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知能指数とは何か?発達指数との違いや7段階の目安を解説

2026.02.03
  • 発達検査・心理検査等

知能検査の結果を見て「この数値は良いのか、悪いのか」と気になってしまう保護者の方は多いはずです。わが子のことですから、心配になるのは当然のことでしょう。

しかし知能指数は、子どもの一側面を示すに過ぎません。創造力、優しさ、粘り強さなどの大切な力は、数値では測れないからです。

では、子どもを持つ親は、知能指数とどう向き合えば良いのでしょうか?

本記事では、知能指数とは何か、数値の基本知識から発達障害との関係まで、知能指数に関して押さえておきたいポイントを解説します。

知能指数とは何を表す数値?

知能指数とは何か見ていきましょう。知能指数とは簡単にいうと、子どもの「知的な能力」を数値化したものです。まず最初に、特徴や計算方法や、似た概念である発達指数との違いを見ていきましょう。

IQという言葉の意味

IQは、Intelligence Quotient(インテリジェンス・クオシエント)の略で、日本語では「知能指数」と訳されます。

知能指数は、同じ年齢の平均値を100とする基準で測定されます。視力検査で1.0が平均とされるように、知能指数では100が基準になっています。

つまり、IQ100であれば平均的な知能を持っているということです。

ただし、注意点があります。人間の知能には検査で測れる部分と測れない部分があるため、IQが「頭の良さ」のすべてを表すわけではありません。

あくまでも知能指数は、認知能力の一側面を数値化したものとして、冷静に捉えることが大切です。

知能指数の計算方法

これまで知能指数は、1912年にドイツの心理学者ウィリアム・スターンが提唱した以下の計算式で算出していました。

IQ = 精神年齢 ÷ 生活年齢 × 100

「精神年齢」とは、知能検査の結果から導き出される「知的な発達レベルに対応する年齢」のことです。そして「生活年齢」は、その子の実際の年齢を指します。

具体例を挙げてみましょう。

5歳の子どもが、平均的な6歳相当の問題を解けた場合、次のように計算されます。

IQ = 6(精神年齢)÷ 5(生活年齢)× 100 = 120

上記場合の知能指数は120で、平均よりやや高い数値です。

ただし、この方法には課題がありました。年齢によって知能の伸び率が異なるため、同じIQ値でも年齢が違えば意味が変わってしまうのです。

そこで現代の知能検査では「偏差IQ」が主流になっています。

偏差IQは、同年齢集団の平均を100、標準偏差を15とする標準化スコアです。個人がその集団の中でどの位置にあるかを数値で示します。

この方式の利点は、年齢に関係なく一貫した基準で評価できる点にあります。5歳でも15歳でも、IQ120なら「同年齢の中で上位10%」となるため、より公平で正確な比較が可能になったのです。

発達指数との違いを簡単に解説

知能指数と似た概念に「発達指数(DQ)」があります。

発達指数は、「Developmental Quotient(デベロップメンタル・クオシエント)」の略で、主に乳幼児期の発達全般を評価します。運動機能、言語、社会性、生活習慣といった幅広い領域を測るのに対し、知能指数は認知能力や思考力など知的な側面に特化しています。

この違いから、おおむね3歳頃までは発達指数、3歳以降は知能指数を用いるのが一般的です。幼い時期には知能だけを独立して測ることが難しいため、このような使い分けがなされています。

どちらの指標も、子どもの発達を理解するための手がかりになります。

知能指数の平均と7段階の目安とは?

知能指数には平均値があり、7段階の分類で評価されます。ここでは、知能指数の平均と目安を解説します。

知能指数7段階の見方

知能指数は、一般的に以下の7段階に分類されます。この分類は、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)などをもとにしています。

知能指数7段階

IQ範囲 分類 該当割合(目安)
130以上 非常に高い 約2%
120〜129 高い 約7%
110〜119 平均の上 約16%
90〜109 平均 約50%
80〜89 平均の下 約16%
70〜79 境界域 約7%
69以下 知的障害の可能性 約2%

もっとも多い分布はIQ90〜109の「平均」で、全体の約半数が該当します。

一方、注意が必要なのはIQ70〜79の「境界域」です。この分布は、知的障害の診断基準には達していないものの、学習や日常生活で支援が必要になることがあります。

対照的に、IQ130以上の「非常に高い」層は約2%で、「ギフテッド」と呼ばれることもあります。

IQが低いとどうなるのか

知能指数が低い場合、学習や日常生活で困難を感じることがあります。

とはいえ、知能検査で測れるのは認知能力の一部にすぎません。数値だけでその子の全てが決まるわけではないのです。

IQ70未満の場合、知的障害と診断される可能性があるものの、これについては日常生活での適応行動も含めて総合的に評価されます。診断では、身の回りのことを自分でできるか、周囲の人とコミュニケーションが取れるかといった点も重要視されます。

IQ70〜85の境界域に該当する子どもの場合、学校の授業についていくのが難しいと感じたり、友達との関わりで戸惑ったりすることがあります。ただし、適切な支援を受けることで、学習面や生活面での困難を軽減し、その子らしく成長していけるでしょう。

子どもの知能指数の測り方とは?

知能指数を測る方法には、いくつかの種類があります。ここでは、代表的な3つの検査方法について、それぞれの特徴と対象年齢をご紹介します。

ウェクスラー式知能検査

現代で広く使われているのがウェクスラー式知能検査です。アメリカの心理学者デビッド・ウェクスラーによって開発されたこの方式は、年齢に応じて3つの種類があります。

  • WPPSI(2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月)
  • WISC(5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月)
  • WAIS(16歳0ヶ月〜90歳11ヶ月)

日本では、子ども向けのWISC(ウィスク)がよく使われます。現在の主流は第5版のWISC-Ⅴです。

この検査では、知能を言語理解、視空間、流動性推理、ワーキングメモリー、処理速度という5つの指標で評価します。子どもの得意な分野と苦手な分野を具体的に把握できるのが特徴です。

田中ビネー知能検査

ウェクスラー式知能検査の次に、日本国内で使われているのが田中ビネー知能検査です。これはフランスの心理学者アルフレッド・ビネーと医師テオドール・シモンが開発した「ビネー・シモン知能検査」を日本人向けに改良したもので、2歳から成人までと幅広い年齢に対応しています。

本検査の特徴は、年齢ごとに問題が設定されている点です。その子の年齢相応の課題から始めて、できる問題とできない問題の境界を見つけていきます。

日本版KABC-Ⅱ心理教育アセスメント

アメリカの心理学者、カウフマン夫妻によって1983年に開発された検査方法です。2013年に日本版KABC-Ⅱとして改訂されました。

ウェクスラー式との大きな違いは、認知処理能力と学習の習得度の両面から評価する点です。

認知処理は、継次処理(順番に処理する力)と同時処理(全体を一度に把握する力)に分けて測定します。そして習得度尺度では、読み書きや計算といった学校で学ぶ内容の定着度を測ります。

子どもの得意な学び方を見つけ、具体的な支援方針を決めていくのが特徴です。

知能指数と発達障害の関係とは?

ここでは、IQが低いことと発達障害の関係、ADHDやASDとの傾向、数値だけで判断しない大切さについて解説します。

IQが低いと発達障害なの?

知能指数が低いからといって、必ずしも発達障害があるわけではありません。逆に、発達障害があるからといって、知能指数が低いとも限りません。

たとえば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の診断基準には、知能指数の数値は含まれていません。重視されるのは、コミュニケーションや対人関係の特徴、こだわりの強さ、注意の持続といった行動面です。

一方で知的障害の場合は、知能指数が診断に関わってきます。アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5)では、おおむねIQ70未満が目安です。ただし、数値だけでなく、日常生活での適応行動に制限があることも診断要件となります。

心配な点があれば、小児科や児童精神科、地域の発達支援センターで相談しましょう。

ADHDやASDとIQの傾向

発達障害のある子どもの知能指数には、いくつかの傾向が見られます。

ADHDを持つ子どもの場合、知能指数は100前後と平均的です。ただし、検査中に集中力が切れやすいため、本来の能力より低い数値が出ることが少なくありません。

一方、ASDのある子どもは、知能指数に大きな個人差があります。「発達障害児のスクリーニング方法に関する研究」によると、IQ70未満から130以上まで幅広く分布しています。同様に知能検査の各領域の得点にも、ばらつきが出やすいことがわかっています。

ただし、これらはあくまで一般的な傾向です。一人ひとりの特性は異なるため、知能検査の結果を参考にしながら、その子に合った支援を考えてあげてください。

数値だけで判断しない大切さ

知能検査の結果を見るとき、数値が全てではないことを心に留めておきましょう。

IQが高くてもコミュニケーションが難しい子どももいれば、IQが平均より低めでも、友達と仲良く過ごせる子どもはいます。

知能指数は、子どもを理解するための一つの手がかりでしかないのです。

IQの数値より大切なことは何か?

知能指数の数値に一喜一憂するより、子どもの成長を見守る姿勢が大切です。IQの数値より何が大切か、今一度考えてみましょう。

数値に一喜一憂しない心構え

知能検査の結果が出たとき、数値が気になるのは当たり前でしょう。しかし、その数値だけで「うちの子は大丈夫」「心配だ」と判断する必要はありません。

子どもは経験を重ねながら成長し、新しい力を身につけていきます。幼い頃は言葉が遅くても、小学校に上がる頃には友達とのコミュニケーションを楽しむようになる子もいます。

大切なのは、「どのような支援があればこの子を支えられるか?」を考えることです。

子どもの得意と苦手を知る

知能検査の価値は、子どもの得意と苦手を把握し、具体的な支援につなげられる点にあります。

ウェクスラー式やKABC-Ⅱのような検査では、どの能力が強く、どの能力に課題があるかがわかります。たとえば、言葉の理解は得意だが視覚的な情報処理が苦手な子どもには、言葉での説明を中心にした学習方法が向いています。

一方、視覚的な情報処理が得意な子どもには、図やイラスト、実物を見せながら教える方が効果的です。

その子の得意を伸ばし、苦手には別の方法でアプローチをしましょう。こうした支援を考えるために、検査結果を活用してください。

相手の気持ちを理解する心

検査では測れないけれど、とても大切な力があります。それは、相手の気持ちを理解する心です。

友達に優しい言葉をかけたり、困っている人を助けようとしたりする思いやりは、知能指数には表れません。しかし、相手の立場に立って考える力は、社会で生きていく上で知的能力と同じくらい大切です。

知能指数のよくある質問

知能指数について、保護者の方から寄せられる質問にお答えします。

知能指数は成長で変わる?

知能指数は、成長や環境によって変化する可能性があります。特に幼児期から児童期は発達のペースに個人差が大きく、知能指数も変動しやすい時期です。

知能検査はどこで受けられる?

知能検査は、小児科・児童精神科などの医療機関、地域の発達支援センター、児童相談所、教育相談センターなどで受けられます。

子どもの発達について気になることがあれば、まずはかかりつけの小児科や地域の保健センターに相談してみましょう。

グレーゾーンのIQはいくつ?

IQ70〜85の範囲が境界域・グレーゾーンと呼ばれます。知的障害の診断基準には該当しませんが、学習面や日常生活で支援が必要になることがあります。

【まとめ】知能指数は子どもを理解する一つの視点

知能指数とは何かを簡単に見ていきました。

子どもが知能検査を受けた後、「この結果をどう活かせば良いのか」と悩む保護者の方は少なくありません。

知能検査の結果が出たら、数値そのものより子どもの得意なことと苦手なことに注目してみてください。そこから、具体的な支援の方向性が見えてきます。

もし、子どもの発達や学習の遅れが気になるときは、ステラ個別支援塾にご相談ください。

ステラ個別支援塾では、お子さま一人ひとりに合わせた学習支援を行っています。まずはお気軽にご相談ください。

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