小学生が不登校になる原因は?親ができる対応と勉強法を解説
お子さんが「学校に行きたくない」と話したとき、どう声をかけるべきか悩むものです。
小学生の不登校はこの10年で約5.5倍に増加しており、現在は約43人に1人が経験しているといわれています。今では、不登校はどの家庭にも起こり得る身近な問題となっています。
本記事では、小学生が不登校になるきっかけや親ができるサポートの方法、家での過ごし方、そしてフリースクールなどの利用や、学習を続ける工夫についてわかりやすく解説します。お子さんの気持ちを大切に受け止めながら、少しずつ前に進むためのヒントを一緒に探しましょう。
小学生の不登校とその現状

まずは、最新のデータをもとに不登校の現状について見ていきましょう。
10年で5倍に増えた小学生の不登校
文部科学省の2024年度調査によると、小学生の不登校児童は13万7,704人にのぼっています。これは全体の約2.3%、およそ43.5人に1人の割合です。クラスの人数で考えると、1学年に2人以上の子どもが不登校の状態にある計算になります。
この10年間で、小学生の不登校は大きく増えました。2013年度には約2万4,000人だったのが、2024年度には13万7,704人へと、約5.5倍に増加しています。
特に2020年度以降は、増加のペースがさらに速くなっています。背景にはさまざまな要因がありますが、新型コロナウイルスの感染拡大による休校などが大きな影響を与えたと考えられます。
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
年間30日以上休むと不登校扱いになる
文部科学省では、不登校を「心理的・情緒的・身体的、または社会的な理由や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状態が続き、年間30日以上欠席している児童生徒(病気や経済的な理由による欠席を除く)」と定義しています。
以前は50日以上の欠席が基準でしたが、1998年以降は「年間30日以上」に統一されました。
ここでの「年間」とは、4月1日から翌年3月31日までの1学年を指します。つまり、月に2〜3日ほど休むことが続くと年間で30日に達してしまい、不登校として扱われることになります。
不登校はどの学年でも起こる可能性がある
文部科学省の令和6年度調査によると、小学校の不登校児童は137,704人にのぼり、前年度からさらに増加しています。 学年が上がるにつれて人数が増える傾向は続いており、高学年になるほど不登校の子どもが多くなる状況がみられます。
一方で、不登校は高学年だけの問題ではありません。前年度(令和5年度)のデータでは、小学1年生の不登校児童数が9,154人と、10年前と比べて大幅に増えていました。
令和6年度調査では、小学1年生の人数はわずかに減少したものの、小学校全体として不登校児童は過去最多を更新しています。いずれにしても、低学年の段階から不登校が生じている状況に変わりはありません。
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
出典:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(結果の概要)」
なぜ?小学生が不登校になる原因とは

小学生が不登校になる理由はさまざまですが、その背景は学年によって大きく異なります。ここでは、学年ごとの主な原因と、発達障害との関係について見ていきます。
低学年は親と離れる不安や環境の変化が原因
低学年で多く見られるのは「母子分離不安」です。これは単なる甘えではなく、母親と離れることに強い不安を感じる心理的な状態を指します。
特に入学直後の4月から6月にかけて不登校になるケースが多く、新しい環境に慣れるまでに時間がかかるお子さんも少なくありません。
中学年は勉強の遅れや友達とのトラブルが原因
中学年になると学習内容が難しくなり、授業についていくことが難しくなる場合があります。学習の遅れを感じると「自分はできない」と思い込み、自己肯定感が下がってしまうのです。
また、友達との関係も複雑になったり、人間関係のトラブルが原因で学校に行けなくなったりするケースが見られます。
高学年は無気力や生活リズムの乱れが原因
高学年になると、「学校に行きたくないけれど理由がわからない」と感じるお子さんが増えてきます。いわゆる無気力型の不登校です。
無気力は決して甘えではなく、心や脳が強いストレスで疲れ切った状態を示しています。心理学では「学習性無気力」と呼ばれ、何度も失敗を経験するうちに「何をしても無駄だ」と感じてしまう心の反応とされます。
さらに近年では、スマートフォンの普及により家での過ごし方が変化し、SNSによる夜更かしや昼夜逆転といった生活リズムの乱れも、不登校につながる要因のひとつとされています。
発達障害が関係していることもある
お子さんが学校生活にうまくなじめない背景には、発達障害の特性が関係していることもあります。
たとえば、ADHD(注意欠如多動症)のあるお子さんは授業中に集中することが難しかったり、ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんは人とのかかわりや集団生活でストレスを感じやすかったりするものです。
こうした特性によってつまずきが重なると、「自分はできない」と感じ、自己肯定感が下がります。その結果、不安や気持ちの落ち込みなどの二次的な不調を招くことがあります。
親ができる対応と不登校との向き合い方
お子さんが不登校になったとき、親としてどう対応すればよいのでしょうか。以下、具体的な対応方法と不登校の向き合い方、考え方をご紹介します。
学校を休んでもいいと伝える
不登校のお子さんは、学校に行きたくても行けない状況の中で、大きな不安や葛藤を抱えています。そんなときに「休んでもいいよ」と伝えるだけで、張りつめていた気持ちが少し落ち着きます。
もっといえば、「つらいときは無理をしなくて大丈夫。少し休もうか」と優しく声をかけてあげてください。その瞬間、親は“叱る人”ではなく、“安心して寄り添ってくれる味方”としてお子さんの心に映ります。
なお、「学校を休むのはよくない」と感じる親御さんがいるかもしれません。ですが、学校をお休みするのは“逃げること”ではなく、“立ち止まって心を回復させるための時間”です。
お子さんにとって必要な休養の過程として、まずは安心して休める環境を整えてあげましょう。
子どもの気持ちをゆっくり聞く
お子さんの話を聞くときは、「理解しよう」という姿勢を大切にしましょう。言葉を引き出そうとするよりも、「話したいと思える安心感」を感じられるように寄り添ってください。
たとえば、ゲームをしたり、一緒に好きな動画を見たりしながら、自然に話し始めるのを待つのもひとつの方法です。これは「後出しじゃんけん法」と呼ばれ、子どものペースに合わせて心を開くきっかけをつくる聞き方とされています。
お子さんが話したがらないときは、無理に聞き出そうとせず、そっと寄り添うだけでも十分です。責めるような言葉ではなく、「そう感じているんだね」と優しく受け止めてあげてください。
担任の先生と情報を共有する
学校側は、お子さんが登校していない間の様子を詳しく知ることが難しい状況にあります。だからこそ、保護者が家庭での様子を伝えることが大切です。
たとえば、お子さんが不安に感じていること(友達との関係、授業の進み方、先生とのやりとりなど)や、生活リズム・学習の状況、気持ちの状態(無気力や不安が強いときなど)を共有しておくと、学校側も状況を把握しやすくなります。
無理に登校させようとしない
無理に行かせようとすると、体調がさらに悪化したり、「学校に行けない自分は悪い子だ」と自分を責めてしまう可能性があります。絶対に、無理に登校させようとしないでください。
ポイントは、短期間での「学校復帰」だけを目標にしないことです。長い目で見て、「お子さんが自分らしく、生きる力を育てていけること」が本来の目標であると考えてみましょう。
不登校の小学生と家での過ごし方

お子さんが不登校になったとき、家でどのように過ごせばよいのでしょうか。ここでは、家での過ごし方を具体的にご紹介します。
まずはゆっくり休む時間を作る
不登校になった直後は、お子さんの心と体が大きなストレスから解放される時間が必要です。最初の1〜2週間は、できるだけプレッシャーから離れ、安心して過ごせる環境を整えましょう。その後は、お子さんの様子を見ながら、少しずつ生活にリズムを取り戻していくことが大切です。
好きなことや興味があることをする
好きなことや興味のあることを伸ばすことは、心の回復や自信を取り戻す助けになります。たとえば、工作や絵画、粘土細工などの創作活動も良いですし、好きな本や漫画を読むのも立派な活動です。好きなことに没頭する中で「自分にもできる」という感覚が芽生え、自己肯定感が育ちます。
もし「何に興味があるかわからない」というときは、無理に提案せず、そっと見守りましょう。お子さんの表情や反応から関心の芽を探してみてください。
料理や掃除など家事を手伝ってもらう
家事は単なるお手伝いではなく、「役に立てた」という感覚を育てる大切な経験です。親から「ありがとう」「助かったよ」と言われることで、お子さんの罪悪感がやわらぎ、自己肯定感が少しずつ高まっていきます。
もしお子さんが嫌がる場合は、無理にすすめずに「やれたら一緒にやってみようね」くらいのペースで十分です。
散歩や買い物など少しずつ外に出る
外に出るタイミングは、お子さんの気持ちの状態によって異なります。不登校の初期段階では、無理に外出を促す必要はありません。
お子さんが「家の中にいるのが退屈」「何かしてみたい」と感じ始めたときが、少しずつ動き出すサインです。そのときまで、焦らず待ってみましょう。
外出を強く拒むときには、そこに必ず理由があります。そのため、「怠けている」「逃げている」といった見方は避けてください。お子さんなりに不安や恐れと向き合っている最中かもしれません。
不登校の間どのように勉強を進める?

不登校の期間が続くと、「勉強が遅れてしまうのでは」と不安を感じるものです。しかし、無理に進めようとするのはおすすめしません。
ここでは、お子さんの心の状態やペースに合わせた学習のコツをご紹介します。
焦らず本人のペースで始める
親の焦りはお子さんにも伝わり、かえって勉強や学校を「嫌なもの」と感じやすくしてしまいます。
まず優先すべきは、お子さんの心と体の回復です。勉強を再開する際、最初から完璧を目指す必要はありません。
1日30分〜1時間ほどの短い時間から始め、得意な教科や好きな分野に取り組むことで「できた」という小さな成功体験を重ねていきます。
フリースクールで学ぶ選択肢もある
フリースクールは、不登校の子どもたちを受け入れ、学校の外で学習や交流の機会を提供する民間施設です。入学に特別な条件はなく、比較的すぐに通い始められます。
ただし、在籍している学校で出席扱いになるかどうかは、学校長の判断によって異なります。事前に相談しておくと安心でしょう。
オンライン授業や家庭教師を利用する
オンライン授業は、自宅という安心できる環境で学習できるのが魅力です。お子さんのペースに合わせて進められるため、朝に体調がすぐれない日でも、午後から授業を受けるなど柔軟に対応できます。
一方で、通信機器の準備が必要だったり、自分で計画を立てる力が求められたりするなど、少しハードルを感じる場面もあります。そんなときは、家庭教師の力を借りるのもひとつの方法です。
ステラのような個別支援塾で学ぶ
個別支援塾は、発達障害や学習のつまずきを抱えるお子さんのために、専門的な支援を行う学習施設です。一般的な塾とは異なり、お子さん一人ひとりの特性を理解し、その子に合った方法で学びをサポートします。焦らず、自分のペースで「わかる」「できる」を積み重ねていける場です。
ステラ個別支援塾では、10年以上にわたりお子さんとご家庭を支えてきました。学習支援にとどまらず、生活面や心理面、将来の進路相談までを含めた総合的なサポートを行っています。お子さんの笑顔と自信を取り戻すための第一歩として、どうぞお気軽にご相談ください。
小学生の不登校に関するまとめ
小学生の不登校は、いまやどのご家庭にも起こり得る身近な問題です。低学年では親と離れる不安、中学年では勉強のつまずきや友達関係の悩み、高学年では無気力や生活リズムの乱れが主な理由として見られます。また、発達障害の特性が関係していることもあります。
親としてできることは、まず「学校を休んでもいいよ」と伝え、お子さんの気持ちをゆっくり受け止めることです。家庭では、安心して休める時間をつくり、好きなことや家事への参加を通して、少しずつ外に出るきっかけを増やしていきましょう。
ステラ個別支援塾では、お子さん一人ひとりの特性に合わせたきめ細かなサポートを行っています。
どんな小さな一歩も、お子さんにとっては大きな成長への始まりです。その歩みを、私たちはそっと支えていきます。
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