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自閉症の子どものこだわりに悩むママへ|家庭でできる対処法

2025.10.01
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • 発達障害
  • 支援方法・家庭での過ごし方

子どもに強いこだわりがあると、日常のちょっとした場面でもなかなか物事がスムーズに進まず、ママとしては困ってしまうこともありますよね。 特に自閉症と診断されいているお子さんの場合、この「こだわり」は特徴のひとつとして現れることが多く、「どう対応すればいいのかわからない」と悩むご家庭も少なくありません。

そこで、この記事では、自閉症の子どもに見られるこだわりの特徴や具体例、家庭でできる工夫や対処法、そして専門的なサポートの活用について詳しく解説します。

お子さんとの毎日を少しでも安心して過ごすためのヒントになれば幸いです。

自閉症の子どもによく見られる「こだわり」とは?

自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴のひとつに「強いこだわり」があります。

これは単なる性格やしつけの問題ではなく、脳の特性からくる自然な反応です。そのため、周囲から見ると「頑固」「わがまま」に見える行動も、子ども本人にとっては安心感を得る大切な手段になっています。

こだわりは子どもに安心を与えたり得意分野を伸ばすきっかけになる一方で、日常生活や集団生活に支障をきたすこともあります。

ここでは、自閉症の子どもによく見られるこだわりの特徴や具体例をわかりやすく解説します。

自閉症におけるこだわりの特徴

自閉症の子どもに見られるこだわりは、次のような形で現れることが多いです。

  • 決まった手順への安心感:いつも同じ道で登園したい、同じ服を着たいなど、「いつも通り」に安心する。
  • 繰り返し行動:おもちゃのタイヤを回し続ける、同じ動きをし続けるなど、反復することで落ち着く。
  • マイルールの厳守:食事や遊び方に独自のルールがあり、崩れると強い不安を感じる。
  • 興味の偏り:特定の分野に強い関心を持ち、その話題を延々と続ける。
  • 切り返しの難しさ:遊びから宿題へ、外遊びから帰宅へなど、「次へ移る」場面で混乱やパニックが起こりやすい。

このように「自分の見通しどおりに進むこと」が大きな安心材料になっているため、予測できない変化には強い抵抗を示すのが特徴です。

こだわり行動の例

こだわりは子どもによって現れ方が異なりますが、具体的には次のような行動がよく見られます。

  • 毎日同じ靴や服を着たがる
  • 特定のおもちゃや遊び方に固執する
  • トイレの順番や使い方に強いこだわりがある
  • 食器の並べ方や食べる順番を崩されると強い抵抗感を示す
  • 偏食が激しく、決まった食材しか食べない
  • 「必ず一番になりたい」という競争へのこだわり
  • 予定やスケジュール通りでないと納得できず、混乱する
  • 同じ質問や会話を何度も繰り返す
  • 強い関心のあるテーマの話だけを続ける

これらの行動は、子どもが「安心できる世界」を保とうとする努力の現れです。大人が理解せずに叱ったり無理にやめさせたりすると、かえって不安やパニックが強くなることもあります。

「こだわり」崩しは難しい?やめさせるべき?

自閉症のお子さんのこだわりをどう扱うべきかは、多くの保護者が直面する悩みです。

「無理にやめさせると逆効果になるのかな」

「でも、このままでは生活に支障が出てきそうで心配…」

このような葛藤を抱える方も多いでしょう。

結論から言うと、すべてのこだわりを取り除く必要はありません。お子さんの安心につながるこだわりもあれば、生活に支障が出て支援が必要になるこだわりもあるからです。

無理にやめさせると逆効果になるケース

自閉症の子どものこだわりは、性格ではなく脳の特性に根ざしています。そのため「やめなさい」と叱っても、自分の意思で簡単にやめられるものではありません。

無理に制止されると大きな不安やストレスを感じ、癇癪やパニックにつながることも少なくありません。

また「やめられない自分」を繰り返し経験することで、自己肯定感が下がったり、うつなどの二次的な問題を引き起こすリスクもあります。

そのため、まずはこだわりを否定せず、「どんな時に落ち着くのか」「生活に影響が出ているか」を見極めることが大切です。

やめさせなくてもよいこだわりと支援が必要なこだわり

自閉症のこだわりには「そのまま見守ってよいもの」と「生活に影響するため支援が必要なもの」があります。

やめさせなくてもよいこだわり

生活に大きな影響がなく、子どもの安心やルーティーンになっているこだわりは無理にやめさせる必要はありません。

  • 決まった順番でおもちゃを並べる
  • 帰宅したら必ず同じ行動をする(例:手を洗ってお気に入りの椅子に座る)

このような行動は一見「こだわりが強い」と思われがちですが、本人にとっては気持ちを落ち着けたり、安心して生活するためのルーティーンであることが多いです。

「安心できる行動」として大切にし、親は温かく見守ることが望ましいでしょう。

支援が必要なこだわり

一方で、日常生活に支障をきたすこだわりには工夫や支援が必要です。

  • 同じ道しか通れず、目的地にたどり着けない
  • トイレや着替えに時間がかかりすぎて、学校や通園に遅れてしまう
  • 偏食が強く健康に影響が出る

このように日常生活の流れが大きく妨げられる場合には、工夫やサポートが必要です。

例えば、道順のこだわりが強い場合には「今日は地図を見ながら別ルートを探検してみようよ」と遊びの要素を取り入れる、着替えに時間がかかる場合は「あと3分で終わり」と視覚タイマーを使うなど、小さな工夫を取り入れてみましょう。

食事や生活のこだわりが強く健康面に影響しそうな場合は、家庭だけで抱え込まず、発達支援センターや医療機関など専門家に相談することも安心につながります。

また、すべての行動が自閉症の特性だけで説明できるわけではありません。中には「気が短い」「負けず嫌い」といった性格的な要素が関わって強いこだわりに見えるケースもあります。

その場合には、こだわり行動そのものへの対応だけではなく、感情のコントロール方法や気持ちを切り替える練習も並行して行うことが有効です。

家庭でできる!自閉症の子どものこだわりの崩し方・対処法

「こだわりが強くて、毎日の生活が大変…」と感じるママも多いでしょう。

ここでは、自閉症の子どものこだわりに対して、家庭でできる工夫や具体的な対処法をご紹介します。

少しずつ行動を変えていくステップを踏む

自閉症の子どものこだわりを一気にやめさせるのは、本人にとって大きな不安を引き起こします。そのため「小さな変化」を積み重ねることが大切です。

例えば、毎日同じお菓子しか食べない場合には、まずは同じメーカーの別の味を横に置いてみる。すぐに食べなくても「視界に入る」ことから始め、次は一口だけチャレンジ、一口食べれたら小さなご褒美を用意する。

このように、こだわりを「消す」のではなく「広げる」イメージを持つと、本人も安心して取り組めます。こだわりを否定せず、強みとして活かしながら新しい行動を少しずつ増やしていきましょう。

切り替えを助ける工夫を取り入れる

自閉症の子どもは「予想外の変化」が特に苦手です。そのため、こだわり行動から次の行動へ切り替えるときは、見通しを持たせることがポイントになります。

  • 「あと5分でおしまい」とタイマーを見せながら予告する
  • 1日の流れを絵カードや写真で示し、「次に何をするのか」を分かりやすくする
  • 新しいルールを導入するときは、理由をシンプルに伝えて安心させる

例えば、ゲームをやめてお風呂に入るのが難しいときは、「〇時までゲーム、その次はお風呂、お風呂を出たらアイス」と視覚で分かりやすいように絵で並べて提示すると、気持ちの切り替えがスムーズになります。

繰り返し練習して「慣れる」力をつける

自閉症の子どもは「初めてのこと」に強い不安を感じやすいため、繰り返し練習を重ねることで少しずつ慣れる力を育てていきます。

たとえば、新しい靴を履けない場合には、最初は家の中で履く練習をする→庭で数歩歩く→近所を数分お散歩する→買い物にでかける、といった具合に、ステップを小さく区切ると安心です。

また、「なぜ練習するのか」を子どもに伝えることも大切です。「靴が小さくなってきてて、このまま履いていると足が痛くなってきちゃう」「この靴を履けると、遠足に行けるよ」など、本人が理解しやすい理由を添えるとモチベーションにつながります。

トイレや生活習慣のこだわりに困ったときの工夫例

生活習慣に関わるこだわりは、毎日の困りごとになりやすい部分ですが、少しの工夫で取り組みやすくなります。

  • トイレ:手順を絵で示して「トイレでの流れ」を視覚的に理解できるようにする
  • 食器の並べ方:子どものこだわりを尊重しつつ、家庭で共通のルールを一緒に決める
  • 服のこだわり:お気に入りの素材や色の服を複数枚用意し、安心感を保ちながら洗い替えできるようにする

「困ったこだわり」をただやめさせるのではなく、日常生活がスムーズに進むように工夫していくことが、家庭でできる大切なサポートです。

専門的なサポートを受けるメリット

自閉症の子どもの強いこだわりに向き合う中で、「どうしてあげればいいのか分からない」「家庭での工夫だけでは限界を感じる」と思う場面は少なくありません。そんなときには、専門機関でのサポートを受けることが大きな助けになります。

ここでは、専門的なサポートを受けるメリットについて詳しく解説します。

親だけで抱え込まず、安心できる

「こだわりが強すぎて、この先どうなるんだろう…」と悩み続けるのは、親にとって大きな負担になります。発達支援センターや、児童発達支援、療育機関などの専門家に相談することで、親自身の気持ちが軽くなり、「ひとりじゃない」と安心できます。

また、専門機関には同じような悩みを抱える保護者も多く、情報を共有できたり、共感し合えたりする機会もあります。こうしたつながりは、子育てを続けていくうえで大きな支えとなります。

子どもに合った具体的な対応方法が分かる

本やインターネットにはたくさんの情報がありますが、「わが子にはどの方法が合うのか」を見極めるのは難しいものです。専門家に相談すれば、子どもの発達段階や性格に合わせて、具体的で現実的な対応策を提案してもらえます。

例えば、着替えに時間がかかる子には「視覚的に分かるタイマー」を、食のこだわりが強い子には「食材を少しずつ変化させる段階的な方法」を、といった具合に、その子に合わせたアプローチを教えてもらえるのです。

発達を伸ばす支援や療育が受けられる

専門機関の支援は、単に「こだわりを減らす」ためだけではありません。言葉の発達や対人コミュニケーション、生活習慣の自立など、子どもの成長を幅広くサポートしてもらえます。

例えば、療育の場では「遊びを通したコミュニケーション練習」や「感覚過敏への対応トレーニング」などが行われ、子どもが少しずつ新しいことに挑戦する力を育んでいけます。家庭では難しい支援を受けられるのも大きなメリットです。

児童発達支援で受けられるサポート内容

児童発達支援では、子どもの特性や発達段階に合わせた多様なプログラムが用意されています。家庭だけでは対応が難しい部分も、専門スタッフと一緒に少しずつ練習していくことで、子ども自身の力を伸ばしていけます。

ここでは、児童発達支援で受けられる主なサポート内容を見ていきます。

療育プログラムでの行動改善支援

児童発達支援では、行動療法などの専門的なアプローチを取り入れながら、こだわりを少しずつ柔軟にしていくトレーニングが行われます。

例えば、「同じ道しか通れない」お子さんには、スタッフが遊び感覚で少しずつ別ルートに挑戦できるように促すなど、負担を減らしながら行動の幅を広げていきます。

「やめさせる」のではなく、「安心して別の方法も試せるようにする」のが大きな特徴です。

言語・コミュニケーション支援

こだわりが強い子どもは、自分の気持ちを言葉でうまく表現できなかったり、人の話を理解するのが難しい場合もあります。

児童発達支援では、言語聴覚士や専門スタッフが遊びや会話を通して、「気持ちをことばにする」「相手の気持ちを読み取る」といった力を伸ばすサポートを行います。

例えば、「楽しい」「いやだ」といったシンプルな感情表現から練習したり、カードや絵を使って会話のきっかけを作ることで、少しずつ人とのかかわりに自信を持てるようになります。

感覚統合へのアプローチ

音や光、触覚などに敏感なお子さんは、日常の中でも大きなストレスを感じることがあります。

児童発達支援では、こうした「感覚の過敏さ」に配慮しながら、安心できる練習を取り入れていきます。

例えば、強い音が苦手な子には静かな環境で活動を始め、少しずつ音に慣れていく工夫をする、触覚に敏感な子には手で触れる素材を段階的に変えて慣れていく工夫をする、などの支援が行われます。感覚の特性に合わせたアプローチは、生活のしやすさを大きく高めるサポートになります。

ソーシャルスキルトレーニング

児童発達支援の大きな特徴のひとつが、集団生活に必要なスキルを練習できることです。遊びやグループ活動を通して「順番を待つ」「人に頼む」「トラブルがあったときには言葉で伝える」といった力を少しずつ学べます。

例えば、順番を待つ練習ではカードやゲームを使って楽しく学んだり、友達とのやり取りの中でスタッフがサポートしながら会話のきっかけを作ったりします。

こうした経験は、幼稚園・保育園や小学校での生活にスムーズに移行するための大切な土台になります。

保護者へのペアレントトレーニング

児童発達支援は子どもだけのサポートではなく、保護者への支援も重視しています。

専門スタッフから「家庭でできる声かけの仕方」や「こだわりが強いときにはどう対応すればよいか」といった具体的なアドバイスを受けられます。

「最近こんな行動がよく見られるんだけど、どうしたらいいのか?」など、今まさに悩んでいる悩みを相談することもでき、日常にすぐに活かせる工夫も学べます。

また、同じ悩みを持つ保護者同士で交流できる場がある施設もあり、安心して子育てを続けられる環境づくりにもつながります。

自閉症の子どものこだわりは工夫次第で変えられる

自閉症の子どもの「こだわり」は、必ずしも無理にやめさせる必要はありません。好きなものに夢中になることや、安心できる習慣を持つことは、その子にとって大切な支えでもあります。ただし、生活に大きな支障をきたす場合には、家庭での工夫や専門的な支援を取り入れて、少しずつ柔軟性を育てていく工夫が求められます。

こだわりは「困りごと」から「強み」へ変えていくこともできます。段階を踏んで練習したり、安心できるサポートを受けたりすることで、子どもは無理なく新しいことに挑戦できるようになっていきます。

ステラ幼児教室のマンツーマン個別対応の児童発達支援では、お子さんの発達特性やこだわりの傾向を丁寧に把握しながら、個別プログラムによる行動支援や言語・コミュニケーションの教科など、様々なサポートを提供しています。

ステラ幼児教室なら、お子さん一人ひとりに合わせた丁寧な支援が受けられます。「こだわりが強くてどうしたらいいか分からない」と感じるママも、まずはお気軽にご相談ください。

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