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光がまぶしくて文字が読みにくい アーレンシンドロームって何?

2021.02.26
  • その他障害・疾患
  • 支援方法・家庭での過ごし方

前回、読み書きの困難さや手先の不器用さ、からだの動きのぎこちなさ等には見る力の弱さが隠れている場合がある、というお話しを紹介しました。

ビジョントレーニング – 「見る力」が育つ - 発達障害の子どもへの療育と支援方法

今回は他の見えにくさの原因の一つ、「アーレンシンドローム」についてお話ししたいと思います。

アーレンシンドロームとは

アーレンシンドロームとは「光の感受性が高いために起こる視知覚の困難」のことであり、生まれながらにある見え方の問題です。
欧米の子どもを対象とした研究では、アーレンシンドロームの有症率は22~33%という報告が上がっています。日本でも大学生を対象にした研究で有症率が6%と報告されていますが、実際はもっと高いと考えられています。
またアーレンシンドロームと発達障害、精神疾患を併せ持つケースも多くあるようです。

アーレンシンドロームの見え方

アーレンシンドロームの人は光に対する非常に鋭敏な感覚を持っています。
日常生活では以下のような症状が見られるようです。

・光を非常にまぶしく感じる
・本を読むとよく文字が追えなくなる、ズレて見える
・文字がチカチカする
・文字が流れてしまう

 図で紹介した見え方以外の見え方も、Youtubeで紹介されています。

このような症状が見られると文字や絵が正確に見えません。
そのため、学校の勉強ができないことに繋がったり、ディスレクシア(読み書き障害)に誤解されたりする恐れがあります。
読み書きの困難以外にもADHD(注意欠如・多動性障害)やDCD(発達性協調運動障害)と似たような問題が起こることもあるようです。

アーレンシンドロームへの対処

アーレンシンドロームにはカラーレンズやカラーフィルムの使用が有効とされています。

その人にあったカラーレンズやフィルムを通してみることで、目に入る光の量を調節することができ、見やすくなるのです。

専門機関でのカラーレンズのフィッティングの場面では、何枚もレンズを重ね、どの色合いが一番楽に見え、ストレスを感じないかを確認しながらその人にあったレンズを作成していくようです。

まとめ

現在、アーレンシンドロームは症状が多岐にわたることもあり医学的な診断名になっておらず、ほとんど認知されていません。
眼科で通常行う視力検査では、見え方の問題は見つけにくいです。
今回紹介したアーレンシンドロームに関しては日本では筑波大学での検査を行うことができます。

お子さんの場合は生まれた時からそのように見えているため、自分と他人の見え方の違いに気づくことが難しいと言われています。見えにくい世界の中不快感に耐えながら一人で頑張っているお子さんがいるのかもしれません。
日本でのカラーレンズの導入はまだ少ないですが、このような症状が広く知られることで一人でも多くの方が過ごしやすい世界に繋がればと思います。

参考文献
・アーレンシンドローム 光に鋭敏なために生きづらい子どもたち (熊谷恵子/著 幻冬舎)

こちらの記事でもアーレンシンドロームについて取り上げています

アーレンシンドロームの特徴や原因、対処法とは?

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