日本では、1月から3月の間に生まれた子どもを「早生まれ」と呼びます。学年区切りが4月1日であるため、同じ学年の中で最も年下になるグループです。保護者の間では、「早生まれは不利なの?」「勉強や運動で差が出るって本当?」といった疑問がたびたび語られます。近年は研究や統計データも増え、相対的年齢差として世界的にも注目されています。
この記事では、なぜ、早生まれの子が不利と言われるのか、受験や勉強に影響はあるのか、その影響は統計的にいつまで続くのか、どの分野でどのような差が出るのかを整理し、保護者ができる具体的なサポートをわかりやすく解説します。
早生まれはなぜ不利と言われるのか

早生まれがなぜ不利といわれるかというと、主に身体発達・認知発達・社会性の成熟度の差が生じることからです。ポイントは「早生まれの子が劣っている」のではなく、同じ学年内で最大1年近い差があることで、比較されやすい環境が生まれるということです。
身体発達の差
同じ学年でも、4月生まれと3月生まれでは最大11ヶ月ぐらいの差があります。学齢期の1年は身体の成長スピードが大きく、運動能力・体格・スタミナに影響が出やすいため、運動系の評価で差が現れます。
認知発達の差
幼児期から低学年にかけては、言語能力・注意力・理解力が急速に伸びる時期です。たった数ヶ月の違いが、
- 文字や数の理解
- 集団行動のルール理解
- 作業の持続時間
などに差として見えやすくなります。
社会性や情緒面の成熟度の差
「落ち着きがない」「集中できない」といった印象を受けやすいのも、単に発達段階の違いのケースが多いです。早生まれの子は気持ちの切り替えや自己主張が同級生より未熟に見えることがありますが、これは自然な成長差です。
保育園や幼稚園での早生まれの影響

「保育園では早生まれは苦労するのでは?」と心配する保護者は多いです。実際には、次のような場面で差が見られることがあります。
トイレトレーニング
3歳前後は発達に個人差が大きい時期です。4月生まれの子はほぼ完了していても、2~3月生まれの子はまだ課題が残ることがあります。これは早生まれに限らず、ごく自然な個体差です。
集団活動への参加
行事の練習や工作活動などで、集中力の差が表れる場面があります。
ただし保育士は発達段階を理解しているため、早生まれだからといって過度に心配する必要はありません。
ルール理解やコミュニケーション
早生まれの子は語彙量や表現力で一時的に遅れて見えることがありますが、年中・年長頃にはほとんどの子が追いつきます。
保育園での差は「あるにはある」が、長期的に見るとごく小さく、心配しすぎる必要はないのが実情です。
勉強面ではどんな不利が起きやすい?

小学校に入ると「勉強のつまずき」への心配が増えます。特に以下の場面で、早生まれの子どもとそうでない子供の差が見えやすくなります。
ひらがなやカタカナの習得
年中〜年長で文字の興味が伸びる時期に、早生まれは発達段階がまだ追いつかない場合があります。入学してすぐのテストで差が見えやすいのもこのためです。
作業スピード
手先の器用さや集中力の発達が少し遅れて見えるため、プリントの問題を解くスピードがゆっくりでも不思議ではありません。
計算や文章理解
低学年の算数・国語は基礎的であるほど認知発達の差が出やすい科目です。特に文章を読み取る力は年齢差が反映されやすい傾向があります。
ただし、これらの差は3年生頃にはほとんど解消されるとされ、多くの研究で「標準的な学力に落ち着く」ことが示されています。
統計データから見る早生まれの不利

ここでは一般的に知られている傾向を、研究でよく語られる範囲で整理します。
学力テストの平均点
複数の自治体データでは、小学1~2年生で早生まれの平均点がわずかに低く出る傾向が指摘されています。
しかし、その差は年を追うごとに縮まり、高学年ではほぼ有意差※が消えるとされます。
※有意差:統計学において、偶然では起こりにくい「統計的に意味のある差」のこと。
運動能力調査
スポーツ庁の体力・運動能力調査では、早生まれの子どもが低学年で若干低い数値を示すという傾向があります。ただし、これも学年が上がるほど差は小さくなります。
受験における影響
高校受験・大学受験の成績分布を大規模に分析した研究では、早生まれの不利はほとんど見られなくなり、むしろ差が逆転するケースも報告されています。つまり、努力や環境次第で十分挽回できるどころか、優秀層に早生まれが多いというデータもあるのです。
これは、早生まれの子が幼少期に努力を積み重ねた結果、学習習慣や粘り強さが身につきやすいという仮説もあります。
不利はいつまで続くのか?

もっとも気になるのが「早生まれの不利はいつまで続くのか」という点でしょう。
保育園や幼稚園の時期
保育園や幼稚園のこの時期は身体発達・認知発達の差が最も大きく、早生まれの人は周囲との差を実感しやすい時期です。
小学校低学年
まだ差が残りやすく、特に1~2年生では学力テストの点数や作業スピードで差が出ることがある時期です。
小学校中学年
多くの研究で、小学3~4年頃になると差は急速に縮まり、ほぼ解消することが示されています。
小学校高学年から中学生
この頃には身体・認知・社会性の成熟度がほぼ安定し、早生まれによる学力差や運動差は統計的にほぼ見られなくなります。
高校受験や大学受験
試験方式が公平であり、本人の努力が影響するため、誕生月による差はほぼ消えます。
保護者ができる早生まれサポート

早生まれが不利とされやすい分野は、日常のちょっとした工夫で十分補えます。
焦らず発達に合わせる
文字・数・運動は個体差が大きいため、「周りより遅れているかも」と焦る必要はありません。
褒めて成功体験を積ませる
早生まれの子は比較されがちだからこそ、「できた!」「成長した!」という成功体験を増やすことが重要です。
できないことを責めるより、できたことを褒めてあげることで、自己肯定感も高まり勉強へのモチベーションが上がります。
小学校入学前からの学習サポート
無理のない範囲で、次のような学習サポートを取り入れると、子どもが自信を持ちやすくなります。
- ひらがなの読み
- 読書(絵本の読み聞かせ)
- 数の概念
- 計算(足し算、引き算、九九など)
- 手指を使う遊び
早生まれは不利な部分もあるが長期的には心配不要
早生まれが不利と言われる理由は、幼少期や小学校低学年に「発達差」が見えやすいためです。その時期は身体的・認知的に発達が大きいため、見た目に差が見られますが、能力差があるわけではありません。
いつまで不利と言われる状況が続くかは、統計的に、差は小学校中学年以上になるとほぼ解消され、受験や将来において不利とされるデータはほとんどありません。
むしろ、早生まれの子は努力の習慣が身につきやすく、長い目で見れば大きな武器になることもあります。
結局のところ、早生まれだからといって心配する必要はありません。
大切なのは、子どものペースに合わせ、できることを少しずつ増やしてあげること。
その積み重ねこそが、どの子にも最も大きな力を与えてくれるのです。何かができたら褒めてあげて、成功体験を増やしてあげましょう。
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