なぜ逆さバイバイが起こるのでしょうか?この仕草の背景には、以下のような意味や背景があります。
模倣の発達段階
幼児は周囲の大人の動作をそのまま真似しようとします。しかし、鏡のように反転させることが難しく、自分がバイバイされる立場で見た動きをそのまま再現するため、逆さバイバイになることがあります。
視点の未発達
幼い子どもは「他者の視点を理解する力(他者視点)」が未発達です。そのため、自分の視点で動作を再現し、結果として逆さバイバイになることがあります。
動作の未発達
運動機能の発達途中で手の動かし方をまだ完全にコントロールできていないため、不自然な動きになることがあります。
このように、逆さバイバイは子どもの成長の過程でよく見られる行動のひとつです。多くの場合、3歳頃までに自然と消えていき、正しいバイバイの仕草ができるようになります。
関係があるとされる理由
逆さバイバイは、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもに見られる特性の一つとされています。
ASDの子どもは、模倣や身振り手振りの意味を理解するのに苦労することがあり、その結果、逆さバイバイのような独特の仕草が見られることがあります。ただし、逆さバイバイそのものがASDを示すものではなく、他の発達指標と合わせて総合的に判断することが重要です。
関連する発達上のサイン
逆さバイバイ以外にも、ASDの子どもに見られる特性として以下のような行動が挙げられます。
●名前を呼んでも反応しない
●目を合わせることが少ない
●興味や活動の範囲が狭い
●反復行動やこだわりが強い
これらの特性が複数見られる場合、ASDの可能性を考慮し、専門家に相談することが推奨されます。
適切な対応と支援方法
逆さバイバイが見られる場合、成長の過程で自然に解消することがほとんどですが、3歳を過ぎても続く場合や、他の発達の遅れが見られる場合は、適切な対応を考えることが大切です。
ここでは、適切な対応と支援方法を紹介します。子どもの発達のサポートに役立てましょう。
子どもの仕草を温かく見守る
逆さバイバイは、多くの子どもに見られる成長の一環でもあります。すぐに「違うよ」と指摘するのではなく、「バイバイ上手だね」と肯定的に声をかけることが大切です。他の子どもや大人がバイバイをしている様子を見せ、自然と模倣できる環境を作りましょう。
他の行動も観察する
逆さバイバイだけでなく、以下のような行動があるかどうかもチェックしましょう。
●名前を呼んでも振り向かない
●目を合わせることが少ない
●指さしをしない(興味のあるものを指差して大人に伝えない)
●一人遊びが多く、他の子どもと関わろうとしない
このような行動が複数見られる場合、発達の特性が影響している可能性があるため、専門機関への相談を検討しましょう。
家庭でもできるサポート
遊びを通じた学び
鏡を使って一緒にバイバイをする、指さしゲームをするなど、楽しみながら動作を学べる環境を作りましょう。
ジェスチャーを増やす
手遊び歌(例「いとまきのうた」「グーチョキパーでなにつくろう」)などを取り入れると、自然に楽しく動作を学べます。
安心できる環境づくり
子どもが不安を感じやすい環境だと、コミュニケーションが取りにくくなることがあります。親子のスキンシップを増やし、リラックスできる雰囲気を作ることも大切なことです。
専門家や支援機関に相談する
3歳を過ぎても逆さバイバイが続く、または他の発達上の特徴なども気になる場合は、自治体の相談窓口や小児科医、児童発達支援センターなどに相談してみましょう。
専門機関では、発達の評価や必要に応じた療育の提案を受けることができます。早期に支援を受けることで、コミュニケーション能力を高める手助けができます。
まとめ
逆さバイバイとは、子どもが手のひらを自分に向けて振るバイバイの仕草を指します。これは、成長過程でよく見られるもので、特に9ヶ月から1歳頃の子どもが模倣行動の一つとして行うことが多く、通常は3歳頃までに自然に解消されます。
しかし、3歳を過ぎても続く場合や、目を合わせない、指さしをしない、一人遊びが多いなど他の兆候も見られる場合は、自閉スペクトラム症(ASD)の特性と関連がある可能性が指摘されています。ASDの子どもは、他者視点の理解やジェスチャーの使い方に特有の困難を抱えることがあり、その一つとして逆さバイバイが現れることがあります。ただし、逆さバイバイ単独で発達障害を判断することはできず、他の行動と合わせて総合的に判断することが必要です。
もし逆さバイバイが続くことや、他の発達上の特徴が気になる場合は、専門家への相談を検討しましょう。児童発達支援センターや小児科で適切な評価を受けることができます。また、家庭では、遊びを通じたジェスチャーの練習や、安心できる環境づくりを意識することで、子どものコミュニケーション能力の発達をサポートすることが大切です。
参考元
各支援機関 等