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ADHD(注意欠如・多動性障害)の有名人から学ぶ:個性を活かすヒントと支援のあり方

2025.06.24
  • 発達障害
  • ADHD(注意欠如多動性障害)
  • 支援方法・家庭での過ごし方


「うちの子、落ち着きがなくて……」
「すぐ話に割り込んでしまって困るんです」
こんなADHD(注意欠如・多動性障害)にまつわる悩みを抱える保護者様は少なくありません。
現代の社会において、ADHDは3%から7%の人が持つ可能性があると言われており、その特徴を正しく理解し、適切な対応をすることが求められています。
しかし、ADHDの特徴は決して「問題」ばかりではありません。独自の視点や突出した集中力を持つ人たちが、さまざまな分野で活躍していることをご存じでしょうか?この記事では、ADHDの基本的な知識から、実際に活躍する有名人の例、日常でできる支援の方法まで、幅広く解説します。
「ADHDだからこそ活きる才能がある」
そんな希望を感じていただける記事になれば幸いです。

目次

  • 発達障害の種類とADHDとは?
  • ADHDの特徴:課題と可能性の両面を知る
  • 有名人に見るADHDの強み
  • ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性に合わせた接し方
  • ADHDを「障害」から「才能」に変える視点
  • まとめ
  • 発達障害の種類とADHDとは?

    まずはADHDについて正しく理解するために、発達障害全体の中での位置づけを簡単に整理しましょう。

    ADHD(注意欠如・多動性障害)

    • 不注意、多動性、衝動性を特徴とします。
    • 教室や職場などの集団環境で「目立つ」行動が多く、理解が得られにくいこともあります。

    ドーパミンやノルアドレナリン という神経伝達物質のバランスが影響すると言われており、遺伝的要因や環境的要因も関係しています。

    ASD(自閉スペクトラム症)

    • 対人関係の困難さ、感覚の敏感さ、強いこだわりなどが特徴。
    • 「空気を読むのが苦手」と言われることが多いタイプです。

    以前は 「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」 などと分けられていましたが、現在は 「自閉スペクトラム症(ASD)」 という診断名に統一されています。「スペクトラム」とは 「連続体」 を意味し、ASDの特性は人によって異なります。症状の程度や困難さもさまざまで、一人ひとり異なる特性を持っています。

    LD(学習障害)

    • 読み書き・計算など、特定の学習領域において著しい困難がある。
    • 知的発達には問題がないため、「怠けている」と誤解されやすい障害です。

    知的発達には問題がないにもかかわらず「読む」、「書く」、「計算する」などの学習能力に困難が生じる発達障害 です。
    学習障害の人は、全般的な知能は平均以上でも、特定の分野で学習が極端に苦手になることが特徴です。学習障害は「努力不足」や「怠け」ではなく、 脳の情報処理の違い によるものであり、適切な支援があれば能力を発揮できます。

    ADHDの特徴:課題と可能性の両面を知る

    ADHDの主な特徴は以下の3つです。

    • 不注意
    • 多動性
    • 衝動性

    次に詳しく説明します。

    不注意

    • 忘れ物が多い
    • 気が散りやすく、作業が続かない
    • 課題をやり遂げる前に別のことを始めてしまう

    興味がない・単調な作業は集中力が低下しやすく、気が散りやすくなっています。ただし、自分が好きなことには集中することが可能です。

    多動性

    • 座っていられず体を動かす
    • 授業中に勝手に立ち上がる
    • 常にしゃべっている

    多動性とは、じっとしていることが苦手で、すぐに動きたくなってしまうことを指します。
    静かにしていることが苦手で、ずっと座っている環境で貧乏ゆすりや急に立ち上がるといった行動を取ることがあります。
    落ちつきがなく大声で会話をすることや、話が止まらないといった症状も多動性として該当するでしょう。

    衝動性

    • 順番を待てない
    • 人の話を遮る
    • 思いつきで行動してしまう

    衝動性は、自分の考えを整理する前に反応してしまうことです。
    例えば人と会話している時に最後まで聞かず、途中で話し始めるなど感情が高まると衝動的に行動してしまいます。

    有名人に見るADHDの強み

    ここまでの内容だと「困った子ども」という印象を持たれるかもしれません。しかし、ADHDの本質は「エネルギーの制御が難しい」という点にあり、それがポジティブな方向に向かえば、驚くほどの集中力や発想力として表れるのです。ADHDと思われる有名人について紹介しますので、ADHDであることを活かす生き方に触れてみてください。

    長嶋茂雄

    「ミスター」の愛称で知られる長嶋さんは、独特の行動や発言がしばしば注目されます。彼の集中力や周囲への無頓着な言動は、ADHD的傾向を示すものとも言われています。確定的な診断はありませんが、周囲からは「常人とは違う発想力」と称されてきました。
    長嶋さんの有名なエピソードとして、球場に一緒に連れてきた一茂さんを忘れて帰ったというものがあります。打撃のことが気になりすぎて、他のことを忘れてしまったのでしょう。笑い話として語り継がれていますが、普通ではなかなか考えられないことです。
    (参照:https://president.jp/articles/-/31669?page=4 (PRESIDENT Online))

    ウィル・スミス

    ウィル・スミスがADHD(注意欠陥・多動性障害)であるという公的な情報は確認されていません。
    しかし、エネルギッシュなパフォーマンスや多才な活動から、そのような推測が生まれています。
    ウィル・スミスのように多才でエネルギッシュな人物が、ADHDの特性を持っている可能性も考えられますが、正式な情報がない以上、推測にとどめるべきでしょう。

    さかなクン

    魚への情熱を何十年にもわたり維持し続け、大学教授にまでなった彼の集中力と情報処理力は、ADHDはASDの特長である「好きなことへの爆発的集中」の好例と言えます。また、母親はさかなクンの魚への情熱を尊重し、その興味を伸ばす教育方針を取っていました。
    さかなクン自身がこれらの障害を公表したという公式な情報はありませんが、映画「さかなのこ」の中で、先生からお母さんが、「授業中ずっと魚の絵を描いていて、授業に全く集中していない。学校の勉強もやるように家庭でも指導してくれないか?」と相談するシーンがあり、発達障害の傾向があることが示唆されています。
    (参照:https://sakananoko.jp/ (さかなのこ))

    黒柳徹子

    黒柳徹子は、日本を代表する女優・タレントとして広く知られています。
    自伝『窓ぎわのトットちゃん』では、幼少期の集中力のなさや多動な言動が描かれています。現在の診断基準で見れば、ADHDや学習障害に該当する可能性があるとも言われています。
    (参照:https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000212183 (窓ぎわのトットちゃん))

    ジミー大西

    ジミー大西は、日本の著名なお笑いタレントであり、画家としても高い評価を受けています。
    一部の情報源では、彼がADHD(注意欠陥・多動性障害)の特徴を持っている可能性が指摘されています。
    しかし、ジミー大西さん自身が公式にADHDを公表したという確固たる情報は見つかりませんでした。
    彼の特異な才能、特に色彩感覚に優れた絵画の才能は、サヴァン症候群の可能性も示唆されています。
    また、読み書きが苦手であったというエピソードも報告されています。

    深瀬慧(SEKAI NO OWARI)

    雑誌のインタビューで、発達障害(ADHD)と診断されて、精神病院の閉鎖病棟に入っていたことを告白しています。

    「もう挫折してボロボロだったのに、そんなお仕置き部屋みたいなところに入れられて。そこに1ヶ月ぐらい入院してってという感じでしたね。そこで、結局なんで小学校の時に勉強ができなかったかがわかるんです。俺、ADHDっていう病気だったんです」(ROCKIN’ON JAPAN 2012 8月号)

    ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性に合わせた接し方

    ステラでも実践しているADHDの特性に合わせた接し方の例として以下のような方法があります。

    ・環境を整える
    ・褒めて自信をつける
    ・スケジュールや流れを視覚化して提示する

    それでは詳しく解説します。

    環境を整える

    ADHDの人は周りの環境に左右されやすいため、集中できる環境を整えることが大切です。
    例えば、周りにものを置かないようにすることや、物をカーテンなどで隠すことなども有効です。
    また、衝動的・多動的な子どもには、周りに危険なものを置かないなど、怪我をしないような配慮も必要です、

    褒めて自信をつける

    ADHDの人は衝動性や多動性が目に見えて目立ちやすいため、注意される経験が多く、成長過程の中で、自信をなくしてしまいがちです。
    本人が努力したこと、出来たことに目を向けて褒め、自己肯定感や自信を育てる関わりが大切です。

    スケジュールや流れを視覚化して提示する

    ADHDの人は、注意・集中がしにくく、整理が苦手なため、手順や流れを一つずつ確認できるようにしていくのも工夫の一つです。
    内容の優先順位をつけることも苦手なので、あらかじめ優先順位をつけておいたり、スケジュールや手順を目で見て確認できるようにしておいたりすると、取り組みやすくなります。

    ADHDを「障害」から「才能」に変える視点

    ADHDという言葉が持つイメージには、いまだにネガティブな印象がつきまといます。
    しかし、多くの成功者が語るのは「ADHDだったからこそ、自分は今の自分になれた」ということ。制約が多いからこそ、別の道を切り開き、独自の才能に気づくチャンスにもなります。
    教育や家庭、職場の場面で大切なのは、「困っている人」ではなく、「違うスタイルを持っている人」として関わる姿勢です。

    まとめ

    ADHDという言葉は、あくまで診断名に過ぎません。大切なのは、その人が持っている「らしさ」と、それを活かせる環境や支援です。誰もが得意・不得意を抱えており、ADHDの特性はその一側面にすぎません。

    今回は、ADHDの有名人や特徴、特性に合わせた接し方について紹介してきました。ADHDの特性は、学校や職場などで困難を引き起こす一方で、独自の感性を発揮すれば大きく活躍できる可能性も秘めています。有名人のように、自分の特性を強みに変えて活躍している人は少なくありません。

    私たちができるのは、「違い」を知り、認め、育てていくことです。ぜひこの記事で紹介した人物や支援のヒントを参考に、ADHDを持つ人たちへの理解と支援の輪を広げていきましょう。「その子らしさ」を信じて、可能性を広げる一歩を共に踏み出していきたいですね。

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