子どもの言葉の発達には個人差が大きく、特に2歳から小学校低学年はコミュニケーション能力が急速に伸びる時期です。そのような中で、「言葉がつっかえる」「同じ音を繰り返す」「話したいのに言葉が出てこない」といった「吃音(きつおん)」が見られることがあります。
吃音は決して珍しいものではなく、幼児期には5~10%の子どもに見られる自然な現象とも言われます。しかし一方で、保護者からは次のような不安の声が多く聞かれます。
- 「2歳頃から吃音が始まったけれど、発達障害と関係があるの?」
- 「吃音と発達障害は併発するの?」
- 「どのタイミングで病院を受診したらいい?」
- 「療育を受けるなら手帳は必要?」
この記事では、吃音と発達障害の関係、その原因として考えられること、併発の可能性、家庭での対応、受診の目安、支援制度などについてわかりやすく解説します。
子どもの吃音とは?

吃音は、言葉をスムーズに発することが難しくなる言語の流暢性の問題です。代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 連発:音や語を繰り返す(例:「あ、あ、あのね…」)
- 伸発:音を引き伸ばす(例:「ぼくねー、今日ねー」)
- 難発:言葉が詰まって出ない
特に吃音は2歳~4歳の「ことばの爆発期」によく見られ、この時期の吃音は発達過程で一時的に起こるケースも多いとされます。
吃音と発達障害に関係はあるのか?

次に、吃音と発達障害に関係について詳しく見ていきましょう。
発達障害と吃音は必ずしも関係あるとは言えない
吃音があるからといって、必ずしも発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠如多動症など)があると決まるわけではありません。多くの子どもは吃音のみであり、発達障害とは無関係です。
併発するケースは一定数ある
研究では、吃音の子どもの一部に発達特性が見られることが報告されていますが、これは「発達障害=吃音の原因」という意味ではありません。
併発が見られる背景としては、次のようなものなど、言語以外の発達特性が流暢性に影響する場合が考えられています。
- コミュニケーション特性
- 注意力の偏り
- 感覚過敏
しかし、発達障害を併発するかどうかは個人差が非常に大きいため、「吃音がある=発達障害」と結びつける必要はありません。
2歳での吃音は発達障害のサイン?

2歳頃に始まる吃音はとてもよくあることです。この時期は言語発達が急激に進み、「言いたいことはたくさんあるのに、発音や語彙が追いつかない」という状態が起こります。これが一時的な吃音につながることがあります。
2歳の吃音で様子を見てもよい場合
2歳の吃音で次のような場合は、しばらく様子を見てもよいでしょう。
- 気持ちが焦った時だけつっかえる
- 本人が気にしていない
- 繰り返すけれど自然な会話もできる
- 発語の増加とともに落ち着いてくる
多くの専門家は「2歳の吃音の大半は自然に改善する可能性が高い」としています。
病院に相談したほうがよいサイン
以下のような場合は、病院(小児科・小児神経科・耳鼻科)や言語聴覚士への相談を検討できます。
- 3歳を過ぎても吃音が強く続く
- 発音困難よりも、強い緊張・表情のこわばりがある
- 言葉数自体が少ない
- 音を引き伸ばす・詰まる症状が増える
- 家族が深刻に心配している
相談は「診断を受ける」だけでなく、適切な対応のヒントをもらう目的でも有効です。
吃音と発達障害の併発について

吃音と発達障害は、以下の理由で併発することがありますが、関連性は多様です。
コミュニケーションの仕方の特性
たとえば自閉スペクトラム症の子どもは、
- 話すタイミングがつかみにくい
- 言葉の切り替えが苦手
といった特徴があり、それが言葉のつまりとして現れる場合があります。
注意や衝動性の影響
ADHDの特性を持つ子どもは、次のようなことなどが流暢さに影響するケースもあります。
- 話したい気持ちが先走る
- 言葉の組み立てが追いつかない
感覚過敏や緊張の高さ
感覚刺激に敏感だったり、人前で緊張したりしやすい子は、言葉が出にくくなる場面があります。
ただし、併発しているから症状が重いというわけではありません。
それぞれに適切な支援が行われれば、日常生活・学習・対人関係で安定して過ごすことが十分可能です。
吃音はなぜ起こるのか?

吃音の原因はひとつではなく、次のような複数の要因が複雑に関係し会って起こると考えられています。
言語中枢の成熟バランス
脳の言語処理機能が発達途上のときに、一時的にスムーズな発話が難しくなることがあります。
遺伝的な要素
家族に吃音経験者がいる場合、発症の可能性がやや高まるという研究があります。
気質や性格
緊張しやすい、丁寧に話そうとしすぎるといった気質が影響することもあります。
環境要因
- 周りから言葉を急かされる
- 叱責される
- 注目が集まりすぎる
こうした環境は、吃音が「悪化しているように見える」要因になる場合があります。
ただし、吃音が起こるのは親の育て方が原因ではありません。
これは専門家の間で共通する重要なポイントです。
家庭でできる吃音の対処法

吃音への対応は、症状を「なくす」ことよりも、子どもが安心して話せる環境を整えることが大切です。
ゆっくり話を聞く
「もっと早く言いなさい」は、子どもにとってプレッシャーになります。大人がゆっくり話すことで、子どもも落ち着いて話せるようになります。
言葉のつかえを指摘しない
「ゆっくり」「落ち着いて」「もう一回言って」といった言葉は子どもにプレッシャーを与えるので、避けたほうが子どもの安心につながります。
話す内容に注目する
「どう話したか」より「何を伝えたいか」を大切にする姿勢が、子どもの自己肯定感を育てます。
無理に練習させない
発音練習や「言い直し」は逆効果になることが多いため、言語聴覚士など専門家の指導がある場合を除いて、無理に練習させるのは避けましょう。
病院を受診する目安

子どもの吃音の相談先としては、次のような診療科があります。
- 小児科
- 小児神経科
- 耳鼻咽喉科
- 言語聴覚士がいる医療機関
次のような場合は、早めに相談すると安心です。
- 3歳以降も吃音が続く
- 明らかな難発(言葉が出ない)が増える
- 本人が言葉を話すことを嫌がる
- 表情がこわばる、発話を避ける
- 他の発達面の気がかりがある
早い段階で相談すると、安心につながるだけでなく、必要な支援にスムーズにつながりやすいメリットもあります。
支援制度は使える?療育手帳は必要?

吃音そのものは「療育手帳(障害者手帳)」の対象になることは一般的ではありません。
ただし、発達障害が併発している場合は、自治体によって手帳取得が可能になることがあります。
手帳がなくても、次のようなものを利用できる場合があります。
- 児童発達支援(療育)
- 言語訓練
- 保育園・幼稚園での支援
手帳の必要性はケースバイケースのため、医師・相談支援員・自治体の窓口で相談するのが確実です。
吃音は改善するのか?

幼児期に始まる吃音の多くは、成長とともに軽減・改善します。
特に、早い段階で子どもが安心できる環境が整うと、症状が落ち着くケースが多い傾向があります。
長期的に見ると、一般的に次のようなことが言えます。
- 幼児期:一時的な吃音が多い
- 学齢期:改善する子が増える
- 思春期:不安が強いと悪化することも
- 成人期:軽い吃音が残る場合もある
吃音が残っても、適切な対処を知っていることで、日常生活への影響を大きく減らすことができます。
吃音と発達障害の関係についてのまとめ
吃音は幼児期にとてもよく見られる現象で、発達障害とは直接的な因果関係はありません。ただし、個人差から吃音と発達障害を併発するケースもあるため、不安があるときは病院や専門機関に相談することが安心につながります。
この記事で解説したことをまとめると、「2歳頃の吃音は一時的なものも多い」、「併発はあり得るが、吃音=発達障害ではない」、「家庭での接し方が安心感を育てる」、「必要に応じて医療機関や療育に相談する」、「手帳は必須ではない」といったことが言えます。
子どもにとって最も大切なのは、「安心して話せる環境」です。吃音があっても、自己肯定感が育ち、周囲の温かい理解があれば、子どもは安心して成長していくことができます。
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