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発達障害のケース別対応事例

2018.02.10
  • 発達障害
  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • LD(学習障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方

ASD(自閉症スペクトラム)

点数にこだわる

【具体例】
・答案用紙にバツをつけられることを嫌がる。
・テストが満点でなければ気が済まない。
・順位がつくものでは1位になりたがる。

【なぜそのようになるのか?】
・「一位」「勝ち」「100点」「マル」への強いこだわりがある。
・気持ちが切り替えられない。
・想像力が弱いため、100点であること以外を予想できない。

【支援へのヒント】
・通常の採点法で得点を書いたあと、間違ったところを直してきたら得点欄の横に「100点」と書いて2重丸をつける。
・マルだけつけて、間違ったところは何もつけないで、あとで直したらマルをつける。

ワンポイントアドバイス

気持ちがコントロールしにくい障害なので、頭ごなしに「わがまま」と決めつけることは避けましょう。本人の気持ちに耳を傾けることが重要です。

相手の気持ちが読めない

【具体例】
・見たままそのままを口にしてしまう。
・言葉や表現を字義通りに受け取る。
・冗談が通じない。
・例え話や、暗黙のルールが理解できない。
・相手との話からその意味や意図することに共感できず、会話がうまく進まない。

【なぜそのようになるのか?】
・相手の立場に立って状況が捉えられない。
・会話のルールが分からない。
・曖昧な表現が理解できない。
・相手がどう感じるか想像できない。

【支援へのヒント】
・曖昧な表現は避ける。
・相手を不快にする発言を言ってしまった場合、その子の受けた色々な感情体験を言葉にして伝える。
・話し言葉だけでなく、文字やイラストを併用して伝える。
・順序立てて、簡単明瞭に話すように促す。
・禁止の言い方でなく、肯定的な言い方で伝える。

ワンポイントアドバイス

発達障害児の中には、人の気持ちを推測することが難しい子もいるということを理解しておきましょう。「人にはこういう感情があるんだよ」ということを、地道にひとつひとつ教えて、覚えさせていくという方法が望ましいと言えます。。

変更に対応できない

【具体例』
・日程の急な変更に対応できない。
・自分なりの独特な日課や手順がある。
・行事や遠足に参加できない。

【なぜそのようになるのか】
・同じ行為や思考を繰り返し、特定のものへのこだわりがみられたりしやすい。
・パターンが決まっていないと不安。
・初めての場所や活動が苦手。
・相手や周囲との間でおこるさまざまなことに想像力を働かせることができない。

【支援へのヒント】
・急な変更はできるだけ避け、やむを得ず変更する場合は、言葉だけでなくて、カレンダーに書き込むなど、具体的に示す。
・無理矢理従わせない。

ワンポイントアドバイス

発達障害の子どもの場合、いつもと異なる状況を受け入れようとすると、強い不安を覚えます。変化を押し付けることで、不安が増大し、許容範囲を超えるとパニックになってしまいます。

手順や配置にこだわる

【具体例】
・いつもの手順が変わると不機嫌になる
・本や教科書を途中から読めない
・物の配置などが変わっただけで不安になる

【なぜそのようになるのか】
・新しいことへの見通しがもてない。
・これまでの習慣やパターンがくずれることで不安を覚える

【支援へのヒント】
・始まる前に勉強内容を予告して、見通しを持ちやすくしておく。
・こだわりを「やめさせる」ことに「こだわりすぎない」ことも大切。
・小さな変化にこだわることを責めたり、避難したりしない。
・手順のパターンを複数決める

ワンポイントアドバイス

変更を子どもが受け入れられないときは、無理矢理押し付けないで、できそうな部分だけ参加させるなど柔軟に対応しましょう。子どもと話し合って、できそうなことをできる範囲でやればよいことにします

ADHD(注意欠如多動性障害)

質問にうまく答えられない

【具体例】
・先生の質問をよく聞いていない。
・先生の話は聞いていたが、内容を理解できない。
・引っ込み思案で、発言ができない。
・話そうとするがうまくまとめられない。

【なぜそのようになるのか?】
・長い質問を覚えていられない。
・吃音や過度の緊張がある。
・ことばで表現するのが苦手。

【支援へのヒント】
・質問を短い言葉で言い直す。
・選択肢から答えを選ばせる。
・子どもの表情を察して代弁してあげる。
・「はっきり言ってごらん」と強要しない。

ワンポイントアドバイス

あらかじめ紙に「いつ」「だれが」「どこで」「何を」「どうした」などのキーワードを示しておき、昨日したことなど身近なことを話してもらうことで、順序を立てて話す練習になります。

授業に集中できない

【具体例】
・机やイスをガタガタ動かす。
・ほかのことに気を取られている。
・指示に従えず、最後までやり遂げられない。
・ケアレスミスをする。
 
・気持ちを集中させて努力し続けなければならない課題を避ける。

・気が散りやすい。

【なぜそのようになるのか?】
・先生の話が理解できない。
・気が散りやすい環境におかれている。
・課題が難しくて取り組めない。
・見たり聞いたりしたことの内容から必要なことに注意を向けることができるが、その時間が短い。

【支援へのヒント】
・抽象的な言葉は避け、行動化しやすい言葉で指示をする。
・注目しやすいように、課題にマークをつける。

・始めに作業手順を図示するなど、全体の見通しが持てるようにする。
・その子がやり遂げられるだけの量や内容を考慮して課題を始める。
・気分転換を図らせる。

ワンポイントアドバイス

たとえば、気が散りやすい子どもの場合は、窓やカーテンを閉め、必要のないものは片付けさせるといった配慮が効果的です。また、課題に集中して取り組めない子の場合は、子どものレベルに合わせて簡単な問題や、課題を小分けして与えると取り組みやすくなるでしょう。

忘れ物が多い

【具体例】
・忘れ物や宿題忘れが多い。
・約束を忘れがちである。
・先生から指示されたことを忘れてしまう。
・日々の活動において忘れやすい。

【なぜそのようになるのか?】
・記憶力の弱さがある。
・指示などを一時的に記憶にとどめておく力が弱い。

【支援へのヒント】
・課題や指示は「一度に1つ」が原則。
・自分で忘れものを確認する習慣をつける。
・メモを取る・付箋を貼るなどといった、記憶力に頼らずに、覚えておける方法や必要なときに思い出せる方法を用いる。
・努力を強要しない。

ワンポイントアドバイス

すぐに忘れてしまうのは、短期記憶力が弱いために起こることであり、不真面目さや先生への反抗心から起こっていることではありません。なので「反省させる」のではなく、忘れものを減らせるよう「工夫する」ことが大切です。

思わず手がでてしまう

【具体例】
・すぐにカッとなって暴力をふるう。
・勢いにまかせて人を傷つけることを言う。

【なぜそのようになるのか?】
・一瞬にしてわき起こった衝動性を抑えることができない。
・深い恨みの気持ちがあったり、故意に乱暴をしているわけではない。

【支援へのヒント】
・行動の改善が見られたら、ほめる。
・冷静なときに、「たたいてはいけない」などあらかじめ約束しておく。
・言い分があったとしても、暴力・暴言は絶対にだめだと注意する。
・長い説教は効果がないので、短い言葉で簡潔に。
・暴力をあやまらせた後に経緯を聞く。
・気持ちを落ち着ける方法を見つけさせる。(例 目を閉じて深呼吸する、水を飲むなど)

ワンポイントアドバイス

ささいなことがきっかけで衝動性を抑えることができなくなるため、周囲から誤解を受けやすく、本人自身がとまどっていることもあります。その心情を理解しながら、危険が及ばないよう、安全を第一に考えた対応をしなければなりません。

パニックを起こす

【具体例】
・床に寝転がって暴れる。
・ものを投げつける。
・自分自身を傷つける。
・うずくまって耳を塞ぐ。
・大声で泣きわめく。

【なぜそのようになるのか?】
・不快な音が耐えられない。
・予定変更などの急な変化に対応できない。
・自分のこだわっていることと異なる結果が生じた場合。

【支援へのヒント】
・子どもにつられて興奮したり、大声で注意せず、冷静に注意する。
・パニックは本人もつらいので、できるだけ早くおさまるよう導くことが大切。
・かまいすぎないほうが、早くおさまる傾向がある。
・力で押さえつけない。
・パニックをなだめようとなでたり、さすったりすることが逆効果となることもある。
・周囲にハサミや割れ物、机などがそばにあると危ないので、それらをどけたり、窓に近寄らせないような配慮も必要。

ワンポイントアドバイス

パニックがおさまったら落ち着いた声で「○○がいやだったんだね。でも、落ち着くことができたからえらいよ」と代弁してあげたり、自分で立ち直れたことをほめてあげるようにしましょう。

LD(学習障害)

聞くことに困難がある

【具体例】
・聞き間違うことが多い。
・聞きもらしがある。
・聞いたことをすぐに忘れてしまう。
・個別の場での話は聞き取れるが、集団場面では難しい。
・単語は理解できているが、文章としての意味は理解できない。

【なぜそのようになるのか?】
・注意を話し手に向けることが出来ていない。
・耳からの情報を記憶しておくことが難しい。
・文章の聞き取りに間違いがある。

【支援へのヒント】
・顔を見たり、肩に手をおいたり、「お話します」と言って話し始めたりなどをして、注意を引きつける工夫をする。
・耳からの情報だけでなく、絵、カード、板書など視覚面からの情報をプラスする。
・聞いた内容を記憶したり理解したりするために、内容を整理する。
(復唱したりメモを取ったりする、など)

ワンポイントアドバイス

1度説明しても理解していない様子であれば、もう一度、わかりやすく言葉を変えて説明してみたり、文字や絵にすると良いでしょう。
話を聞くことが困難な子に対して、「何で聞いていなかったんだ!」というような責め方はしてはいけません。

思いを伝えるのが苦手

【具体例】
・思いつくままに話す。筋道を立てて話しにくい。
・内容や表現に乏しい話しになってしまう。
・言葉に詰まってしまう。
・適切な早さで話すことができない。

【なぜそのようになるのか?】
・自分の考えがまとめられない。
・話しているときに、内容を確認していない。

【支援へのヒント】
・子どもの話の内容を考え、不十分な内容を補いながら、話したいことをまとめてあげる。
・話しやすい話題を取り上げ、話す機会を増やしてみる。

ワンポイントアドバイス

手がかりとなる話題を示したり、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、どうした、そのわけは)を示してみることで、順序立てて話せられるように支援すると良いでしょう。

文字を読むことが苦手

【具体例】
・とばし読みをしてしまう。
・似ている字どうしを取り違えて読む。
・音読でスラスラ読めずに引っかかる。
・漢字が正しく読めない。
・文章の内容を正しく読み取ることができない。

【なぜそのようになるのか?】
・読んでいるところを目で追えない。
・文章を適度なまとまりでとらえ、その意味を理解することに弱さがある。
・文字の形を判別できない。
・文章の関係がわからない。
・視覚でとらえた文字を音に変換することが困難。

【支援へのヒント】
・マーカーで一行おきに色づけをする。
・行間に線を引く。
・文章を単語や分節ごとに線で区切る。
・文末や読み間違いやすい単語にマーカーで色づけする。

ワンポイントアドバイス

トレーニングのため、たくさん読ませることは逆効果です。つまずきのある部分を支援することによってカバーし、上手に読むことができたら褒めてあげることが大切です。

字がうまく書けない

【具体例】
・板書などの写し書きができない。
・読みにくい字を書く。
・マス目からはみ出してしまう。
・鏡文字を書く。
・特殊音節(拗音、撥音など)の表記を間違う。
・独特の筆順で書いてしまう。
・当て字など、間違えた字を書いてしまう。

【なぜそのようになるのか?】
・文字の形がとらえられない。
・視写する部分がどこかわからない。
・聞いた言葉を文字に置き換えられない。
・筆記用具の持ち方が適切でない。
・全体のバランスをとることが難しい。

【支援へのヒント】
・文章や文字を薄く書いたものをなぞる練習をする。
・マス目を大きくする。
・文字の書き始めや筆順などに番号やマークをつける。
・漢字をへんやつくりに分けて、漢字のつくりを意識させる。
・書く文章を声に出しながら書かせる。

ワンポイントアドバイス

あわてずにゆっくり書かせること、ていねいに書かせることに重点を置いて指導しましょう。また、うまく書けなくて困っていたら、助言をしてあげたり、正しい筆順を教えてあげましょう。

計算でつまずきがある

【具体例】
・文章題の意味を理解できない。
・数量や単位の理解が難しく、数量関係がわからない。
・簡単な計算や暗算が難しく、時間がかかる。
・筆算すると、位取りがずれる。
・図形を描くことが難しい。
・三角定規などの用具がうまく使えない。

【なぜそのようになるのか?】
・目に見えない数や量をとらえにくい。
・空間イメージができない。
・計算のルールが分からない。
・繰り上がりや繰り下がりを忘れてしまう。

【支援へのヒント】
・問題にじっくり取り組ませる。
・おはじきなどを使って数を可視化させる。
・位取りを色別に明示するなど、わかりやすくしたマス目に書かせる。
・文章題の内容を図示し「ことばの式」で表す。
・1枚のプリントの問題数を少なくする。

ワンポイントアドバイス

スピードを重視しすぎず、筋道を立てて考えたりと、正確さを要求しましょう。また、一度覚えた知識や計算方法なども、しばらくしたら忘れてしまうこともあるので、前に習った単元をときどき振り返ると良いでしょう。

推論することが苦手

【具体例】
・決まったパターンの文章しか書けない、話せない。
・目的に沿って計画したり、必要に応じて修正することが難しい。
・はやとちりや飛躍した考えをする。
・尋ねられた内容に適切な受け答えができない。
・順序立てて話したり、書いたりすることができない。

【なぜそのようになるのか?】
・何を書いてよいかわからない(何を求められているのかがわからない)。
・因果関係を理解することが難しい。
・相手の立場に立って考えることが難しい。

【支援へのヒント】
・ひな形となる項目(初めに、次に、最後に)を提示する。
・文字や絵で思い出す手かがり(時間、場所、場面、人など)を示す。
・思い出した項目をカードに作り、並び替える。
・本人が話し終わるまで待ち、その内容を確かめる。

ワンポイントアドバイス

頭の中で整理することが難しいので、絵や図などを使って、視覚的に表すと比較的スムーズに考えられるでしょう。

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