2歳児の癇癪はなぜ起こる?子どもの気持ちと親の関わり方について
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「また泣いてる…どうしたらいいんだろう?」そう感じたことはありませんか?2歳頃は“イヤイヤ期”とも呼ばれる時期で、子どもの癇癪(かんしゃく)に戸惑う保護者は多いです。
「わがままなのかな?」「私の関わり方が悪いのかも」と自分を責めてしまいがちですが、癇癪には子どもなりの理由や背景があり、それを知ることで対応が楽になることもあります。
この記事では、2歳児の癇癪が起きる理由や発達障害との関係性、癇癪を起こしやすいシーンや関わり方のポイントについて解説していきます。
目次
2歳児の癇癪はなぜ起こるの?
「どうして急に泣きわめくの?」「さっきまで笑っていたのに…」2歳児の癇癪は、突然始まり、何がきっかけかわからず困惑してしまうこともあると思います。
でも実は、癇癪の背景には2歳児特有の発達段階であることも多く、癇癪は成長の一部であり、決して異常な行動ではないのです。
ここでは、イヤイヤ期の特徴や、癇癪が起こりやすい理由を具体的に解説し、子どもの気持ちに寄り添うヒントをお伝えします。
イヤイヤ期とは?2歳児の特徴について
2歳前後は「イヤイヤ期」と呼ばれる時期で、自我が芽生え自己主張が強くなる特徴があります。これは発達の大切な一歩であり、2〜3歳頃がピークとされています。
この時期、子どもは「自分でしたい」「○○したくない」といった気持ちを声に出す練習をしており、それが癇癪という形で表れることもしばしばです。感情のコントロールや、他者の気持ちを考える力はまだ発達途上なので、親の理解と見守りが何よりも大切になります
言葉が未発達な時期に起こるもどかしさ
2歳児は300〜500語程度の語彙があるとされていますが、自分が伝えたい言葉を十分に表現できず、もどかしい気持ちを抱えることが多いです。
自分の気持ちをうまく言葉で伝えられず、イライラや怒りになってしまうのは自然な反応です 。このもどかしさに寄り添い、代弁の言葉をかけることで、「わかってもらえた」という安心感が生まれ、落ち着きやすくなります 。
自己主張の芽生えと自分でやりたい気持ち
2歳児は「自分でできる!」という自己確立の芽生えが強くなり、自ら選びたい・やりたいと思う気持ちが高まります。
ですが、身体能力や言葉の未熟さから思い通りに動けず、そのもどかしさを癇癪で表現することがあります。この時期は、親が「ここはいいけど、これは危ないよ」と線引きをしながら、子どもの“自分でやりたい”気持ちに寄り添って応援してあげることが大切です
”わざと”ではなく欲求不満や感情の爆発
2歳児の癇癪は、わざとではなく、未成熟な脳(前頭前野※)による感情調整の難しさから生じます。
たとえば、疲れていたり眠かったりすると、ちょっとしたことで感情が爆発しがちです。これは子どもの限界が来ているサインであり、”不都合な現実への反応”とも言えます。こうしたときは、子どもの「SOS」として受け止め、状況を整えてあげることが大切です。
2歳児の癇癪と発達障害との関係性
2歳児の癇癪は、一般的には発達過程の自然な反応であり、「癇癪がある=発達障害」というわけではありません。ただし、発達障害の特性が重なることで、以下のように癇癪が起こりやすくなる傾向もあります。
コミュニケーションの苦手さ(自閉スペクトラム症/ASD)
言葉で自分の気持ちを上手に伝えられず、言語理解の難しさやストレスが原因で癇癪に結びつくことがあります。
感覚過敏や強いこだわり(自閉スペクトラム症/ASD)
音・光などへの過敏さや、「いつもと違う」刺激的な状況がストレスになり、癇癪のきっかけになることがあります。
衝動性(注意欠如・多動症/ADHD)
「やりたい!」という気持ちをすぐに行動に移す特性があり、制止されたり否定されたりすると感情が爆発しやすくなります。
とはいえ、多くの子どもにとって癇癪は成長の一環であり、2〜3歳でピークを迎え、その後自然に落ち着いていくものです。
2歳児が癇癪を起こしやすいシーンとは?
癇癪は子どもの「伝えたい気持ち」や「限界のサイン」で、不安や混乱でいっぱいな時に、自分の気持ちを表現する手段として現れることがほとんどです。2歳児が癇癪を起こしやすいのは、成長過程にあるためですが、特に次のような場面が引き金になりやすいです。
急な予定変更や切り替え
遊びの途中に「お片付け」「ご飯」「外出」など、突然予定が変わると予想ができずに、不安や戸惑いが「嫌!」という強い反応につながります。
疲れ・空腹・眠気がピークのとき
体力の限界を迎えると、ほんの些細なことで感情が爆発します。子ども自身が限界を迎えているサインです。
刺激過多・感覚過敏
スーパーのざわつきや大きな音など、感覚が敏感な子には強いストレスとなり、癇癪につながることがあります。
「自分でやりたい」の強い自己主張
2歳は「自分でできる!」と感じる時期。うまくできない状況で癇癪が起こることが多く、「イヤイヤ期」の特徴とも重なります。
こういった場面や理由を理解し、声かけや準備、環境調整といった事前対策が、親子の安心と成長につながります。気づいたときに寄り添い、ゆっくり見守る姿勢が、信頼関係を築く鍵となります。
癇癪を起こしたときの上手な関わり方
「子どもが泣きわめいているとき、どう対応したらいいのか…」と迷ってしまう場面が多く、叱ったほうがいいのか、それともなだめたほうがいいのか悩むものです。
癇癪の最中は、子どもが感情の波に飲み込まれている状態です。だからこそ、大人がどう関わるかがとても大切になります。
ここでは、癇癪中に避けたいNG対応や、気持ちを代弁する声かけのコツ、落ち着いた後のやさしいフォローの仕方まで、具体的な関わり方をご紹介します。
NG対応⇨叱る・否定する・無理やり止める
癇癪が起きている最中に、怒鳴ったり無理やりやめさせることは逆効果になりがちです。叱ることで子どもの恐怖や混乱が増えてしまう可能性もあります。
また、感情を否定されると「自分はダメなんだ」と自己肯定感が下がってしまうかもしれません。無理に止めようとすると余計に興奮してしまうこともあるため、まずは子どもが落ち着くのを待つことが基本です。信頼できる大人がそばにいるという安心感が、癇癪の収束につながります。
「○○したかったんだね」と気持ちの代弁をする
癇癪中には、子どもの言葉にならない気持ちを代わりに伝える「代弁」が効果的です。
たとえば、「もっと遊びたかったんだよね」「自分で開けたかったんだよね」といった言葉をかけることで、「わかってくれた」と感じ、心が少し落ち着くことがあります。静かな声で共感してあげると、子どもは「大丈夫なんだ」と安心でき、感情が穏やかになっていくことが多いです。
落ち着いた後に優しく伝えるタイミングをつくる
癇癪が収まった後は、優しく伝えるタイミングになりますが、長い説教ではなく、短い言葉で優しく接することが大切です。
「大声出して疲れちゃったね」「落ち着いてきてえらいね」といった労いの言葉が子どもの安心につながります。その後に「次はどうしたい?」と選択肢を促すことで、子どもが自分の気持ちを言葉にする練習になります。このような関わりは、子どもの自己肯定感を育て、親子の信頼関係を深めることにもつながるでしょう。
癇癪が長引く・激しすぎる場合は?
癇癪が長く続いたり、激しくなりすぎる場合は、専門機関への相談を検討しましょう。
頻度や激しさが強く、ご家庭での対応が難しいと感じた場合は、自治体の発達支援窓口や小児科、児童発達支援センターへの相談が有効です。専門家の視点で、子どもの発達特性や支援の必要性を評価してもらい、上手な支援方法や環境調整のアドバイスを受けることができます。支援を得ることで、親の負担も軽くなり、子どもの成長にも安心できる環境を整える一歩となります。
まとめ
2歳児の癇癪は、発達段階にともなう自然な反応であり、主に「自分でやりたい」「うまく伝えられない」といった思いや欲求不満などが原因である場合が多いです。特にイヤイヤ期には自我が芽生え、言葉や行動が未熟な中で感情が爆発しやすくなります。
予定の変更や空腹・疲れなど、癇癪を多く起こしやすい場面があるため、「わざと」と捉えず、子どもの気持ちに寄り添う姿勢が大切です。また、発達障害の特性によって癇癪が強くなることもあるため、不安がある場合は専門機関へ相談するのも安心につながります。
対応の際には、叱ったり否定するのではなく、気持ちを代弁したり、落ち着いたあとに短く伝えるといった工夫が効果的です。
癇癪は成長のサインであり、親子で一緒に乗り越えていけるよう、温かく見守ることが大切です。
参考元
各 支援機関 等