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常同行動とは?原因・心理を深掘り!改善できる対処法を詳しく解説

2025.07.07
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • LD(学習障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

「うちの子どもが、同じ動きを何度も繰り返す」など、子どもの様子に不安を感じたことはありませんか?そのような行動は「常同行動(じょうどうこうどう)」と呼ばれる特性によるものかもしれません。

常同行動は、発達の過程で一時的に見られることも多いですが、発達障害などと関係していることもあります。原因や背景を理解しておくことで、子どもに適切な支援を届けられます。

そこで本記事では「常同行動とは何か」という基礎から、代表的な行動の例、原因や心理的背景、そして日常でできる対処法まで解説していきます。

目次

常同行動とは?

「常同行動」という言葉を初めて聞いたという方も多いかもしれません。これは、ある特定の動作や言葉などを繰り返し続ける行動のことを指します。

たとえば「手をひらひらさせる」「同じ言葉を何度も言う」「おもちゃを一列に並べる」など、一見意味がないように見える動きでも、子どもにとっては安心感を得る手段となっていることもあります。

まずここでは、常同行動の基本的な定義や特徴、見られる時期などについて、わかりやすく解説していきます。

常同行動の定義や特徴

常同行動とは、「外から見ると無意味に見えるような、同じ行動を何度も繰り返す」ことです。たとえば、手をひらひらさせる、同じ場所をぐるぐる歩く、同じ音や言葉を何度も繰り返すなどが代表例です。

自閉スペクトラム症(ASD)など発達障害では特徴的ですが、時には健常児でも不安や興味から一時的に見られることがあります。重要なのは「頻繁でやめられない」「生活に影響が出る」ようならサポートが必要ということです。子どもの行動を「困ったクセ」ではなく、「安心感を得るための大切な手段」としてまずは理解することが第一歩になります。

常同行動が見られる時期

常同行動は、幼児期の3歳頃までに見られることが多く、その後減ってくるのが一般的です。 一方、自閉スペクトラム症(ASD)の場合、4歳以降も残りやすく、集団生活の中で目立つことがあります。

初めは動きを試す自然な発達段階かもしれませんが、幼児期を超えても繰り返し続き、気になる場合は観察と対応が必要です。「いつまで続くの?」と保護者が不安を感じ始める頃には、少しずつ行動の意味や子どもの安心材料を探りながら、環境調整や医療機関への相談も検討すると良いでしょう。

常同行動の原因と心理

なぜ子どもが常同行動をするのか?その背景には、感覚過敏・鈍麻や、不安・ストレスなど、さまざまな心理的要因が関わっている場合があります。

また、発達障害のひとつである自閉スペクトラム症(ASD)との関係も深く、外的な刺激への対処法として常同行動があらわれることも少なくありません。

ここでは、常同行動の原因や心の状態とのつながりについて、わかりやすく解説していきます。

ストレスや不安

ストレスや不安が蓄積すると、子どもはそれを解消するために繰り返し行動を取ることがあります。

たとえば、両親の不在や環境の変化、家庭内の雰囲気から、子どもはストレスや不安を抱えがちです。子どもの安心感を高めるためにも、スキンシップや話を聞く時間を増やすことが大切でしょう。

神経発達症(発達障害)

自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症(ADHD)などの神経発達症が原因となり、常同行動を起こすこともあります。

たとえば、自閉スペクトラム症の場合、同じ行動を繰り返したり特定の物にこだわったりするケースが多いです。これらが気になるときは、発達支援センターや専門医に相談するとよいでしょう。

環境の単調さ

子どもの環境が単調になっていることや、変化を求めるようになったことにより常同行動が起こるケースもあります。

たとえば、常に同じ部屋にいたり、新しい物がなかったりする環境では常同行動が起こりやすいです。また、感覚刺激が入りにくい子どもや、刺激が多く必要な子どもにも、常同行動が起こることもあります。子どもは常に視覚や聴覚から情報を得るので、新鮮に感じる環境や刺激となるものを用意することで改善されることがあります。

感覚過敏・鈍麻との関係

常同行動は、感覚過敏や感覚鈍麻といった感覚特性が関係していることがあります。たとえば、強い光や大きな音が不快で逃れるために手をひらひらさせたり、ぐるぐる回ったりすることがあります。

一方、感覚鈍麻(刺激を感じにくい状態)の場合は、刺激を補おうとして手を叩いたり体を揺らしたりすることもあります。このような行動は、「安心感を得たい」「刺激や不快が落ち着いて欲しい」または「刺激が足りないからもっと取り入れたい」などという気持ちから自然に出てくる反応です。

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代表的な常同行動の具体例

常同行動といっても、その現れ方は子どもによってさまざまです。たとえば、体をゆらす・ジャンプを繰り返す・同じ言葉をくり返す(エコラリア)など、多様な特徴があります。

また、「物を並べる」「光をじっと見る」など、一見遊んでいるように見える行動が、常同行動の一つであることもあります。

ここでは、よく見られる常同行動の具体例を取り上げながら、どういった特徴があるのかをわかりやすく紹介します。

体を揺らす・ジャンプを繰り返す

子どもが体を前後に揺らしたり、静かにジャンプを繰り返す行動は、感覚を得ようとする常同行動の一つです。

自閉スペクトラム症やADHDの子にもよく見られ「ストレスを和らげたい」「安心感が欲しい」という気持ちから自然に行われます。周囲から見ると単なる落ち着かない動きに見えても、子どもにとっては必要な刺激です。無理に止めず、むしろ環境を整えて安心できる方法を一緒に考えることが支援になります。

同じ言葉や音を繰り返す(エコラリア)

エコラリアとは、聞いた言葉や音をそのまま繰り返す行動のことです。

自閉スペクトラム症の子どもによく見られ、言葉で表現する自信がない時、安心や気持ちの調整のために使われるとされています。周りには意味不明な言葉に聞こえるかもしれませんが、子どもの中では安心を得る大切な手段なのです。無理に否定せず、「その気持ち、わかるよ」と寄り添いながら言葉のやりとりをサポートしていく姿勢が大切です。

物を並べる・回す・揃える

同じおもちゃや物を並べる・回す・整える行動は、秩序や見通しを得るための手段です。

自閉スペクトラム症の子どもによく見られ「安心できる状態を保ちたい」という気持ちから自然に行われます。周囲から見ると「ただの癖」に見えることもありますが、子どもの安定が保たれている証拠でもあります。そのため、行動を否定せず、安全な環境と視覚的なサポートを整えてあげることが効果的です。

決まった順番ややり方に強くこだわる

「お出かけはこの順でないと気が済まない」「スイッチを押す順番を厳守する」など、ルーティンへのこだわりは不安やストレスから自分を守るための行動です。

このようなルールややり方が崩れると、子どもはストレスやパニックを感じやすくなります。対処法としては、次の行動を視覚で示すようなスケジュール表を使う・予定の変更は前もって少しずつ伝えるなど、見通しを持たせる工夫が効果的です。

指先や口元などを触り続ける

指先や口元を触り続ける行動は、軽い自己刺激行動で、不安軽減や落ち着きを取り戻す手段です。

感覚過敏や鈍麻が背景にある場合も多く、子どもは安心感を得るために繰り返すことがあります。こうした習慣は、無理に止めるよりも代替の安心グッズ(ストレスボールなど)を用意する方が効果的です。周囲も叱らずに見守り、安全に過ごせるよう工夫をしていくことが大切です。

光や音に異常に反応し、同じ刺激を繰り返す

光の反射を見続けたり、同じ音を繰り返し鳴らす様子は、感覚を得ようとする行動としてよく見られます。

刺激を好む子どもは、光をじっと見つめたり、音楽の再生ボタンを何度も押したりして、視覚・聴覚刺激を繰り返し楽しむことがあります。この行動を否定せずに、安全かつ適切に感覚を得られる環境(光るおもちゃ、音の録音など)を整えることで、心地よい安心感を維持できます。感覚の特性に配慮した支援がその子どもらしさを支えます。

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常同行動を改善する対処法

常同行動はすぐにやめさせるべきものではありませんが、日常生活に支障が出ている場合には適切な対処が必要です。

無理にやめさせるのではなく「どうすれば安心できるのか」「代わりになる方法はあるか」を考えることが大切です。

ここでは、ご家庭でできる工夫や支援機関との連携、そして子どもの心に寄り添う支援の方法などをご紹介します。

行動を置き換える

子どもの困りごとを別の行動に変更することで、常同行動が改善されることもあります。たとえば、指しゃぶりが多いのであれば、代わりにおもちゃを与えることで行動を変えられます。もし刺激を求めているなら、適切な余暇活動を教えると良いでしょう。

環境を整えてあげる

常同行動を出していいような環境を整えてあげることで、行動を制御できるようになります。たとえば、感覚刺激が足りず動く子どもには、家の中で感覚刺激が入るような環境を整えることも有効でしょう。環境づくりとしては、トランポリンを用意したりする方法もおすすめです。

行動を指示する

子どもが何をすればいいのかわからず常同行動を出すときは、適切な指示を出して行動を明確にすることも大切です。たとえば、椅子に座っても手を動かし続けるなら、鉛筆を持たせることで、やることが明確になります。やるべきことを明確にしてあげれば、常同行動を改善できるようになることもあります。

支援機関などとの協力

常同行動が続く場合、ご家庭だけで支えるのは大変なことです。市区町村の保健センターや医療機関で、子どもの行動に対する相談をしてみてもよいでしょう。また、子どもの発達や障害との関連がある場合は、児童発達支援センターなど療育の専門機関の利用により、個々の子どもに合った支援や関わり方のアドバイスを受けることも効果的です。

支援機関と協力する際のポイントには、以下などがあります。

●行動の記録:いつ・どこで・どのような状況で出たかを整理
●相談内容の準備:「光を追いかける」「手を叩く」などを詳しく伝える
●ご家庭での取組みの共有:現在の環境づくりや代替行動の工夫を伝える

専門の支援者と上記情報を共有することで、よりよい対応策が得られます。複数の専門職が関わることで、総合的に子どもを支える体制が整い、日常の中でも少しずつ安心感が高まることが期待できます。

まとめ

常同行動とは、手をひらひらさせたり「外から見ると無意味に見えるような、同じ行動を何度も繰り返す」ことです。発達の一過程として見られることも多いですが、発達障害(自閉スペクトラム症など)や感覚の特性、不安やストレスなどが背景にある場合もあるため観察や注意が必要です。

代表的な常同行動には、体を揺らす、物を並べる、決まった順番へのこだわりなどがあり、子どもにとっては安心感を得るための行動でもあります。無理にやめさせるのではなく、環境調整や代替行動の提示、支援機関との連携などを通して、子どもに寄り添った支援を行うことが大切です。

常同行動の理解と対応には、保護者の温かな見守りと専門的なサポートも欠かせません。

参考元
各 支援機関 等

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