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子どもが同じことを繰り返すのはなぜ?発達障害との関係は?

2026.01.31
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「何回も同じことを聞かないで」「さっきもいったでしょ」

子どもが同じ質問や動作を繰り返すたびに、つい声を荒げてしまうことはありませんか。

実は、子どもが同じことを繰り返すのは、わざと困らせようとしているのではありません。多くの場合、本人も無自覚に繰り返しており、そこには「安心したい」「確認したい」という切実な気持ちが隠れています。

この記事では、繰り返し行動の背景にある理由や発達障害との関係、そして子どもの気持ちに寄り添う向き合い方について解説します。「やめさせる」のではなく「理解する」視点で、子どもの成長を支えるヒントを探してみましょう。

子どもが同じことを繰り返す理由とは?

子どもが同じ質問や動作を繰り返すのには、いくつかの理由が考えられます。

安心感を得るための行動

予測できる行動や決まったパターンは、心を落ち着かせる「おまじない」のようなものです。

たとえば、寝る前に必ず同じ絵本を読んでほしいとせがんだり、毎日同じ道順で登園したがったりするのは、「いつもと同じ」という安心感を求めているからです。

こうした反応は、大人も変わりません。私たちも緊張する場面で貧乏ゆすりをしたり、髪を触ったりすることがあります。

子どもの繰り返し行動も、不安やストレスを和らげるための自然な反応なのです。

確認したい気持ちの表れ

同じ質問を何度も繰り返す子どもは、先の見通しが立てづらく不安になっていることがあります。まだ起きていないことへの不安から、親御さんの答えを何度も確認したくなるのです。

そのため、「さっき聞いたでしょ」といわれても、「本当にそうかな?」という不安が消えず、また同じ質問をします。

このような行動は、子どもなりの対処法です。困らせたいのではなく、心を安定させようとしているサインといえます。

好きなものへのこだわり

好きなものを共有したいという気持ちから、同じ話題を繰り返す子どももいます。特定のキャラクターや乗り物、色などに夢中になると、そのことを誰かに聞いてほしいのです。

「またその話?」と遮りたくなることもあるかもしれませんが、まずはその気持ちを受け止めてあげましょう。子どもにとって、大好きなものを分かち合える喜びは、心の成長につながります。

繰り返し行動と発達障害の関係とは?

繰り返し行動は、発達障害の特性として見られる場合があります。ただし、その傾向があるからといって、すぐに疑う必要はありません。

詳しく見ていきましょう。

ASDに見られる常同行動

ASD(自閉スペクトラム症)の子どもには、「常同行動」と呼ばれる繰り返し行動が見られることがあります。

常同行動とは、体を前後に揺らす、手をひらひらさせる、同じ場所をぐるぐる歩くなど、外から見ると意味や目的がわかりにくい反復的な動作のことです。DSM-5(精神疾患の診断基準)では、ASDの診断基準のひとつとして「常同的で反復的な運動動作や物体の使用」が挙げられています。

ただし、こうした行動は、心のバランスを保つための自己調整手段として機能していることが多いです。

感覚過敏によるストレスを和らげるために繰り返す場合もあれば、感覚に対する鈍感さ(感覚鈍麻)を補うために刺激を求めて繰り返す場合もあります。

「やめさせなければ」と考える前に、なぜその行動をしているのかを理解することが大切です。

ADHDによる確認行動

ADHD(注意欠如多動症)の子どもは、同じ質問を何度も繰り返すことがあります。

これは記憶の保持が苦手だったり、注意が別のことに移りやすかったりする特性によるものです。「さっき聞いたことを忘れてしまう」「聞いたはずなのに自信が持てない」といった状態から、同じ質問を繰り返します。

そもそも、ADHD(注意欠如多動症)の子どもの確認行動は、努力不足や注意力の欠如ではなく、脳の機能的な特性によるものです。子どもの特性に寄り添いながら、無理なく過ごせる工夫をしてあげましょう。

繰り返し行動と病気や癖の違いとは?

繰り返し行動には、発達障害のほかに強迫性障害と呼ばれる病気が関係していることがあります。

強迫性障害との違い

強迫性障害(OCD)とは、自分でも「ばかばかしい」とわかっているのにやめられない考えや行動に苦しむ病気です。

発達障害による繰り返し行動と強迫性障害の大きな違いは、行動するときの「感情」にあります。

ASD(自閉スペクトラム症)のこだわり行動は「好き」「安心」「楽しい」といったポジティブな感情がベースになっていることが多いのに対し、強迫性障害の強迫行為は「不安を消すために仕方なくやっている」というネガティブな感情が根底にあります。

また、強迫性障害は小学校高学年から青年期に発症することが多いです。一方、発達障害による繰り返し行動は、幼児期早期から連続的に見られる違いがあります。

どちらか判断が難しい場合は、児童精神科や発達外来への相談をおすすめします。

ただの癖かどうかの見分け方

定型発達の子どもにも、繰り返し行動は見られます。乳児期のガラガラを振る動作や、幼児期の「いないいないばあ」を何度も求める行動は、発達過程において自然なことです。

定型発達と発達障害の繰り返し行動の違いは、以下の点で判断されます。

定型発達と発達障害の繰り返し行動の違い

観点 定型発達 発達障害の傾向
年齢による変化 成長に伴い減少、より複雑な遊びに発展 幼児期をすぎても同じパターンが続きやすい
生活への支障 日常生活に大きな影響なし 日常生活や集団活動に支障が出る場合がある

また、癖は無意識のうちに、習慣的に行っていることで、手や体の動かし方や話し方などで同じような状況になったときに、常に自動的に繰り返される傾向があります。癖は自分で直すこともでき、日常生活には大きく支障がないことが多いです。

繰り返し行動で、日常生活や集団活動に大きな支障が出ている場合は、専門家への相談を検討してください。

同じことを繰り返すのはどんな場面?

子どもが同じことを繰り返す場面は、大きく分けて「言葉」と「動作・質問」の2つがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

同じ言葉を何度もいう

他者の言葉をそのまま繰り返すことを「エコラリア(反響言語)」といいます。

そしてエコラリアは、相手の言葉をすぐ繰り返す「即時エコラリア」と、以前聞いたセリフを後から繰り返す「遅延エコラリア」の2種類に大別されます。

こうした行動は、かつては「異常な言語行動」と考えられていました。しかし近年の研究では、子どもにとって「安心するための行動」や「言葉を理解するための工夫」として機能していることがわかっています。

子どもの繰り返しには、ちゃんとした意味があるのです。

同じ動作や質問を繰り返す

答えがわかっているはずの質問を何度も繰り返す子は、「こだわり行動」と呼ばれる特徴を持っているかもしれません。たとえば、明日の予定や約束の内容を何度も確認するのは、「変わらない」という安心を得たい気持ちの表れです。

また、ブロックを同じ形に並べ続けたり、特定の感触を何度も確かめたりする行動は、感覚刺激を求める「感覚探求行動」の可能性があります。

子どもが何を求めて繰り返しているのかを観察することで、親として適切な対応が見えてくるでしょう。

同じことを繰り返すのはなぜ?子どもとの向き合い方

子どもが同じことを繰り返すとき、「またそれ?」「もうやめなさい」といいたくなることもあるでしょう。

しかし、行動を無理にやめさせようとするのではなく、まずはその背景にある気持ちに目を向けてみてください。

無理にやめさせない

「やめてといってもやめない」と厳しく叱りつけると、子どもは反抗的になったり、自信を失ったりします。楽しかったはずの時間が「激しく怒られた記憶」だけになることもあります。

失敗体験が積み重なると、不登校やうつ状態といった二次障害につながるリスクもあります。

行動そのものをやめさせる前に、なぜその行動が必要なのかを考えてみてください。

安心できる環境を整える

繰り返し行動の背景には、不安や見通しの持てなさがあることが多いです。子どもが安心できる環境を整えることで、繰り返し行動が落ち着くこともあります。

効果的な方法のひとつが「視覚支援」です。1日の流れを絵カードやホワイトボードで見える化したり、活動の終わりをタイマーで示したりすることで、子どもは見通しを持ちやすくなります。

また、同じ質問を繰り返す子どもには、自分で確認できる環境を用意してあげましょう。たとえば、自分専用のカレンダーを渡すことで、繰り返しの質問が減った報告もあります。

子どもの気持ちに寄り添う声かけ

同じ質問を繰り返す子どもには、「3回までルール」が効果的とされています。

「同じ質問は3回までにしようね」と伝え、3回答えたら「お母さん何ていったか覚えてるかな?」と確認します。

答えられたら「わかってるみたいだね」と笑顔で伝えましょう。数週間続けることで、徐々に繰り返しが減っていきます。

ただし、強迫性障害の傾向がある子どもの場合、強い不安から繰り返し確認行動をしているケースもあります。

単なる回数制限では不安が軽減されず、かえって苦痛が増す可能性もあるため、子どもの状態に合わせて柔軟に対応してください。

否定せずに受け止める

子どもの自己肯定感を育むうえでは、親からの「受容」が何より大切です。

繰り返し行動を「おかしい」「やめなさい」と否定せず、「そうしたいんだね」「不安なんだね」と声をかけてあげてください。

よくある質問

最後に、よくある質問と回答をまとめました。

同じことを繰り返すのは病気ですか?

繰り返し行動があるからといって、すぐに病気とは限りません。

実際のところ、繰り返し行動は成長過程で見られる自然な行動です。ただし、3歳をすぎても一日中同じ動作を続けていたり、止めようとすると激しいパニックを起こしたりする場合は、発達障害や強迫性障害の可能性があります。

判断のポイントは、「楽しんでいるこだわりなのか」「苦しんでいる儀式なのか」です。

子どもが苦しそうにしている場合や、生活に大きな支障が出ている場合は、一度専門家に相談してみてください。

大人になるまで続きますか?

発達障害に関連する繰り返し行動は、成長とともに落ち着く子もいれば、大人になっても続く子もいます。だからこそ、気づいた時点で早めに動くことが大切です。

子どもに合った関わり方や環境を整えれば、日常の困りごとは確実に減らせます。 特に幼児期は、言葉やコミュニケーション、遊びや生活スキルがぐんと伸びる時期です。

この時期にサポートを始めた子どもたちの多くが、集団生活にもスムーズに参加できるようになっています。

「そのうち落ち着くかも」と待つより、今できることから取り組んでみましょう。

家庭でできることはありますか?

ご家庭でできることはたくさんあります。

まずは、繰り返し行動の背景を理解することから始めましょう。不安から繰り返すのか、感覚刺激を求めているのか、好きだから繰り返すのか。理由によって効果的な対応は異なります。

具体的には、絵カードやスケジュール表で予定を示す、代わりの行動を提案する、感覚のニーズを安全な形で満たす(トランポリン、砂遊びなど)、できたことを具体的にほめるといった方法があります。

どこに相談すればよいですか?

繰り返し行動が気になる場合の相談先として、以下の機関があります。

相談先

相談先 内容
市区町村の福祉課・子育て支援窓口 発達に関する相談を無料で受け付け
発達障害者支援センター 各都道府県に設置、発達障害に特化した専門的な相談が可能
医療機関(小児科・小児神経科・児童精神科) 診断や医療的支援を受けられる
1歳6ヶ月健診・3歳児健診 健診の機会に相談可能

心配な方は、かかりつけの小児科医に相談し、必要に応じて専門機関を紹介してもらってください。

「様子を見ましょう」といわれた場合でも、気になることがあれば遠慮なく各機関に相談するとよいでしょう。

同じことを繰り返す子どもへの向き合い方まとめ

同じことを繰り返す子どもの姿に、不安を感じるのは自然です。しかし、その行動には必ず子どもなりの理由があり、多くの場合は成長過程で見られる反応とされます。

大切なのは、子どもが安心して成長できる環境を整えることです。無理に繰り返し行動をやめさせようとせず、気持ちを受け止めながら見守る姿勢が、子どもの自己肯定感を育みます。

ご家庭だけで対応が難しいと感じたら、ぜひ専門家に相談してください。

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