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小学生の癇癪はなぜ起きる?発達障害との関係と家での対処法

2025.12.22
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • 発達障害
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「家に帰った瞬間、些細なことで大泣きしてしまう」「毎日の癇癪対応に、正直もう疲れてしまった」

そんな悩みを抱える保護者の方は少なくありません。 学校では落ち着いて過ごせているのに、家に帰ると感情が抑えられず、怒りや涙が噴き出してしまう。そんな子どもの姿に戸惑い、「どうして私ばかりに当たるのだろう」と感じてしまうこともあるでしょう。

子どもの癇癪には、その子なりの理由があります。心理的な背景を理解し、関わり方を少しずつ工夫していくことで、親子のやり取りは徐々に落ち着いてくるものです。

本記事では、小学生の癇癪が起こる仕組みや原因を分かりやすく解説します。また、家だけ、母親にだけ癇癪が見られる子どもの心理も解説します。親子の時間が少しでも穏やかになるきっかけになれば幸いです。

小学生の癇癪とは?

小学生の癇癪は、幼児期の「イヤイヤ期」と性質が異なります。感情のコントロールが未熟な点は共通していますが、年齢が上がるにつれて、癇癪の背景には心理的な要因やストレスが深く関わるようになります。い

まずは、癇癪がどのような状態を指すのか、そして小学生特有の原因や特徴につて解説します。

癇癪の定義と特徴

癇癪とは、強い感情が爆発している状態を指します。大声で泣く、床に転がる、物を投げるなど、その表れ方は子どもによってさまざまです。

医学的には、子どもが自分の気持ちを言葉でうまく表現できないときに起こる「情動の爆発」と定義されています。単なるわがままでも、幼児期の「イヤイヤ期」とも異なるわけです。先述したように、小学生の癇癪には、友達関係の悩みや学校生活でのプレッシャーなど、より複雑な要因が関わっています。

小学生になっても続く理由

小学生になっても癇癪が見られるのは、感情のコントロール力がまだ発達の途中にあるためです。年齢が上がっても、気持ちをうまく言葉で表したり、我慢したりする力はすぐには身につきません。そのため、思うようにいかない場面や強いストレスを感じたときに、感情があふれてしまいます。

加えて、小学生になると授業や宿題、友達との関係など、日々の生活の中で新しい刺激やプレッシャーを多く感じるようになります。心と体が疲れやすくなることで家庭では緊張がゆるみ、その反動から気持ちを爆発させてしまうわけです。

癇癪が起きやすい場面

癇癪は、学習や人間関係など、日常のさまざまな場面で起きやすくなります。たとえば、宿題がうまく進まないとき、友達と意見が合わないとき、家族間で自分の思いが伝わらないときなどです。

また、欲しいものを我慢したり、ゲームの時間を制限されたり、予定の変更に対応できなかったりすると、気持ちが高ぶる子どももいます。こうした反応は、感情を抑える力がまだ十分に育っていないために起きます。

発達障害と小学生の癇癪には関係がある?

発達障害を持つ子どもの癇癪には、定型発達とは異なる背景や特性があります。ASDやADHDとの関わりを理解することで、適切な対応が見えてくるでしょう。

発達障害を持つ子どもに見られる癇癪の傾向

発達障害のある子どもの癇癪には、特有の要因が関係しています。主なものは、感覚の過敏さ、コミュニケーションの難しさ、環境の変化への苦手さです。

これらの反応は、わがままではなく「困っているサイン」として受け止めてあげましょう。

ASDやADHDと癇癪の関わり

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)の子どもは、特性の影響で癇癪を起こすことがあります。理由はシンプルで、感情のコントロールや環境への適応が苦手なためです。

たとえば、ASDの子どもは感覚が敏感であったり、一度決めたことを変えるのが苦手だったりします。予定が急に変わる、音や光が強すぎるといった状況では、不安や混乱を招くケースが少なくありません。

一方、ADHDの子どもは衝動的に行動してしまったり、思いどおりにならないと我慢できなかったりする傾向があります。気持ちの切り替えが難しいため、怒りやイライラが一気に爆発するのです。

いずれにしても、ASDやADHDの特性と癇癪には深い関わりがあります。特性を理解し、子どもが安心して気持ちを表せるようサポートすることが大切です。

専門機関に相談すべき癇癪のサイン

こんなサインがあったら、専門機関への相談を検討してください。

  • ●年齢に対して癇癪の頻度や激しさが著しく多い
  • ●5歳を過ぎても乳幼児期のような激しい癇癪が頻繁
  • ●頭を床や壁に打ちつける
  • ●噛みつく、引っかくなどの攻撃行動
  • ●学校生活に支障が出ている
  • ●友達ができない
  • ●癇癪が落ち着くまで異常に長時間かかる


主な相談先は、スクールカウンセラー、養護教諭、児童発達支援センター、小児神経科医師などです。まずは学校の先生に相談してみましょう。

小学生が家だけで癇癪を起こす理由は?

「外ではいい子なのに家では別人」という悩みは多くの保護者が経験しています。これには子どもの心理的な成長と、家庭が持つ特別な意味が関係しているのです。

外で我慢して家だけで爆発するのはなぜ?

学校では問題がないのに家庭で癇癪を起こすのは、多くの子どもに見られる反応です。その背景には、心理的な「安心と緊張のバランス」が関係しています。

学校では社会的なルールが多く、子どもは気を張って行動しています。感情を押さえ続けることで、心のエネルギーが消耗するわけです。

一方、家庭は安心できる場所であるため、緊張が解けた瞬間にたまっていた感情が一気にあふれます。この行動は、情緒の発達段階でよく見られる自然な現象です。家庭での支えと安心が、次の日の頑張りを支える力となっています。

母親にだけ癇癪を起こす心理

「母親にだけ癇癪を起こす」という悩みを耳にすることは少なくありません。多くの場合、母親が家庭の中で子どもと過ごす時間が長く、生活のさまざまな場面に深く関わっていることが影響していると考えられます。

具体的には、朝の支度や食事や宿題の見守り、お風呂、寝る前の時間などを通して「お母さんにはどんな姿も見せられる」と感じやすくなるようです。

裏を返すと、母親にだけ癇癪を起こすのは、親子の信頼関係がしっかり築けている証拠といえます。「それだけ信頼してくれているんだ」と受け止めてあげることが何よりも大切です。

低学年と高学年の小学生で癇癪はどう違う?

癇癪の表現方法は、子どもの発達段階によって大きく変化します。小学生の場合、低学年と高学年それぞれの特徴を理解し、年齢に応じた対応を心がけましょう。

低学年は言葉より身体で表現する

小学1〜3年生の低学年では、感情を言葉よりも身体で表すことが多く見られます。泣き叫ぶ、地面に転がる、物を投げるといった行動は、その気持ちをうまく言葉にできない代わりに身体で伝えているサインです。

この時期は、感情を抑えたり切り替えたりする力を担う脳の働きがまだ発達の途中にあります。そのため、感情が高ぶると衝動的に身体が反応し、コントロールが難しいのです。

高学年は反抗的な態度が目立つ

4〜6年生の高学年になると、低学年とは癇癪の表れ方が変化します。泣いたり物に当たったりするよりも、暴言を吐く、口答えをする、反抗的な態度を取るといった言葉による反発が増えていきます。

これは「中間反抗期」と呼ばれる時期の特徴です。身体で気持ちを表していた段階から、言葉で反発するようになるのは、心の成長が進んでいる証拠といえます。

一方で、高学年は学業のプレッシャーや人間関係の複雑さ、思春期のホルモン変化による心身の不安定さも重なります。感情の起伏が激しくなる時期だからこそ、強い口調で叱ったり、理屈で説得したりするのは逆効果でしょう。子どもの自立心を尊重しながら、落ち着いた対応と信頼関係を保つことが大切です。

小学生の癇癪と今日からできる対処法

癇癪のある日々は、保護者にとっても大変なものです。 ここでは、子どもの気持ちを理解しながら、少しずつ穏やかな時間を取り戻すための方法をご紹介します。

癇癪が起きた時の対応とNG行動

癇癪の最中に理詰めで説得しようとしても、子どもには届きません。まず大切なのは、親が深呼吸して落ち着き、子どもの安全を確保することです。

気持ちが落ち着いてきたら、言葉で「気持ちの代弁」をしてあげましょう。

以下は状況別の声かけの例です。

状況別声かけの例

状況 声かけの例
遊びを中断させられた 「もっと遊びたかったんだね」
「まだ終わりたくなかったね」
友達とのトラブル 「お友達に取られて悔しかったんだね」
「〇〇ちゃんと遊びたかったのに、遊べなくて残念だったね」
買い物での拒否 「これ欲しかったんだね」
「買えなくて残念だったね」
宿題でのつまずき 「難しくてイライラしちゃったんだね」
「分からなくて困ったね」
きょうだい喧嘩 「〇〇くんに負けて悔しかったね」
「自分の意見を聞いてもらえなくて腹が立ったね」


このように気持ちを代弁することで、子どもは二つのことを学びます。 ひとつは「自分の気持ちを分かってもらえた」という安心感、もうひとつは「感情を言葉で伝える方法」です。

反対に、次のような対応は避けてください。

  • ●「いいかげんにしなさい!」と強く叱る
  • ●無理やり抱きしめて動きを止める
  • ●癇癪の後に何も声をかけない
  • ●「もう知らない」と突き放す



これらは子どもに「気持ちを受けとめてもらえなかった」という印象を与え、自己肯定感を下げてしまうおそれがあります。怒りたくなる気持ちは十分にわかりますが、子どものことを思ってこらえましょう。

まずは受け止める姿勢を大切にし、子どもが安心して感情を表現できる環境を整えていきましょう。

癇癪を予防するための関わり方

癇癪を減らすための第一歩は、子どものトリガー(きっかけ)を知ることです。

まずは、癇癪が起きたときの時間や状況を簡単にメモしてみましょう。1〜2週間ほど続けると、「どんなときに起きやすいか」という傾向が見えてきます。

また、共働き家庭では、帰宅直後の15〜30分だけでも子どもとゆっくり過ごす時間を確保しましょう。会話をしたり、安心できるスキンシップを取ったりすることで、気持ちが安定しやすくなります。

小学生の癇癪について相談できる場所は?

癇癪は、心の成長にともなって見られる自然な反応です。ただし、長い期間続く場合や、家庭での対応に限界を感じるときには、専門家の力を借りましょう。以下、小学生の癇癪について相談できる相談先をご紹介します。

スクールカウンセラーや医療機関

スクールカウンセラーは、学校に配置されている心理の専門家です。不登校や友人関係、学習への意欲、発達面の不安などを保護者も相談できます。学校での癇癪が増えたときは、まず担任や養護教諭を通じて相談してみましょう。

また、医療機関では、小児科や児童精神科で発達障害の診断や評価を受けられます。癇癪の頻度や強さが目立つ、自傷や他害の行動がある、日常生活に支障が出ている場合には受診を検討してください。

発達障害支援センターや放課後等デイサービス

発達障害支援センターは、都道府県や政令市が運営する公的な相談機関です。どこに相談すれば良いか迷った際、適切な支援先を紹介してもらえるでしょう。

放課後等デイサービスは、6〜18歳の子どもが放課後や長期休暇中に利用できる福祉サービスです。障害福祉担当課などで受給者証を申請し、事業所を見学してから利用を始めます。学習支援や社会性のトレーニングなどを通じて、感情のコントロールや気持ちの切り替え方を学べます。

小学生の癇癪に関するまとめ

小学生の癇癪は、発達の過程で多くの子どもに見られる自然な反応です。家だけで癇癪が見られるのは、外で頑張る子どもが安心できる場で気持ちを出している証です。そして、信頼関係がしっかりしているからこそ見せられる姿でもあります。

癇癪が起きたときは、まず親が落ち着き、安全を確保してから気持ちを代弁してあげましょう。どうしても対応が難しい場合、専門機関の力を借りてください。スクールカウンセラーをはじめ、発達障害の傾向がある場合は医療機関や支援センターへの相談を検討しましょう。

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