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レスパイトケアとは?保護者が安心して休める支援のかたち

2025.08.08
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「子どもからなかなか目を離せない…」「少しだけでも、ひと息つきたい…」そんな気持ちを抱えながらも、誰にも頼れずがんばり続けていませんか?

障害のある子どもの子育ては、心身ともにエネルギーを要するものです。休む時間を取れずに、辛さを抱えたまま過ごしている保護者の方も少なくありません。

本記事では、レスパイトケアの基本的な内容と必要性、支援の種類や利用方法についてわかりやすくご紹介します。

目次

そもそもレスパイトケアとは?

「レスパイトケア」と聞いても、どのような支援なのかイメージが湧かない方も多いかもしれません。「休むことに意味があるの?」と疑問を感じる方もいるでしょう。

レスパイトケアとは、障害のある子どもを育てる保護者が、一時的に子どもを専門機関に預けて休息をとることができる支援。
決して怠けているのではなく、子育てをよりよいものにするために欠かせない大切な時間なのです。

ここでは、レスパイトケアの基本的な考え方と、その大切さについて解説していきます。

レスパイトケアは一時的な休息のための支援

レスパイトケアとは、日常的に介護や育児などを担っている忙しい保護者が、短時間または一定期間、安心して休息できる支援です。
たとえば、日帰りの送迎付きサービス(デイサービス)や宿泊をともなうショートステイなど、多様な形態があります。

専門スタッフが子どもを見守ることで、保護者は心身ともにリフレッシュの時間が得られます。
これは子どもだけでなく、ケアする側である保護者にも大きな価値があり、長期的な子育ての継続を支える重要な制度なのです。

「休んでもいい」と思えない人が多い理由

「休んではいけない気持ち」に悩む保護者の方は少なくありません。
特に、子どもに目が離せない生活が続くと、「休むことで迷惑をかけてしまう…」と罪悪感にさいなまれてしまうこともあります。

また、周囲に理解者が少ないと、「甘えているのでは?」という思いがさらに自分を押し込めてしまうかもしれません。
レスパイトケアは「家族が楽をするため」ではなく、「長く、楽しく子育てを続けるための支え」であることをぜひ知っていただきたいです。

保護者が元気でいることが子どもにとっても大切

保護者が元気でいることは、子どもの安心につながります。
疲れやストレスが溜まると、笑顔や温かい関わりが難しくなり、子どもにも不安な空気が伝わります。

レスパイトケアによって心身を整えることで、気分転換ができ、「また笑顔で向き合える」家族の雰囲気づくりができるのです。
心に余裕があると、困難な場面でも冷静に対応でき、子どもにとっても穏やかで居心地のよい環境が広がります。
これは長い目で見た「子どもの発達を支える力」になります。

休むことは甘えではなく心と体を守るのが重要

「親が休むなんて甘え?」と、罪悪感に押しつぶされそうになる方もいますが、レスパイトケアは家族の心と体を守るための期間です。

介護や育児は体力だけでなく精神的なエネルギーも必要で、それが続くと“燃え尽き”やストレスによる病気のリスクも高まります。
だからこそ、一時的にでも介護から離れ、休むことは「家族を守る責任ある選択」です。
休むことで、継続的に子育てができ、より良い家族関係を築いていけます。

レスパイトケアが必要とされる背景とは?

「たまには休みたいけれど、子どもを任せられる人がいない」「休んだら甘えているようで後ろめたい」そんな思いから、自分の体調や気持ちを後回しにしていませんか?

障害のある子どもの育児は、24時間見守りが必要になることも多く、気が抜けない毎日の連続です。
保護者が疲れをためこんでしまうと、体調だけでなく心のバランスも崩れてしまいかねません。

ここでは、レスパイトケアが求められる背景として、子育ての実情や保護者の思い、そして休むことに罪悪感を抱いてしまう背景や心理について解説していきます。

障害のある子どもの育児は24時間体制になりがち

障害のある子どもと暮らすご家庭では、日々のケアがほとんどノンストップで続き、24時間体制に感じることも少なくありません。
たとえば、医療的ケアや行動の見守りが必要な場合、保護者が常に注意を払わないといけない状況が続くため、疲労は蓄積します。

こうした日常的なストレスは、心身の健康へも影響しやすく、いずれ大きな負担になりかねません。
レスパイトケアは、このような状況を「一時的にでも休める場所」として設け、家庭全体の安心感と安定感の回復に貢献する支援です。

頼れる人がいない・目が離せない日々の大変さ

「安心して預けられる場所がない」「子どもから目を離せない」といった事情で、保護者自身の自由な時間が取れないことがあります。
特に、医療的ケアの必要な子どもや特性に合った支援が必要な子どもは、専門的な対応ができる人がいないと安心して外出すら難しいケースも。

結果として社会的孤立を感じたり、ご家庭でのストレスが増したりすることもあります。
こういった困難を和らげるために、レスパイトケアは頼れる受け皿になるというわけです。

休んではいけないという罪悪感との向き合い方

「親なんだから休んではいけない」という思い込みが、罪悪感を生むことがあります。
実際、レスパイトケア利用前に「自分だけ息抜きして良いのか…」と葛藤を抱える保護者の方も多いです。

しかし、休息を取ることで保護者自身も穏やかになり、家族全体の関係性も良くなると言われています。
休むことは決して「甘え」ではなく、「心と体を守る責任ある選択」と言えます。
レスパイトケアは、その一歩を温かく支える制度なのです。

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レスパイトケアにはどんな支援の形があるの?

では「実際にはどんなサービスがあるの?」「どうやって利用すればいいの?」といった疑問に対して、レスパイトケアの具体的な支援内容を知ることは、第一歩となります。

ショートステイや日中一時預かり、訪問型のサポートなど、さまざまな形の支援が存在します。それぞれに特色があり、ご家庭の状況に合ったサービスを選ぶことが可能です。

ここでは、主なレスパイトケアの種類や特徴、地域の支援機関との連携、利用までの流れについてご紹介していきます。

ショートステイ・一時預かりなどの福祉サービス

障害のある子どもが短期間施設で過ごす「ショートステイ」や「日中一時預かり」は、保護者がひと息つける時間を持つための優しい支援です。

ショートステイ(短期入所)

1泊から数週間の宿泊サービス。食事・入浴・排せつなど日常ケアを受けられ、医療ケアを伴う施設もあります。

日中預かり(日中一時支援)

送り迎えをして、日中に一時的に過ごすことができる施設。今もサービスはありますが、18歳までの子どもは、児童発達支援や放課後等デイサービスの利用に移行しています。

これらのサービス※を活用すれば、保護者は心身ともに休息をとりやすくなり、子どもも専門スタッフと過ごす中で安心できる時間が得られます。

※受給者証が必要なサービスです。

訪問型の支援や外出の支援などのサポート

ホームヘルパーや訪問看護師がご家庭に訪問し、日常や医療ケアをサポートするサービス※もあります。

居宅介護サービス

排せつ・食事・入浴の介助(主に重症心身障害児の生活ケアなど)。

外出支援(移動支援)

外出時の同行や支援で、保護者がその間に安心して休める時間をつくれます。

ご家庭での生活リズムを崩さずに支援が受けられるため、親子両方の安心につながります。

※受給者証が必要なサービスです。

発達支援やファミリーサポートなどの子どもに対するサポート

子どもが受けられるサポートをうまく利用すると、保護者もほっと一息つける時間をとりやすくなります。

児童発達支援・放課後等デイサービス※

専門のスタッフにより療育を受けることができ、送迎があるところもあります。

※受給者証が必要なサービスです。

ファミリーサポート

サポーターさんの家で子どもを預かってもらえるサービスで、市区町村によって運営母体や登録方法は様々です。

保育園・幼稚園などの一時預かり

保育園などに通っていない未就学児が対象のサービスで、事前に登録をしておき、園の空き状況により利用できるところが多いです。

自治体によって窓口や手続きも様々なので、各ホームページや役所などで確認するとよいでしょう。

レスパイトケアの利用の仕方や利用する流れ

どのように申し込めばよいのか、不安を感じる方も多いと思います。基本的な流れは次の通りです。

①相談窓口へまず連絡をする
市区町村の障害福祉課や子育て支援課などの相談窓口、または相談支援事業所に問い合わせます。
制度の内容や利用条件、対象、料金を確認しましょう。
相談支援事業所では、サービス内容や事業所の利用についてなど相談に応じてくれて、必要であればサービス計画を立ててくれます。

②受給者証が必要なサービスは受給者証の申請をする
「児童発達支援」や「短期入所」、「移動支援」など、制度により利用する受給者証が異なるものもあります。
自治体の相談窓口で申請に必要なものなどを確認しながら進めましょう。

③事前見学や面談・契約
サービスを使いたい施設や事業所を選び、実際に見学や担当者と面談します。
利用の仕方や料金の支払い方法などを確認しておきましょう。利用内容が決まれば契約すると安心して利用できます。

④予約して利用開始
利用日を予約。当日は施設やスタッフが対応し、保護者は安心して休息できます。
初めは短時間から始めると子どもも安心しやすいでしょう。

⑤継続利用や更新手続き
定期的に利用する場合は、年度単位での更新申請や目安時間の見直しが必要なものもあります。
受給者証を利用のサービスは、自治体で決まった利用回数や時間の上限があるので注意してください。

ご家族が少しでも休むことで、子どもへのケアにも心の余裕が生まれます。レスパイトケアは、支え合う社会づくりの一歩として、ぜひ活用を検討してみてください。

子育てに疲れた時のレスパイトケアという支援(まとめ)

障害のある子どもの育児は、24時間体制で気が抜けず、心身ともに大きな負担がかかります。そんな中、保護者が安心してひと息つける支援が「レスパイトケア」です。

これは、専門機関に一時的に子どもを預け、保護者が休息をとることができる仕組みで、子育てを長く続けていくために欠かせない支えとなります。「休むことは悪いことではない」と自分を許し、適切に制度を活用することで、子どもにも安定した関わりができるようになります。

支援の形には、ショートステイや一時預かり、訪問型の居宅介護、児童発達支援やファミリーサポートなど様々なものがあります。ご利用の際は、自治体の福祉課や相談支援事業所に問い合わせ、見学や申請、予約の流れを経て利用開始となります。

レスパイトケアは決して「甘え」ではなく、「家族全体の健康を守る選択肢」と言えます。頑張りすぎず、必要なときには支援を頼ることで、子育てがよりあたたかく、前向きなものになっていくはずです。

参考元
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