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感覚統合とは?感覚の発達を促す遊びとご家庭でできる工夫

2025.06.04
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「ジャンプや縄跳びなど運動が極端に苦手」「手先が不器用で、箸や鉛筆の持ち方が安定しない…」このような日常の小さな気づきに、戸惑いや不安を感じている保護者の方は少なくありません。もしかすると、それは「感覚統合」の発達に関係しているかもしれません。

感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚など、さまざまな感覚情報を脳が整理し、行動につなげる力のことで、子どもの発達や生活全般に深く関わる大切な土台です。

そこで本記事では、感覚統合の概要や特徴、ご家庭でできる発達を促す遊びや関わり方についてわかりやすく解説していきます。

目次

  • 感覚統合とは?子どもの発達との関係
  • 感覚統合を促す遊びと家でもできる5つの工夫
  • まとめ
  • 感覚統合とは?子どもの発達との関係

    「感覚統合」という言葉は知っていても、実際にはどういう意味なのか、子どものどのような行動と関係しているのか、よくわからない…そんな保護者の方も多いかもしれません。

    感覚統合は、子どもが安心して行動できるようになるための土台となる力です。見て、聞いて、触って、動くなどそれぞれの感覚がうまくまとまり、脳で整理されてはじめて、適切な行動や学習につながります。

    そこで本項では、「感覚統合とは何か?」という基本から、それがうまく働かないときの影響や特徴、そして発達に与える影響について、お伝えしていきます。

    感覚統合とは何か?

    感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・前庭感覚(バランス感覚)・固有感覚(身体の位置や動きの感覚)など、日常生活で受け取るさまざまな感覚情報を、脳が整理・統合し、適切な行動や反応を導く能力を指します。

    たとえば、子どもがボールを蹴る際には、目でボールの位置を確認し(視覚)、足の動きを感じ取り(固有感覚)、バランスを保ちながら(前庭感覚)、力加減を調整して蹴ります。これらの感覚がうまく統合されることで、スムーズな動作が可能になります。感覚統合の発達は、子どもが周囲をよく理解し、適切に反応するための基盤となる発達です。

    感覚統合がうまくいかない場合どうなる?

    感覚統合がうまくいかないと、子どもは日常生活や学習、社会的な場面でさまざまな困難を感じることがあります。

    感覚統合とは?子どもの発達との関係具体的な例

    ・感覚過敏・鈍麻
    音や光に過敏に反応したり、逆に痛みに鈍感でけがに気づかないことがあります。

    ・運動の不器用さ
    縄跳びやボール投げなどの運動が苦手で、体育の授業や遊びに参加しづらくなることがあります。

    ・集中力の欠如
    感覚情報の処理が難しいため、注意が散漫になり、学習に集中できないことがあります。

    ・社会的な難しさ
    友達との遊びやコミュニケーションがうまくいかず、孤立しがちになることがあります。

    これらは、子どもの自己肯定感の低下や、二次的な情緒的問題につながることもあるため、早期に気づき、適切な支援を行うことが重要です。

    感覚統合の発達が子どもに与える良い影響

    感覚統合が適切に発達すると、子どもはさまざまな面で良い影響を受けます。

    主な良い影響

    ・運動能力の向上
    バランス感覚や協調運動が発達することで、運動が得意になっていきます。

    ・学習の促進
    感覚情報の処理がスムーズになり注意散漫になるのが減ることで、集中力が高まり、学習効果が向上します。

    ・社会性の発達
    他者とのコミュニケーションが円滑になり、友達との関係が良好になります。

    ・自己肯定感の向上
    成功体験が増えることで、自信を持ち、積極的に行動できるようになります。

    感覚統合の発達を促すためには、日常生活の中でさまざまな感覚を刺激する遊びや活動を取り入れることが効果的です。

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    感覚統合を促す遊びと家でもできる5つの工夫

    「感覚統合が気になるけれど、専門的な訓練じゃないと支援できないのかな?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、実はご家庭での遊びの中にも、感覚統合を育てるヒントがたくさん詰まっています。

    子どもが「楽しい!」と感じながら、自然と感覚を刺激し、調整していけるような遊びや関わり方が、日常の中で無理なく取り入れられるのです。

    ここでは、バランス感覚・触覚・前庭覚・固有受容覚など、感覚別にご家庭でできる5つの工夫について具体的にご紹介していきます。

    バランス感覚を養う「ゆらゆら」遊び

    バランス感覚(前庭覚)は、子どもが姿勢を保ち、身体を上手に動かすために欠かせない感覚です。この感覚を育むには、「ゆらゆら」と揺れる遊びが効果的です。

    おすすめの遊び

    タオルブランコ
    大きなタオルの両端を大人が持ち、子どもを乗せて優しく揺らします。

    バランスボール
    子どもを座らせて前後左右に少し揺らすことで、体幹を鍛えます。

    平均台歩き
    家の中でクッションやマットを使って簡易的な平均台を作り、バランスを取りながら歩く練習をします。

    これらの遊びは、楽しみながらバランス感覚を養うことができます。

    触覚を育てる「感触遊び」

    触覚は、子どもが色々な感触を感じ取り、周囲の物を理解するための大切な感覚です。さまざまな素材に触れることで、触覚の発達を促すことができます。

    おすすめの遊び

    粘土遊び
    手でこねたり、形を作ったりすることで、手の感覚を刺激します。

    砂遊び
    砂の感触を楽しみながら、手先の器用さも養われます。

    布遊び
    さまざまな素材の布を触って、違いを感じ取ります。

    感触ボックス
    箱の中に異なる素材を入れ、手を入れて何が入っているかを当てる遊びです。

    これらの遊びを通して、子どもは触覚の違いを楽しみながら、感覚の幅を広げていきます。

    前庭感覚を刺激する「回る・跳ぶ」遊び

    前庭感覚(バランス感覚)は、身体のバランスや動きを感じ取る感覚で、日常生活の中で重要な役割を果たします。この感覚を育てるには、回ったり跳んだりする遊びが効果的です。

    おすすめの遊び

    回転遊び
    その場でくるくる回ることで、バランス感覚を養います。

    ジャンプ遊び
    トランポリンやマットの上で跳ねることで、前庭覚を刺激します。

    ブランコ
    前後に揺れることで、バランスを取る力が育ちます。

    坂道遊び
    坂を登ったり下ったりすることで、重力を感じ取る力が養われます。

    これらの遊びは、子どもの発達段階や好みに合わせて取り入れることが大切です。

    固有受容感覚を鍛える「引っぱる・登る」遊び

    固有感覚(身体の位置や動きの感覚)は、身体の位置や動きを感じ取る感覚で、力加減や姿勢の調整に関わります。この感覚を育てるには、引っぱったり登ったりする遊びが効果的です。

    おすすめの遊び

    綱引き
    ロープを使って引っ張り合うことで、力の加減を学びます。

    登り遊び
    ジャングルジムなどを登ることで、身体の位置を感じ取る力が養われます。

    押し合い遊び
    クッションなどを使って押し合うことで、力の使い方を学びます。

    重い物を運ぶ
    おもちゃの箱などを運ぶことで、筋力とバランス感覚が鍛えられます。

    これらの遊びを通して、子どもは自分の身体を意識し、動きをコントロールする力を育てていきます。安全に配慮しながら、楽しく取り入れてみてください。

    音や光に過敏な子どもへの配慮と工夫

    音や光に過敏な子どもは、日常生活の中で不快感やストレスを感じやすくなります。そのため、環境を整えたり、適切な配慮を行うことが大切です。

    配慮と工夫のポイント

    環境調整
    照明の明るさを調整したり、カーテンで直射日光を遮ることで、視覚的な刺激を減らします。

    音の配慮
    静かな環境を整えたり、イヤーマフや耳栓を使用することで、聴覚的な刺激を軽減します。

    空間づくり
    子どもが安心して過ごせるスペースを設けることで、過敏な感覚を和らげます。

    予告や説明
    急な音や光の変化が発生する場合は、事前に子どもに伝えることで、不安を軽減します。

    これらの工夫を通して、子どもが快適に過ごせる環境を整えていくことが大切です。子どもの反応を見ながら、無理のない範囲で取り入れてみてください。

    まとめ

    感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・前庭感覚・固有感覚など、さまざまな感覚情報を脳が整理・統合し、行動や反応につなげる力のことです。子どもが物事を理解したり、運動や学習、社会性を育むうえで欠かせない重要な土台です。

    この感覚統合がうまくいかない場合、落ち着きがない、音や触覚への過敏さ、不器用さ、集中力の低下など、日常生活にさまざまな困りごとが現れることがあります。

    特別な訓練だけではなく、ご家庭での遊びや関わり方の中にも感覚統合を育む工夫はたくさんあります。子どもの小さな困りごとに気づいたら、ご家庭でもできる関わり方から始めてみましょう。大切なのは、子どものペースを尊重し、楽しく支えていく姿勢です。

    参考元
    各 支援機関 等

    幼児教室・学習塾問合せ

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